【阿部顕嵐 × 板垣瑞生】映画『ツーアウトフルベース』泥臭く、艶やかに2人の汗がマウンドに花を咲かせる

阿部顕嵐 × 板垣瑞生

映画『ツーアウトフルベース』
泥臭く、艶やかに
2人の汗がマウンドに花を咲かせる

これは、高校球児だった2人の青年の熱く爽やかな群像劇…なんかではなく、サイアクな一日に弄ばれた3人の若者の泥臭すぎる逃亡劇。世界って意地悪でドSでありえないほど人生を翻弄してくる。だけどそんなサイアクさえ、まるっと抱いて走り出せば人生はきっと美しい。あの日の自分から、いまの自分から、ジレンマを感じる世界から〈好き〉目がけて逃げて逃げて逃げまくれ!ツーアウトフルベースを物ともしない〈強さ〉と〈青さ〉の球を、その手に強く握りしめて――

映画『ツーアウトフルベース』

©2022「ツーアウトフルベース」製作委員会
配給:東映ビデオ

-STORY-

かつてはプロ入りが期待されるほどの高校球児だった「イチ」と「ハチ」。甲子園出場が決まり、明るい未来が待っているはずだった。しかし、部内の不祥事により出場が取り消されてしまい、彼らの転落人生がはじまった――。

10年後、薬物にまで手を出し堕落した生活を送っていたふたりは、軽い気持ちで不良グループのリーダーから高級アメ車を借りたばっかりにハプニングが大勃発! 町のヤクザに因縁をつけられ、アメ車をカツアゲされてしまう。右往左往しているふたりは、偶然にも野球部の元マネージャー早紀と再会。早紀は、あろうことかヤクザの車を盗んでいた。ふたりが三人になり、ヤクザに追われ、不良グループからはアメ車の催促、さらには警察からも目を付けられ、まさに絶体絶命の大ピンチ! 思い出すのは10年前、甲子園が決まったあの日のマウンド。二死満塁。ゲームセットにはまだ早い!

-イチ/阿部顕嵐-

堕落の日々を送るも、バンド活動を夢見てもがく元高校球児

-ハチ/板垣瑞生-

イチの野球部時代の相棒で、もはや腐れ縁のハチ

阿部顕嵐 × 板垣瑞生

What‘s  板垣瑞生? by 阿部顕嵐

阿部顕嵐(以下、顕嵐):瑞生は“すごくフランクで気さくな人”ってイメージがあると思うんですけど、実は人見知りでシャイな部分があるよね。

板垣瑞生(以下、瑞生):それは僕のことを7年ぐらい知っている人しか知らないハズなのに(笑)!でも確かにそう。フランクって言っていただくことが多いですね。

顕嵐:でも実はシャイな一面があるんですよ(笑)。それでいて、すごく真面目な人。作中でハチはテキトーなお調子者キャラなんですけど、そのハチのテキトーさは瑞生自身が真面目だから成立しているテキトーさなんです。真面目じゃない人がテキトーなことをすると本当にただのテキトーでしかなくなってしまうので。瑞生の真面目さあっての、あのハチなんですよね。あとは何だろうね…好きな食べ物とか?好きな食べ物なに?

瑞生:いや、そういう時間じゃないのよ(笑)。それ、僕へのQ&Aだから(笑)。好きな食べ物はタコスです。なんかこう、一個になっているものが好きなんですよね。

LANDOER:あぁ、なるほど。ビビンバとかもですか?

瑞生:そうです、ビビンバとか!

顕嵐:あ、じゃあサンドイッチとかも?

瑞生:サンドイッチはパンだから違うんだよね~。丼が好きなのよ。

顕嵐:そうなんだ。僕も、ビビンバ食べるよ。

瑞生:いや、違う違う。僕がビビンバも好きって話(笑)。

顕嵐:あ、僕じゃなかった(笑)?

阿部顕嵐 × 板垣瑞生

What‘s 阿部顕嵐? By 板垣瑞生

瑞生:顕嵐は本当に良い人で、すごく男だなと思います。男が思う男って、なかなかハードルが高いんですけど、そんな中でもやっぱり「男だな」と思わせられる部分が多いんです。あと、顕嵐はアーティスト。僕、 “表現者”という広い括りで見た時に役者もアーティストっていう分野に入ると思っているんですけど、その“アーティスト”としての匂いがすごく強い人なんです。

LANDOER:板垣さんは7ORDERさんのライブを観に行かれたとか。ステージに立つ阿部さんはいかがでしたか?

瑞生:最高でした!役者だけでなくアーティスト活動をしているからこそ、こんな一面があるのだと再認識しましたね。キラキラとして人に幸せを与える顕嵐の一面も魅力的だなって。あと、顕嵐はベースがすごく真面目な人。僕はテキトーだけど(笑)。

顕嵐:いえ、こんなこと言って真面目です(笑)。

瑞生:いやいや(笑)。(顕嵐は)人としてちゃんとしたところがたくさんあるんです。僕が出来ないような、例えば、みんなでご飯に行った時や現場にいる時の周りへの気遣いとか。いまこうやって話している間も気を遣ってくれていますし、「この人はすごく優しい思いやりを持っている人だな」と思う言動を分からないようにしてくれるんですよ。

LANDOER:いやらしくない優しさですね。

瑞生:そうなんです。相手に期待をしない優しさといいますか。それって顕嵐が持っている優しさの魅力だと思います。

作中だけでなく、
本当にバディのような空気感ですね。

お互いに共鳴する部分が多かったんですか?

顕嵐:そうですね。瑞生も僕も経験してきたことが近しいので、お互いに近い部分があるとは感じていました。瑞生本人の幅も広くて、キラキラしたところからアングラなところまで知識が豊富なので、話していて楽しいんです。

瑞生:確かに、近い部分と近い好みがあるよね。

顕嵐:そうそう。だからキラキラした芝居とアングラっぽい芝居、どちらの表現を求められても120%で返すことができるのかな、と。最強の人種なんですよ(笑)。

瑞生:無敵の2人です(笑)。話していても「分かる!」と共感するところが多いよね。

顕嵐:うん、めちゃくちゃ多いね。

阿部顕嵐 × 板垣瑞生

似ているところと、
リスペクトし合える部分のバランスが良いんですね。

今回の作品は演者の皆さんの意見を
多く取り入れられているとお聞きしました。

バディー役として、お互いのお芝居を
どう感じられましたか?

顕嵐:瑞生の芝居、いっぱい話したいことあるな~。演技で言うと、瑞生は良い意味で“マイペース”だと思います。一緒に芝居しながら、瑞生自身のマイペースさが演技にも活かされていると感じていました。現場によっては相手の空気感に合わせる芝居もできると思うんですけど、その逆もできるのが瑞生なんですよ。瑞生がマイペースに自立した芝居をしてくれていたので、芝居がどちらか一方に寄ってしまうことなく、僕も思う存分イチとしていることができました。

LANDOER:特にバディ物だと一方に寄ってしまいそうですもんね。

顕嵐:そうなんです。お互いのキャラがよく分かんなくなっちゃう、みたいな。瑞生はそれがなくて、良い意味でマイペースに自分自身の芝居をし続けられる人なんですよ。

瑞生:でも、それで言うと顕嵐もそうだよ。ハチが「ここはイチに乗っからなきゃ」と思う部分を、ちゃんとイチの芝居を通して教えてくれるんです。

顕嵐:常にバディとして対になりながらも、合わせるところはしっかりと合わせるって計算してできることではないと思うんですよね。力を入れることなく自然とそれができたのは、確実に瑞生とだったからだと思います。

瑞生:良い意味でイチとハチが全然違うからこそ、良かったなと思いますね。

では、お互いの好きなシーンは?

瑞生:最初の野球シーンのイチの表情ですね。初見でも「あ、この人がエースのピッチャーなんだ」と思わせる説得力のある顔で。そこに立っているだけでイチを成立させてしまう顕嵐の男らしさを見習いたいと思っていました。ワンカット目にあのシーンがきて、すごく気持ちよかったのを覚えています。

顕嵐:それで言うと、僕は瑞生のバンドシーンが好きです。ハチがステージでイチを見る時の顔と佇まいがすごく画になっているんですよ。ステージに立ってきた人の貫禄もあるし、雰囲気が本当にカッコよくて。映画を観ながら「瑞生カッコいいな」と本気で思ったシーンでしたね。他が良い意味で画になっていない中で、あれをできちゃうのがすごいなって(笑)。

瑞生:確かに基本的にハチはずっと動いているからね(笑)。固まっているカット、あそこしかないんじゃないかってぐらい(笑)。

確かに、本編のイチとハチは
良い意味で画になっていませんでした (笑)。
それも意識のうえだったんですか?

顕嵐:今回のテーマとして「画にならないこと」を掲げていました。自分で言うのもなんですけど、僕も瑞生と一緒で画になるほうなので(笑)。イチに関しては泥臭く汚くやることをすごく意識していたので、それが出来ている瑞生は「さすがだな」と思っていましたし、素敵でした。

阿部顕嵐 × 板垣瑞生

では最後に、
人生に絶体絶命・ツーアウトフルベースが
来てしまった時

お2人がそれを乗り越えるために
自分の中心に置く〈軸〉を教えてください。

瑞生:僕は〈テキトーさ〉ですね。今回この作品を終えてから「人生にテキトーさを入れるって大事なんだな」と思ったんです。あくまで僕のスタイルですけど、「難しく考えても何も生産性がないからテキトーなぐらいがちょうど良いんじゃないかな」と思うようになって。あ、あともう一個(笑)!生まれてきたからには楽しく遊んで過ごす!これ、すごく大事です。

顕嵐:分かる、それ大事だわ。

瑞生:この言葉自体は『探偵物語』で松田優作さんが言っているセリフなんですけど、このセリフが書かれているLINEスタンプを持っていて、よく使うんです(笑)。

顕嵐:うわ、確かにめちゃくちゃ送ってくる(笑)!

瑞生:あはは(笑)。せっかくの人生、生まれてきたからには誰にでも楽しく遊んで暮らす権利があると思うんですよ。ずっとそこに向かっていたら、きっと困ることもないし、みんなで楽しくいられるんじゃないかな、と。

LANDOER:そのスタンスだと、なにか困難があっても楽しめそうですよね。

瑞生:そうなんですよ。逆に「やってやろうじゃん!」と思えるじゃないですか。その困難を乗り越えるのですら楽しめるんじゃないかなって。今回この作品を通して、よりその考え方が強くなりました。なので僕の大切な軸は「テキトーに楽しく遊んで暮らす」です。もちろんやるべきことをやったうえで、ですよ。

阿部顕嵐 × 板垣瑞生

LANDOER:素敵です。では、阿部さん。

瑞生:阿部さんはこういう時良いこと言うからな~(笑)。

顕嵐:ハードル、ガンッて上げてから渡すなよ~(笑)。でも、僕も瑞生に近いかもしれない。僕が大切にしているのは〈フラットさ〉ですね。大きな仕事、小さな仕事、見え方はいろいろあると思うんですけど、僕はどんな仕事にも同じ熱量で取り組むようにしています。どこにいても自分の軸をずらさないこと、それはこの先も持ち続けていきたいポリシーですね。僕の好きな言葉で“得意澹然、失意泰然”って言葉があるんですけど、それがまさに自分の在り方にも響いているんです。

瑞生:へぇ~、得意澹然、失意泰然。

顕嵐:そう。どんなに悪い状況になっても堂々と構えて、逆にすごく良い状況になっても淡々と仕事をこなしていくっていう意味の言葉なの。どんなにギリギリの状況になっても堂々としていたいし、常に淡々としたフラットな自分でありたいと意識しています。

LANDOER:お二人の大切な軸がインタビューからも伝わってきました。ありがとうございます。

阿部顕嵐 × 板垣瑞生

阿部顕嵐(24)

あべ あらん

1997年8月30日生まれ。
散射の中から求める“音”を掴み取り、
唯一無二の調律で嵐のごとく周囲を翻弄するDOER

阿部顕嵐 × 板垣瑞生

板垣瑞生(21)

いたがき みずき

2000年10月25日生まれ。
そこに在る“音”を自身に染み込ませ、
瑞々しい音色として独自のリライトを施すDOER

映画『ツーアウトフルベース』
全国の映画館にて公開中!

出演:阿部顕嵐 板垣瑞生
   工藤遥 諸星翔希 渡部龍平 
   趙珉和 宮崎秋人 成松修 佐野和馬
   新羅慎二 カトウシンスケ
   後藤剛範/渋川清彦
主題歌:7ORDER「レスポール」(日本コロムビア)
企画プロデュース:新羅慎二 脚本:内田英治 
監督・脚本:藤澤浩和

 映画『ツーアウトフルベース』
©2022「ツーアウトフルベース」製作委員会
配給:東映ビデオ

Item Credit
【板垣瑞生】
ジャケット¥77,000、シャツ¥52,800、パンツ¥53,900、シューズ¥36,300
(以上全てMaison MIHARA YASUHIRO)
ネックレス¥9,900(amp japan)

Staff Credit
カメラマン:YURIE PEPE 
ヘアメイク:いそのあかり(阿部)/奥山信次(板垣)
スタイリスト:石橋修一(板垣)
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:吉田彩華