【杢代和人】Vシネクスト『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』初めて知った〝自分の弱さ〟が、 起爆剤へと姿を変えた一年間の闘い

杢代和人

Vシネクスト
『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』
初めて知った〝自分の弱さ〟が、
起爆剤へと姿を変えた一年間の闘い

歩いてきた道には、どんな人がいて、どんな言葉が落ちていただろう。何を選んで立ち向かい、何に選ばれて見つめなおし、いまここに立っているのだろう。できることなら前を向いて、後悔などせず生きていきたい。堂々たる背中で、〈夢〉を与えられるヒーローでありたい。けれど、傷ついた日、後悔した時間、弱さが潜む場所にいたから、やさしい強さを見つけられた。これは、人知れず自分と闘ったひとりのヒーローの話。

Vシネクスト
『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』

Vシネクスト『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』

-Story-

世界を創るのは神か、人か――。
人類滅亡へ導くジャマトの力、目覚める。

浮世英寿が世界を見守る「神」となってから、しばらくの時が流れた。平和な日常を引き裂く一発の銃弾と、姿を現した変異種のジャマト。このジャマトの登場が、人類滅亡の元凶、破壊神ゴッドジャマト誕生の前触れであることを、まだ誰も知らなかった。そして、そこへ現れたのは、白い髪のエース。彼は、金色に輝くギーツへと変身すると、タイクーンやナーゴたちを攻撃する。戸惑う一同の前に、もうひとりの英寿が姿を見せて……。一方、吾妻道長の前には、あのベロバが立ちふさがった。ベロバの手によって、彼の身体の中に眠っていたジャマトの力が覚醒。現れる、禍々しい姿のバッファとは――?また「ふたりの浮世英寿」の存在が示す、驚愕の事実とは?破壊神の誕生が刻一刻と近づく中、仮面ライダーたちは、この世界を、人類を守りぬくことができるのだろうか!?

-吾妻道長/仮面ライダーバッファ-

英寿にライバル意識を抱いている青年。
仮面ライダーバッファに変身する。

仮面ライダーバッファとして生きた一年半

吾妻道長、そして仮面ライダーバッファとして生きた一年半は、いままでの人生で一番この活動について考えた一年でした。これまで人に頼っていたことを「自分ひとりでもできるようにならなきゃ」と考え、「大人になるために変わっていこう」と、自分を見つめ、自分と見つめ合えた一年だったように思います。

杢代和人

ご自身と見つめ合ったからこそ
見えてきた“自分”はありましたか?

僕って弱い、と思いました。いままでは「何とかなる」や、「とりあえずやってみよう!」といった勢いで行動することが多かったのですが、それだけじゃ太刀打ちできないことがたくさん出てきて。本当の意味で、僕が芝居をするうえで大切にしてきた、“芝居で夢を見てもらいたい”というモチベーションと向き合わなければならなくなったんです。もちろん、その気持ちを第一に『仮面ライダー』のオーディションを受けましたし、芝居にも臨んでいたつもりだったのですが、それに加えて“モチベーションを保つ力”をもち続ける難しさを知って。モチベーションが高く良い芝居ができた日、納得のいかない芝居になった日、そういった僕の事情は観ている方には関係のないもの。自分のモチベーションや気分に左右されずに納得できるクオリティを出し続けること、自分が芝居をする意味、そういったものと向き合ったときに「いままでの自分って弱かったんだな」と、自覚したんです。

正直、杢代さんから
その言葉が出てくるのは意外でした。

「こんなに他者に頼っていたんだ」と、感じることの多かった一年で。ただ、その自覚ができたからこそ『仮面ライダー』の現場で成長できたのだとも思います。「次のテイクよりも、とにかく今のテイクを良くしたい」と、これまで以上に目の前のことに妥協を許さない自分になれた、といいますか。一年という長い時間をかけて芝居と向き合うなかで、集中力をきらすことなく、「現状を良くしたい!」という〈欲〉が出てくるようになったんです。

杢代和人

杢代和人

『仮面ライダー』で自覚した弱さを
『仮面ライダー』で、強さに変えられたんですね。

そうだといいな、と思いますし、僕としてはそう思える一年間を過ごすことができました。初回放送のときの自分の芝居と、最終回の芝居、最後に向かうにつれて良くなっていったと感じているので、少なからず成長できたのかな、と。

自分との対話などを経て、
芝居の現場への臨み方などに変化はありましたか?

自分の芝居に対する恐怖心や緊張には慣れてきた気がします。一方で「どうしたらいいんだろう」と、芝居について考えることが多くなりました。いろいろな方と出会って、その方たちの芝居を見て、芝居の難しさを感じること、考えることが増えたからこそ、以前のように満足できないことが多くて。いまもいろいろと現場に行かせていただいているのですが、案外「満足できた!」と、自分で納得できる芝居は少ないかもしれないです。まだまだ「あそこでこうすれば良かった」と、考えることのほうが多いように思います。

杢代和人

成長とともに
“納得できる地点”が
底上げされたのかもしれないですね。

そうかもしれないです。『仮面ライダー』を経て、芝居への〈責任感〉がグッと増したのだと思います。それでもやっぱり、芝居が楽しくて好きなんです。演じているときは苦しいこともあるけれど、重要な役を任せていただける機会も増えてきて、放送後にファンの皆さんが感想をくださったり、作品をキッカケに僕を知ってくださる方がいらしたり、そういった絆を感じられると楽しさが勝ちます。

お芝居の遊びドコロなんかも分かってきたり?

楽しめるようになってきました。『沼オトコと沼落ちオンナのmidnight call~寝不足の原因は自分にある。~』(2023)というドラマに出演させていただいたとき、遊びドコロを探して、僕からもいろいろと意見を出させていただいたんです。現場って相乗効果でできあがっていく場所で、僕や監督、チームの皆さん、全員のやる気が合わさって作品がどんどん素敵なものになっていくんです。そのことを学んだからこそ、これまで以上に表現への〈貪欲さ〉を、現場で出すようになりました。

かけがえのないチームで作りあげた今作では、
道長、そしてバッファに
かなりフォーカスが当たっていますね。

本編がクランクアップして、すぐに今作にクランクインしたのですが、その時点で『仮面ライダーギーツ』の最後の作品になることが分かっていたので、この一年『仮面ライダーギーツ』を応援してくださった方々に「最後まで面白かった、また観たい!」と思っていただけるような作品にするぞ、という想いで、いつも以上に気合いを入れて撮影に挑みました。一度作品から退場したメンバーが戻ってきたり、メンバーが大幅に変わったりする、ギーツならではのゲーム性も楽しんでいただける作品になったんじゃないかと思います。

一年前、『仮面ライダーギーツ』に
クランクインする前の自分に
声をかけるとしたら、何と声がけされますか?

きっといまは「一年長いな」と思っていると思うけれど、本当にあっという間の一年になります。そして一年後、「もっとこんなことできたよな」と考えることもでてきます。だからこそ、時間を大切に使ってほしいです。一年後の僕は『仮面ライダーギーツ』という作品を経て、いろいろな方と出会って、たくさんの会話をして、一年前の僕がどれだけ自分のことに必死で、視野が狭かったかを学びました。共演者の方にもっと気遣いができたんじゃないか、もっと声をかけられたんじゃないか、そんな悔いも少しあるけれど、それを学ぶことができたのは、一年前のあなたが自分に精一杯でいてくれたおかげです。いま、生きている時間を大切に、一年後にまた成長した僕で会いましょう、そう伝えたいです。

素敵なメッセージですね。
その瞬間、その瞬間を、
精一杯頑張っていたからこそ
言えることだと思います。

僕、最近、自分は意外と“後悔する人間”なんだな、と思うことがあるんです。「あのとき、あぁ言っておけば良かった」とか「あれをやっておけば良かった」など。後悔しないように生きているつもりだけれど、のちのち後悔することが出てきてしまうんですよね。だからこそ、未来を見て一歩一歩、今この瞬間を頑張ることのできる自分でいたい。過去の自分と比べると、そんなふうに考える時間も含めて自分を見つめる機会が多くなった気がします。それは『仮面ライダーギーツ』に関わることができたおかげ。僕にとって間違いなく一生忘れられない作品です。

杢代和人

Dear LANDOER読者
Vシネクスト
『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』
From 杢代和人

『仮面ライダーギーツ』として最後の作品。一年間という長い期間を経て、それぞれのキャラクターの成長を感じられる一本になっていると思います。キャスト陣も、この一年積み上げてきたものを全力でぶつけて演じきりました。今回は僕演じる吾妻道長(仮面ライダーバッファ)がフューチャーされていますが、僕だけでなく、スタッフの方々、キャストの方々、作品に関わるすべての方の気合いに溢れた作品です。僕自身、完成作を観て、その熱量をひしひしと感じました。愛すること、信じること、本編ではあまり触れてこなかったテーマについても描かれているので、そういった部分も含めて満足度の高い作品が完成したんじゃないかな、と。是非、劇場に足を運んで、最後の『仮面ライダーギーツ』を見届けていただけたら嬉しいです。

杢代和人

杢代和人

もくだい かずと

5月20日生まれ。
「見せない」「語らない」、
“プロ意識”のベールのなかで寡黙に〈研磨〉を重ねるDOER

Vシネクスト『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』

Vシネクスト『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』
2024年3月8日(金)期間限定上映

出演: 簡 秀吉 杢代和人
   佐藤瑠雅 星乃夢奈 青島 心 志田音々
   萩谷慧悟(7ORDER) 松永有紗
   碓井将大 正垣湊都
   後藤 大 並木彩華 北村 諒
原作:石ノ森章太郎 脚本:高橋悠也
監督:坂本浩一
配給:東映ビデオ

Staff Credit
カメラマン:田中丸善治
ヘアメイク:SUGA NAKATA(GLEAM)
スタイリスト:TAKURO
インタビュー・記事:満斗りょう
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