【役者・貫地谷しほり×脚本家・渡邉真子】DREAMS COME TRUE × 脚本監修:岡田惠和オリジナルドラマ「5つの歌詩(うた)」#1「空を読む」スペシャル対談

役者・貫地谷しほり×脚本家・渡邊真子

DREAMS COME TRUE
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脚本監修:岡田惠和
オリジナルドラマ「5つの歌詩(うた)」
#1「空を読む」スペシャル対談

子供の頃は、〈愛〉さえあれば一緒にいられるものだと思っていたし、言葉がなくとも、お互いの想いは伝わるものだと思っていた。でも、大人になって知ったのは「まったく分からない」のが人の気持ちで、「思い通りになんていかない」のが現実だということ。それでも「知りたい」と思う、「伝えたい」と思う。それこそが、今ここに一緒にいる2人の答えなんじゃないだろうか――今日もそんなことを心の片隅に漂わせながら、私たちは空を読む。この物語は、誰でもない「あなた」の物語。

脚本家・渡邉真子

1986年生まれ、東京都出身。明治学院大学法学部卒業後、フリーランスの雑誌記者として活動。シナリオセンターにて脚本執筆を学び、2014年に「初恋狂詩曲」で第4回TBS連ドラ・シナリオ大賞で大賞を受賞。同年、TBSのスペシャルドラマ「このミステリーがすごい!ベストセラー作家からの挑戦状」の一篇、『残されたセンリツ』で脚本家デビュー。主な作品に、連続ドラマ「恋はつづくよどこまでも」(20/TBS)、「一億円のさようなら」(20/NHK BS)、「ムチャブリ! わたしが社長になるなんて」(22/NTV)、映画『凛』(18)、『余命10年』(22)等。

「5つの歌詩(うた)」

オリジナルドラマ『5つの歌詩(うた)』

これまでに数多くのヒット曲を生み出し、J-POPシーンのトップを走り続けながらも、日本のみならず世界へ活動の場を広げ、常にチャレンジし続けるDREAMS COME TRUE。今回、数ある名曲の中から「空を読む」、「マスカラまつげ」、「TRUE, BABY TRUE.」、「何度でも」の4曲と、このドラマ企画の為に書き下ろされた「新曲(タイトル後日発表)」の計5曲の歌詩を独自の解釈で初めて映像化。オリジナル脚本を書き下ろすのは、日本を代表する脚本家・岡田惠和と、彼をはじめとするスタッフ陣。岡田は数々のヒットドラマを担当し、「ちゅらさん」(01/NHK)、「ひよっこ」(17/NHK)では、文化芸術選奨や橋田賞など受賞。ドラマのみならず『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(17)、『余命10年』(22)などの大ヒット映画も描いてきた。誰もが期待し、観たいと思う企画が一流アーティストと一流の脚本家をはじめとするスタッフ陣の手により実現します。さあ、聴こえてくるのは「あなた」の物語。

-#1 「空を読む」-

歩実(貫地谷しほり)と泰輔(三浦貴大)が出会ったのは同じインテリアデザイン会社で働いていた13年前。結婚を機に一級建築士だった泰輔は独立するが、仕事人間で無趣味の泰輔との日々はお互いのことを知り過ぎてしまっているせいかマンネリ気味で交わす言葉も少ない。ある日、歩実が打合せの際にめくった雑誌には、やはり13年前にお互い好意を抱きながらも別れた元カレのカメラマン風見光太(渡辺大知)の名前があった…。

役者・貫地谷しほり×脚本家・渡邊真子

DREAMS COME TRUE「空を読む」

渡邉真子(以下、渡邉):「空を読む」は、メロディーは知っていたのですが、ドリカムさんの楽曲の中でよく知っている曲ではなかったんです。ただ「どの曲でドラマを作ろうか?」と、脚本家で集まって話していた時に「この曲なら、私の作風として昇華できるんじゃないか」と感じて、今回「空を読む」を選ばせていただきました。

LANDOER:「空を読む」を聴いて、すぐにイメージが浮かばれたんですか?

渡邉:いえ、具体的なイメージがすぐに浮かんだわけではないのですが、主人公の「自分の想いを伝える強さ」のようなものが、この曲であれば上手く描ける気がして。物語の深いところまで考えて選曲したというよりは、私が「こんな話をやりたいかも」と思う物語を書かせていただいた、といったイメージです。

貫地谷しほり(以下、貫地谷):私、この間、岡田(岡田惠和)先生のラジオに出させていただいたんですけど、その時に「歩実の冒頭のモノローグシーンは、渡邉さんの真骨頂だ」と仰っていて。あのシーン、私も大好きなんです。自分で言って鳥肌立っちゃった(笑)。

渡邉:あはは(笑)。嬉しいです。

貫地谷:私は「空を読む」の楽曲を知らなかったのですが、最後の泰輔との通りを挟んでのシーンを撮影した時に「あぁ、こういう話だったんだ」と、物語と音楽がすごくリンクしてしっくりきたのを覚えています。

役者・貫地谷しほり×脚本家・渡邊真子

歩実 × 貫地谷しほり

渡邉:私も、今仰ってくださった歩実のファーストシーンがすごく気に入っていて。「歩実は全編このトーンでいって欲しいです」という想いを込めて書いたシーンだったんですけど、その想いを貫地谷さんがきちんと表現してくださって嬉しかったです。淡々としているトーンのものって、書くのも難しいのですが、演じるのも難しそうな印象があって。きっと得意、不得意もあるだろうし…

貫地谷:歩実のような、“別に汚いわけではないけれど、だからと言って良い人でもない”、そんな人を演じてみたかったんです。普通の生活の中で、誰もが抱えたことのある淡々とした気持ちを表現してみたかったんですよね。すごく楽しかったです(笑)。

渡邉:貫地谷さんってそういったお芝居がお上手な印象があったので、貫地谷さんが演じてくださると聞いて、すぐにイメージが湧きました。もちろん決定稿になるまでに多少の修正はしたのですが、最初に私の書いたラインを貫地谷さんがさらに広げてくださったことが嬉しくて。それに加えて、私が想像していた以上の素敵な演出を監督がしてくださって、本当に脚本家として嬉しいことが詰まった作品になりました。

貫地谷:嬉しい~。ありがとうございます。

渡邉:私、貫地谷さんを画面越しに拝見していた時から「所作がすごく美しい方だな」と思っていたんです。ただ美しいだけでなく、その所作が変に女性っぽくないところも好きで。男性とか女性とかではなく、人として綺麗に生きている貫地谷さんの雰囲気が歩実と相まった結果、歩実がドロドロしい女性になっていないところが「さすがだな」と思いましたし、“自分の意志を貫く女性”としてキャラクター像を築いてくださっていて嬉しかったです。

役者・貫地谷しほり×脚本家・渡邊真子

#1「空を読む」× 監督:楢木野礼

貫地谷:監督も本当に素敵な方でした。光太くん(渡辺大知)とのシーンで、台本では「“ごめんなさい”と言って泣く」と書かれていたシーンがあったのですが、泣くのをやめるかどうかを結構議論させていただいたんです。そこで監督が「涙は最後にとっておきましょうか」と仰ってくださって。私のお話をすごく聞いてくださる監督で、とてもありがたかったです。あのシーン、泣かなくて大丈夫でしたか…(笑)?

渡邉:大丈夫でした(笑)!実は、撮影に入る前に監督から「貫地谷さんとお話して、ここで泣かないパターンもあるかもしれないです」とお伺いしていたんですよ。

貫地谷:え、そうだったんですか!

渡邉:そうなんです。私としては、1時間という尺の中で感情の緩急をどうつけるか、を考えて“泣く”という表現を書いたのですが、貫地谷さんのお話をお伺いして「なるほどな」と納得しましたし、きっと、泣くほど劇的にすることがベストではなかったのかもしれないなと思って

貫地谷:今回は撮り順がバラバラで最後のほうから撮影していたので、光太くんとの撮影の前に歩実として結構泣いていたんです(笑)。最後のシーンが大事だと思ってたので、このシーンでは泣かない方がいいんじゃないかと思って。

渡邉:うん、歩実の年齢的なこともそうですし、物語全体で描かれている悩みの度合いとしてもベストなシーンになっていたと思います。出来上がった映像を拝見して「現場の空気がすごく良かったんだろうな」と感じましたし、上手いこと脚本を映像が助けてくれて良い物になったんだと思いました。

貫地谷:いやいや、これは何でもそうなんですけど、本の力です。いくら良い物語があったとしても、本次第なんですよ。「本は微妙だったけど良いドラマでしたね」ってことは絶対にないと思っていて。そこで私たち出演者の目線も決まってきますし。面白い本をありがとうございました。

役者・貫地谷しほり×脚本家・渡邊真子

#1「空を読む」
好きな台詞と好きなシーン

貫地谷:私、渡邉さんの書かれていたモノローグがすごく好きで、中でも「10kg のダンベルは持ち上げるのに、ペットボトルのキャップに耐えうる握力はない」の台詞が大好きなんです(笑)。「分かる分かる~!」って(笑)。好きなシーンでいうと、雨の中で三浦さんと渡辺さんの目が合う時の三浦さんがすごく好き。あとは、橋の上のシーンの渡辺さんも好きだな~。渡辺さんって、なんだか存在がすごくエモいんですよ(笑)。

渡邉:分かります(笑)。私、今回のキャスティングを聞いた時に、歩実の男性の趣味が明確過ぎて驚いたんですよ。ドラマ内でこんなに、昔付き合っていた彼と現在のパートナーの系統を揃えてくることってあるの?って(笑)。

貫地谷:あははは(笑)。三浦さん、『キングダム』の撮影で増量されていたこともあり、だいぶ大きくなっていらっしゃったんですけど、それがまた可愛くて本当に素敵でした(笑)。

DREAMS COME TRUE全面協力の今作。
お2人にとってDREAMS COME TRUEとは?

貫地谷:小さい頃からずっと聴いていた、当たり前にある音楽を築かれたアーティストさん、という印象です。そして「歌手というのはこんなに歌が上手いものなのだから、私の人生の選択肢に歌手はない」と思わせてくれた方々でもあります(笑)。

渡邉:あはは(笑)。私も貫地谷さんと同じで、ドリカムさんの音楽はずっと傍にあった曲たちというイメージです。他のインタビューで中村さんが「世代が違う」と仰っていたんですが、そんな感じはまったくしていなくて。物心ついた時からドリカムさんの音楽はそこにあって、今まで途切れることなくあり続けている、変わらない音楽という印象ですね。あとは、昔の曲を聴いても全然時代を感じないんですよ。例えば1900年代に出された楽曲を、今ドリカムさんが新しい曲としてリリースされても違和感がないと言いますか。

貫地谷:分かります。あとは吉田美和さんの声。何かストーリーを感じるような声なんですよね

役者・貫地谷しほり×脚本家・渡邊真子

Dear LANDOER読者
About ドラマ「5つの歌詩(うた)」
#1「空を読む」

From 歩実役・貫地谷しほり

今まで、恋愛作品については割とコメディー色の強いものに出演することが多かったのと、普通の人を演じる機会が少なかったのですが、今回は今までで一番“普通の人”を演じさせてもらっています。この作品に関われたことがすごく嬉しかったですし、やり甲斐もありました。「こういった部分を見て欲しいな」と個人的に思っていた部分が詰まっているので、是非、そこにも注目して観ていただければな、と思います。

From 脚本家・渡邉真子

ドリカムさんの曲にも描かれているように、人生は「ハッピー!」ってことだけではないけれど、どんなことがあっても周りを見渡せば誰かがいて、自分が思っている以上に自分を支えてくれる環境があると思うんです。この作品を観て「心に突っかかることがあっても、自分の心を相手に対して開くことが、状況を良くする方法なんだ」ということに気づいてもらえたらいいな、と思います。私自身、何かに悩みのある方々が「空を読む」を観ることで、少しでも勇気が出たり、心が救われたりしたらいいな、と思って書いたので、貫地谷さんの素敵なお芝居と共にリラックスして観ていただけたら嬉しいです。

役者・貫地谷しほり×脚本家・渡邊真子

貫地谷しほり(36)

かんじや しほり

1985年12月12日生まれ。
冬の陽射しのように朗らかな情調と、
シャンと通った一本軸で〈役〉を魅力的に照らし出すDOER

オリジナルドラマ『5つの歌詩(うた)』

DREAMS COME TRUE全面協力 × 脚本監修:岡田惠和
オリジナルドラマ「5つの歌詩(うた)」

スターチャンネルEXにて独占配信中
8月13日(土)よりBS10スターチャンネルにてテレビ初放送

#1「空を読む」
出演:貫地谷しほり 三浦貴大 渡辺大知
脚本監修:岡田惠和 脚本:渡邉真子
監督:楢木野礼

Staff Credit
カメラマン:田中丸善治
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:吉田彩華