

Founder & CEO
澤村直道

BUMP創業者 / ショートドラマプロデューサー
1994年生まれ。北海道札幌出身。立教大学経営学部卒。
2018年11月にemole株式会社を創業。
Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023 選出。
B Dash Camp 2024 Spring in Sapporo「Pitch Arena」準優勝
IVS2024 LAUNCHPAD KYOTO 4位
ショートドラマ配信アプリ
BUMPを運営する
emole株式会社 代表取締役の仕事
「BUMP」というショートドラマ配信プラットフォームを運営している「emole株式会社」の代表取締役を務めています。
事業の立ち上げから現在に至るまで、フェーズごとに仕事の内容は変化してきましたが、現在の主な仕事内容は大きく分けて3つ。一つは、起業家として、社内外にビジョンを語り、事業の可能性を示していくこと。これは組織や事業運営上ももちろんですが、外部から資金調達を行う、ファイナンスにも関わります。もう一つは、 “アプリを開発・運営する部署”と“アプリで配信する動画コンテンツを制作する部署”の二つに分かれている会社組織のうち、コンテンツを制作する部署のマネジメント。そして最後に、1人のプロデューサーとして、動画コンテンツの企画・制作もしています。
澤村さんが起業を考えたきっかけ
もともと「起業したい」という想いで上京し、大学では経営学を学んでいました。自分の将来像として、「社会に出てからも、自分の好きなことをして生きていける人を増やしていきたい」というビジョンを思い描いていたんです。
その原点には、小学生の頃から抱いていた「大人になりたくない」という感覚があったと思います。学年が進むにつれてどんどん勉強が大変になるのも嫌でしたし、ずっと遊んでいたくて(笑)。
そんななか、中学生になってバスケットボール部に入ったことで、初めて何かに没頭し、仲間と一緒に熱中する楽しさを知りました。「これが生きている感覚なんだ!」と思うほど充実した時間だったのですが、あるとき、怪我をきっかけにバスケを続けられなくなってしまったんです。
そこで、「バスケの代わりに、自分が夢中になれるものを見つけたい」と考えた結果、辿り着いたのが“起業”という生き方でした。学生時代には、サークルや部活動のように、お金や仕事とは関係なく、仲間とともに熱量をもって取り組める場所がたくさんある。そんな“好きな仲間と好きなことに夢中になれる場所”を、社会にも増やしていきたいと思ったんです。

はじまりは、
マッチングプラットフォーム「emole」
実は、最初からショートドラマ配信アプリを運営しようと思って起業したわけではありません。創業当初は独学でUI/UXデザインを学びながら、Webサービスやアプリを作りたいクライアントさんの相談を受けてカタチにしていく、サービスの受託開発をしていました。
そんななかで、「好きな仲間と好きなことに夢中になれる場所を作りたい」というビジョンを実現するべく、プロジェクトを立ち上げたい人が仲間を集められるマッチングプラットフォーム「emole」を立ち上げたんです。
ちなみに、現在の会社名であると同時に当時のサービス名でもある「emole」は、“emotion”と“puzzle”を組み合わせた造語。一人ひとりの感情は一見バラバラに見えるけれど、同じ目標に向かって困難や喜びを分かち合うことで、それぞれのピースがはまって一つの景色になっていく、という想いを込めて名づけました。
直面した危機と、
エンタメとの出逢い
しかし、マッチングプラットフォームを制作していた頃、一緒にサービスの立ち上げに携わってくれていた仲間に、創業資金を持っていかれてしまうという事件が起こります。
親から借りたお金とクラウドファンディングで集めた約300万円の資金のうち、失ったのは200万円。すでに開発を進めてくれていたエンジニアへの報酬も支払えない状況となり、借金だけが残ってしまって。結果として、マッチングプラットフォームの運営を断念せざるを得なくなってしまいました。
その後、借金を返済するために再び受託開発に注力していくなかで、マッチングプラットフォーム「emole」を通じて出会った仲間たちとともに、ミュージックビデオの制作やYouTubeチャンネルの運営など、エンタメ領域の仕事に携わるようになります。
実際にエンタメ領域の方と関わってみると、その仕事だけで生計を立てることの難しさを感じるようになりました。しかし同時に、作品づくりの現場には、情熱やスキルをもった人が集まり、好きなことに本気で向き合う姿がある。それは、自分が思い描いていた理想の社会にとても近いとも思ったんです。
そこで「エンタメや作品づくりの現場で活躍していける人を増やしたい」という新たな目標が生まれました。エンタメの仕事だけでは生計を立てることが難しい状況も多いなかで、作品を生み出す人たちがきちんと対価を得ながら、挑戦を続けられる持続的な環境をどう作るか。その方法を模索するようになりました。

ショートドラマ配信アプリという
新たなマネタイズシステム
ちょうどその頃、YouTubeやTikTokの登場によって、個人が動画を作成し、広告収入を得られる時代が到来していました。しかし、ダンスやバラエティなどのコンテンツは個人で作成・発信しやすくなっている一方で、ドラマや映画のようなストーリコンテンツは制作に時間も予算もかかるため、まだまだ間口が狭かったんです。
「ストーリーコンテンツも個人発信の仕組みにうまく乗れないだろうか」と考えたものの、YouTubeは再生単価が0.1~0.5円ほど。たとえ100万回再生されるような素晴らしいコンテンツを作ったとしても、十分な収益に繋がりにくい状況でした。ドラマ制作には莫大な時間や労力がかかるもの。経済的なリターンが少ないと持続性がないことが課題でした。
一方で、あらゆるものがショート化していっている世の中で「ショートドラマも絶対に需要がある」という確信がありました。
そこで、着目したのが、電子漫画アプリのビジネスモデル。電子漫画アプリでは、短い話数ごとに購入できつつ、「待てば無料」といった機能もあり、読み手のタイミングで気軽に読書や購入ができる仕組みが整っています。1話ごとの価格はとても安い一方、結果的に単行本や映画館よりも高い収益も生み出せるこの構造は、きっとドラマにも応用できるはずだと考えたんです。
スタートアップとしての資金調達
まずはスタートアップとしてサービスを立ち上げていこうと考え、ベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達を目指しました。
VCは、将来的に大きく成長する可能性のある企業に投資し、その企業が上場やM&Aによって企業価値を高めた際のリターンを期待しています。そのため、自分の事業がどれだけ大きく成長していくのか、どのように経済的な規模を大きくしていけるのかといった戦略を設計し、さまざまなVC向けに資料を作って、資金調達していきました。

エンタメ領域における
資金調達の難しさと、
澤村さんが目指す
コンテンツファンドの仕組み
スタートアップのビジネスの場合、市場規模や成長性などのデータをもとに、事業の可能性をある程度ロジカルに示すことができます。一方で、エンタメ作品への投資は全く別の難しさがあると思っていて。「なぜこの作品がヒットするのか」ということは、論理的に説明しにくいものなんです。
また、海外では映画などのコンテンツに対して投資や融資を行う仕組みが比較的発達していますが、日本では、クリエイターや作品が資金を調達するための選択肢がまだ限られているのが現状です。
だからこそ、僕は将来的に“コンテンツファンド”のような仕組みを作りたいと考えています。VCが投資家から資金を集めて企業へ投資するように、コンテンツファンドでは、コンテンツに対して出資をして、そのコンテンツから生まれた収益が還元される。ショートドラマ市場がもっと盛り上がっていけば、その仕組みも十分に成立するはずだと思うんです。
面白い作品のアイデアや才能をもったクリエイターに資金が届き、新しい挑戦が生まれていく。そんな仕組みを作ることが、今後実現したいことの一つですね。
ビジネスパーソンとクリエイター、
それぞれがもつ性質
ビジネスパーソンとクリエイターでは、物事の捉え方に違いがある気がします。ビジネスパーソンは、「いかに効率よく進められるか」「どうすれば最短距離で成果を出せるか」を重視する方が多い。一方でクリエイターは、「どうすれば妥協せずにものを作れるか」を重視している気がします。作りたいものを実現するための、こだわりの強さや泥臭さが印象的ですね。
仕事を続けていくうえでは、「何が好きか」や「何が得意か」だけでなく、「何にストレスを感じるか」も大切だと思っています。たとえば、妥協することに強いストレスを感じる人はクリエイター気質が強いのかもしれません。対して、大枠を捉えながら効率的に仕事をこなしたい人は、ビジネスサイドの考え方に近い気がします。
多くの人が両方の性質をもっていますが、その比重は人それぞれ。そして、仕事の中にもビジネスよりの仕事やクリエイター寄りの仕事など様々なポジションがあるので、自分の適性を見極めて、関わり方や働き方を変えていけたら良いと思いますね。

苦手だった「遠回りな会話」の価値
僕自身、以前は“ゴールの見えない会議”が苦手でした。結論に向けて、最短距離で議論を進めていくべきだと考えていたからです。しかし実際にものづくりの現場に入ってみると、一見関係のなさそうな雑談や脱線が、作品づくりのヒントになることもあって。話の脱線によってその人の行動原理や価値観を理解できることによって、逆に結論に納得できたりもするんです。そうした経験を重ねるうちに、遠回りな会話にも苦手意識がなくなっていきましたね。
作品づくりに関わるお仕事に
向いているのは、
“ものづくりの過程を楽しめる人”
僕自身はゼロからものづくりをするというより、誰かがもってきたアイデアを「これは面白くなりそうだ」とピックアップし、その企画を一緒にブラッシュアップしていく方が得意だと思っています。クリエイターに向いているタイプではないかもしれませんが、一方で、仲間と一緒にものづくりをする過程は大好きなんです。人には向き不向きがありますが、作品づくりが楽しいと思えるのであれば、この仕事に向いているかもしれませんね。

澤村さんから、
これから働くことに向き合う読者へ
没入できるものに出会えるまで、まずはさまざまなものにチャレンジしていくことが大切だと思います。
学生時代は勉強もしなければなりませんが、意外と自由に使える時間が多い期間。もしも何かチャレンジしたときに「いまさら始めても遅いかもしれない…」と悩むことがあったとしても、社会に出てから振り返ると、学生のうちに始めることは決して遅くないんです。むしろ大人になればなるほど、新しいことに挑戦するハードルが高くなっていくので、どんどんチャレンジしてほしい。
学生時代は特に感性が磨かれ、いろいろなことに心が動く時期でもあります。そのなかで、自分が何が好きで、何が苦手で、どんなことに喜びを感じるのかを、たくさん経験しておくことが大切。その体験の積み重ねが、大人になったときに、自分自身の指針になってくれるはずです。
澤村さんの一日
9:00
起床
12:00~
打ち合わせや現場 打ち合わせは少なくて1日に4件、多くて10件ほど
19:00
企画や脚本のチェック
22:00
退社
26:00
就寝
取材協力:emole株式会社

BUMPオリジナルドラマ『ラウンジ嬢の本指客2』
出演:下京慶子 大和田南那 宮崎あみさ
水瀬紗彩耶、佐伯大地 他
監督:のむらなお 脚本:満斗りょう
エグゼクティブプロデューサー:澤村直道(emole)
プロデューサー:藤田結衣(emole)
寺地真一 牛奥学
Staff Credit
編集:Asaka.T
インタビュー:満斗りょう
記事:Suzu
ページ運用:Mo.et



