“深層心理”という迷宮を覗いてみたい貴方へ

映画『君のクイズ』

“深層心理”という迷宮を
覗いてみたい貴方へ

映画『君のクイズ』
©2026 映画『君のクイズ』製作委員会

-Introduction-

 作家・伊坂幸太郎をはじめ、佐久間宣行ら各界のトップクリエイターたちがこぞって激賞。2023年本屋大賞ノミネート、第76回日本推理作家協会賞受賞と、文学界に衝撃を与えた小川哲の傑作ミステリー『君のクイズ』が、ついに待望の実写映画化を果たす。賞金1000万円を賭けた生放送のクイズ番組、決勝戦。「0文字解答」という不可解な奇跡。クイズ番組の優勝者は、なぜ問題を1文字も聞かずに正解できたのか?監督は『ハケンアニメ!』や『沈黙の艦隊』シリーズの吉野耕平。クイズプレイヤーの脳内で繰り広げられる思考の迷宮を、かつてないVFX表現でスタイリッシュに可視化する。主演の中村倫也、そして神木隆之介、ムロツヨシという実力派俳優たちの共演により、知略と情熱がぶつかり合う、極上の“クイズ・ミステリー”が誕生した。

-Story-

賞金1000万円を賭けて戦う、生放送クイズ番組 “Q-1グランプリ”の決勝戦。日本中が注目する中、“クイズ界の絶対王者”・三島玲央と“世界を頭の中に保存した男”・本庄絆は共に優勝まであと一問と、王手をかけた。そして迎えた最終問題、早押しクイズ。張り詰めた空気の中、本庄は問題を1文字も聞かずに解答ボタンを押す。会場がどよめく中、なんと正解を言い当て、優勝者となった。やらせ? トリック? それとも魔法?三島は前代未聞の「謎(クイズ)」に挑む——。「謎(クイズ)」に隠された、クイズプレイヤーたちの《人生》。解き明かされる《真実》とは—— これは全国民(あなた)へのクイズ。

伊藤さとり’s voice
伊藤さとり’s voice

2022年に公開された映画『ハケンアニメ!』はヒットというより作品のクオリティの高さで評価され、当時、映画ファンの間でも話題となった。監督を務めたのは2020年に中村倫也主演によりオリジナル脚本『水曜日が消えた』で映画監督デビューを果たした吉野耕平。その作風は『君の名は。』(2016年)でCGアーティストとして手腕を発揮した通り、現実世界の中に文字を浮遊させるなど、デザインセンスの高い構図を生み出すのが特徴的だ。近年では高いCG技術が必要となる『沈黙の艦隊』(2023年)シリーズでも監督を務めているが、今回、再び中村倫也とタッグを組み、直木賞作家・小川哲の原作となるクイズ王が挑むクイズ番組に仕掛けられた謎を解き明かすミステリーに挑んだ。

この作品の舞台はクイズ番組のスタジオが主。回想シーンはあるものの、ロケーションも多くはなく、主要人物もそう多くはない分、変化ある演技で観客を惹きつけられなければ映画としてはつまらなくなってしまう。しかも頭脳戦を描くのだから演技スキルを要する作品だ。それだけ難易度の高い役を見事にやってのけたのが、中村倫也と神木隆之介、そしてムロツヨシだった。まず、うちに秘めた感情を細やかな表情の変化や声のトーンで演じることで、観客も主人公の本心を知りたいとまで思わせたのが中村倫也だ。天才クイズ王だったはずの彼が、魔法を使うとまで言われるライバルとの決戦であり得ない負け方をしたことから、表には出せない怒りと悔しさに苛まれる姿をチラリチラリと出していく。そのライバル演じる神木隆之介はドラマティックな演技とシーンにより変化する風貌で、観客を翻弄していくのだ。特に注目すべきはコミカルな演技に定評があるムロツヨシだ。思えば実写映画初主演となる『マイ・ダディ』(2021年)ではシリアスな演技で観客の涙を誘ったほど、実は様々な表情を持っている役者だ。本作ではテレビ番組の総合演出役で、独特のリズムで語る姿から一癖も二癖もある人物としてスクリーンに姿を現す。

更に閉鎖感あるスタジオ内を魅力的な空間に変えてしまうのが、脳内で展開されるクイズの答えを導き出す数式のような図解。他にも誰かの思いが文字となって空を泳いだりと、吉野監督らしい人間の内面を映像化した手法が映画全体のセンスを上げていく。そんな本作だが、描かれるのは人間の本音は多くの感情の奥底に隠れており、決して簡単でないということのように思えた。人は一面でも二面でもなく、様々な顔を持っており、触れてもらいたくない顔は隠しているのだと。それをクイズ問題のようなミステリーとして表現した『君のクイズ』という映画は、人間の深層心理という迷宮そのものだった。

映画『君のクイズ』
2026年5月15日(金)公開

出演:中村倫也 神木隆之介
   森川葵 水沢林太郎 福澤重文 吉住
   白宮みずほ 大西利空 坂東工
   ユースケ・サンタマリア / 堀田真由 ・ ムロツヨシ
原作:小川哲『君のクイズ』(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
監督:吉野耕平(『ハケンアニメ!』『沈黙の艦隊』)
脚本:おかざきさとこ 吉野耕平
音楽:Yaffle 斎木達彦 クイズ監修:QuizKnock

映画『君のクイズ』
©2026 映画『君のクイズ』製作委員会