【吉川愛】映画『ALIVE HOON アライブフーン』〈リスペクト〉を宿した無二の関係に心がぎゅっと熱くなる

吉川愛

映画『ALIVE HOON アライブフーン』
〈リスペクト〉を宿した無二の関係に
心がぎゅっと熱くなる

“ひとり”だけど、“独り”じゃない――砂煙舞うフィールド、車のハンドルを握るのはひとり。けれど、彼らの背中にはたくさんの人の〈愛〉と〈技術〉がある。安心して相棒に身を委ねることができるのは、そこに〈信頼〉という絶対的な絆があるから。車、そして選手への〈愛〉を自身の技術に変えて、彼らを支える“メカニック・武藤夏実”を演じた吉川さんに、心が騒めく120分間のレースについてたっぷりとお話をお聞きしました。

映画『ALIVE HOON アライブフーン』

映画『ALIVE HOON アライブフーン』
(C)2022「アライブフーン」製作委員会

-STORY-

大迫力のライド感!全身を貫く衝撃!
五感が炸裂するスピード!
究極体感ドリフトエンターテイメント!

解散の危機に瀕するドリフトチームがスカウトしたのは、内向的な性格から人付き合いが苦手だが、ゲームにだけは驚異的な才能を放つゲーマー・大羽紘一。実車でもその力を発揮する紘一だったが、彼の前に生死をかけてレースに挑む者たちが立ちはだかる。今、紘一の覚醒したテクニック・情熱・勇気、そしてチームワークは、バーチャルとリアルの壁をブチ破り、新たな極致へー

-武藤夏実-

将来有望な新人メカニック。亡き母に代わってチームを支える、明るく真っ直ぐな性格。紘一(野村周平)がゲームに戻るのではと不安になる。

吉川愛

『ALIVE HOON  アライブフーン』× 吉川愛

最初に作品のお話を聞いた時は正直不安が大きかったです。というのも、小さな頃から洋画が好きで、その中でも『ワイルドスピード』をよく観ていたので、カーレースのリアリティを邦画の中でどこまで再現できるのかな、という気持ちがあって。内容的にはすごく面白かったですし、この作品がカッコよく撮れたら絶対に素敵な作品になることも分かっていたのですが、観るまでは不安でしたね(笑)。

武藤夏実 × 吉川愛

SNSなどで私のことを見た方には「大人しそう」と思われることが多いのですが、結構ずっと話しているタイプ(笑)。私自身はどちらかというと夏実寄りの性格なので、すごく演じやすかったです。役によっては話し方やトーンを変えてお芝居することもあるのですが、夏実に関しては「このままで大丈夫」と(笑)。さすがに夏実ほど強くはないけれど、割と素を出してお芝居をしていた気がします。

演じた吉川さんだからこそ分かる
夏実の一面はありますか?

夏実は周りに女性がいない環境で育ってきた子なので、すごく男勝りなんです。自分の好きなことをしている時も、仕事をしている時も周りが全員男性なんですよね。なので、無意識のうちに口調や態度もきっと男らしくなっているだろうと思って、食事をする時も、髪を触る時も「女性らしさを抜かそう」と意識して演じていました。途中で紘一のことを意識し始めたくらいから、少しずつメイクをするようになったり、髪型を少し変えるようになったりして。メイクさんに「ピンク色のアイテムを足していくのはどうですか?」と相談したりしながら、夏実の新しい表情を見せるようにしていました。

吉川愛

等身大の夏実の変化がとても可愛らしかったです。
では、逆に監督から「こうして欲しい」と
言われたことはありましたか?

基本的には「吉川さんのしたいようにして」と仰ってくださっていたので、どちらかというと、やりづらいと感じるところや、もう少しメカニックな動きが欲しいと思うところに関して自分から相談をしに行っていました。ただ、紘一への夏実の想いに関しては「ガッツリ恋をしているような表情はしないで欲しい」とは言われていて。私も、「夏実の紘一への想いは彼女の中でもまだ明確に見えていない」と思っていたので、そこは監督の意見と一致した部分でした。夏実にとって紘一が尊敬できるドライバーであることは間違いないのですが、だからと言って全部を信用している相棒とはまた違って…お互いにすごく難しい立ち位置にいる人なんですよね。ただ、私は2人の関係がすごく好きなんです。普通の男女っぽくもないし、仕事相手とも違うけれど、お互いを信用してドリフトをして2人で成功させていく、そんな一言では説明できない関係性がいいな、と。

そんなお2人のドリフトシーンも見どころですが、
吉川さんの撮影は少し特殊だったんですよね?

そうなんです。私は運転免許を持っていないので、いつも指導をしてくださっていたドライバーの澄花さん(久保川澄花)に走行してもらって、そのハンドリングなどを真似しながら撮影をしたんです。ドリフトを体験しながら手さばきを見ていたのですが、すごく速くて「かっこいい…」と感動していました。

実際にドリフトを体験されてみていかがでしたか?

私、あまり“G”というものが理解できていなくて…(笑)。澄花さんが、“G”がかかるタイミングで「次、もっと“G”かかります」と言ってくださるんですけれど、「あれ?なんか平気だな?」といった感じで、「楽しい!」と思いながら乗っていました(笑)。実際にドリフトレースに使用されている車にも乗せていただいたのですが、車体を軽くするためにいろいろな物をはぶいていたり、扉がすごく薄かったりするので車の中に砂煙が入ってくるんです。そんな状況の中でドリフトをしてギリギリを攻められるプロの技術に感動しました。感覚なのか、もはや砂煙の中でも見えているのか…(笑)。

吉川愛

確かに!まさにプロ技ですね。
“チームワーク”に関しても、
とても丁寧に描かれている今作ですが

現場のチームワークはいかがでしたか?

とても良かったと思います。夏実は長ゼリフだったり、泣いたりするシーンがあったのですが、何度も繰り返し撮影していると、どうしても感情のコントロールが難しくなってしまうんです。それを察して一発目の演技をきちんと撮ってくださったり、寒い現場の中ですごく優しい心遣いをいただいたり。サーキットでの撮影がマイナス何度って気温で本当に寒かったんですけど、現場でいろいろな方がカイロをくださって(笑)。本当に優しくしていただきました。

そんな中で垣間見えた、
監督のこだわりはありましたか?

とにかく車とキャストへの愛がすごいと感じました。車をカッコよく見せるためのカメラワークもそうですし、夏実のカッコよさをどうやって出すのかも中村さん(レースカー実走・中村直樹)とよくご相談されていて。朝から夜までの撮影の中でも、毎日毎日その熱が伝わってくるので「すごいな」と思うのと同時に「もう少し休んでください」とも思っていました(笑)。でも、そんな監督だったからこそ、本当にカッコよくて素敵な作品が完成したんだと思います。

作品の中で、夏実が黙って見守り応援する姿も
カッコいいと感じたのですが、
吉川さんご自身が今までに感じた
“応援の力”はありますか?

やっぱり、ファンの皆さんに「応援しています」と言われると「頑張ろう!」と思えますし、イベントなどの短い時間の中でも想いを伝えてくださるのが本当に嬉しく感じるんです。私は「少しでも観てくださる方を元気づけられたらいいな」と思いながら、好きな仕事をやらせていただいているのですが、なかなかその反応を生の声で聞くことってなかったりもするので、実際にファンの皆さんにお会いするとすごく安心しますし「やっていて良かったな」と心から思えます。

吉川愛

そういった想いで吉川さんが演じられるからこそ
観る方がパワーを受け取れるのだと思いました。
そんな吉川さんにとって、今まで演じられてきた
役たちはどういった存在ですか?

演じるとなると、その子自身になるためにその子を詳しく知る必要があるんです。毎回、作品のシーンを順番に撮影するわけじゃないので、ごちゃごちゃになってしまう時もあるのですが、ワンシーンワンシーンを丁寧に演じて自分の中にその子を落とし込んでいく瞬間はすごく楽しくて。素敵な部分も嫌な部分もたくさん見せて「こういう人もいるんだな」と思いながら、演じることができるのが自分の役なので、私にとっては必要不可欠な存在です。役がないとこの仕事も出来ないですしね(笑)。

Dear LANDOER読者
Pick Up One Scene
From映画『ALIVE HOON アライブフーン』

作中でみんなでお鍋を食べているシーンがあるのですが、そのシーンがすごく好きなんです。車のことを一切考えず気も張っていないシーンなので、みんなの素がすごく出ているんですよ(笑)。撮影の時もお鍋を映すシーン以外はすべてワンカットで撮影していて。私もみなさんもすごく自由にお芝居をしながら、一回の撮影で撮り終えたシーンなんです。観ていてもまったりできるシーンですし、気を張るシーンが多い中でフッと安心できる場面でもあるので、お気に入りのワンシーンになりました。

吉川愛

吉川愛(22)

よしかわ あい

1999年10月28日生まれ。
温和な瞳で周囲に〈愛〉を灯しながら、
役と一体化する責任感に満ちた職人性を光らせるDOER

映画『ALIVE HOON アライブフーン』
2022年6月10日(金)ロードショー

出演:野村周平 吉川愛
   青柳翔 福山翔大 /モロ師岡 土屋アンナ
   きづき/本田博太郎
   土屋圭市(友情出演)/陣内孝則
監督・編集:下山天
配給:イオンエンターテイメント

映画『ALIVE HOON アライブフーン』
(C)2022「アライブフーン」製作委員会

Staff Credit
カメラマン:田中丸善治
ヘアメイク:室橋佑紀 
スタイリスト:倉田強
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:吉田彩華