【柄本佑】映画『ハケンアニメ!』 アニメ業界を駆け抜ける 〈好き〉をつらぬく戦士たちの英雄譚

柄本佑

映画『ハケンアニメ!』
アニメ業界を駆け抜ける
〈好き〉をつらぬく戦士たちの英雄譚

〈ひとつ〉のものを作り上げる時、一つの道を皆で進むことは不可能だ。なぜなら手を取り合って、同じ歩幅で仲良く…そんなまろやかなルートはプロ集団の中には存在しないから。各々が持つ武器を時に仲間に差し付けながら、苛立ち、許し、認め、尊ぶことで一つの道に違う歩幅の信念が集まってくる。そうして完成する彼らの結晶。その結晶に与えられた〈魔法〉が、また誰かの武器を磨いてゆく。この世界で踏ん張るすべての人へ、強く逞しく生き抜く力を〈アニメ〉を通して響かせたい――覇権を狙う作り手たちの闘いが火花を散らす!

映画『ハケンアニメ!』

映画『ハケンアニメ!』
©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会

-STORY-

連続アニメ『サウンドバック 奏の石』で夢の監督デビューが決定した斎藤瞳(吉岡里帆)。だが、気合いが空回りして制作現場には早くも暗雲が…。瞳を大抜擢してくれたはずのプロデューサー・行城理(柄本佑)は、ビジネス最優先で瞳にとって最大のストレスメーカー。「なんで分かってくれないの!」だけど日本中に最高のアニメを届けたい!そんなワケで目下大奮闘中。最大のライバルは『運命戦線リデルライト』。瞳も憧れる天才・王子千晴(中村倫也)監督の復帰作だ。王子復活に懸けるのはその才能に惚れ抜いたプロデューサーの有科香屋子(尾野真千子)…しかし、彼女も王子の超ワガママ、気まぐれに振り回され「お前、ほんっとーに、ふざけんな!」と大大悪戦苦闘中だった。瞳は一筋縄じゃいかないスタッフや声優たちも巻き込んで、熱い“想い”をぶつけ合いながら“ハケン=覇権”を争う戦いを繰り広げる!!その勝負の行方は!?アニメの仕事人たちを待つのは栄冠か?果たして、瞳の想いは人々の胸に刺さるのか?

-行城理-

トウケイ動画のチーフプロデューサー。制作現場と宣伝サイド、スポンサー陣などの間に立ち、総合ビジネスとしてのアニメプロジェクトを統括。綺麗事では語れない業界の裏方を引き受け、作品を世に届けるためには自分が悪者になることも厭わない。

柄本佑

行城理 × 柄本佑

行城は“クセの強い人”と説明されているのですが、演じる際は彼のクセの強さはそこまで意識せず、台本に書かれている行城がそのまま『行城 理』として作品の中にいることができているかを考えていました。ただ一つ考えていたこととしては、作中で斎藤監督が「行城さんは私を食い物にしてる!」と怒る場面があるのですが、設定として行城は斎藤監督のその言葉を陰で聞いていたことにしたんです。その場面までは斎藤監督に寄り添うような部分は皆無にして、非常なほど非情で良いと監督とも話し合いながらやっていました。監督と密に話し合いながら撮影していったというよりは、僕と監督の持っている行城像が一回目の本読みから差がなかったのでやりやすかったです。

敏腕と言われる行城プロデューサーですが、
柄本さんご自身と似ている部分はありましたか?

どうだろう…あるのかな?いや、いまピンときて「ないな!」と思ったので、ないと思います(笑)。ただ、行城の言動に共感するところや、実際のアニメ業界を見たことはないけれど「あるあるなのかな」と思う部分はたくさんあります。この作品の登場人物たちはそれぞれが自分の持つ正義のもと、作品が良くなるように努めているだけなんです。そこに差が生じているだけで、みんな想いとしては同じなんですよね。僕はその想いこそが大事だと思って演じていました。

柄本佑

作り手にも響く言葉や場面が盛り沢山の今作。
アニメのキャラクターを
我が子のように愛する登場人物たちですが、

柄本さんにとってご自身の演じられた役は
どんな存在ですか?

斎藤監督の場合はキャラクターの生みの親だと思うのですが、僕らの場合は監督やプロデューサーの方がいて、原作モノであれば原作者の方がいて、それを踏まえたうえで台本から役が生み出されてくるので、“生む”という立場ではないような気がします。ゼロから1になった台本のセリフ一つひとつを“てにをは”から大事にしていくことが、僕ら役者が役に対してやるべきことなのかな、と。そこには役に関する大切なヒントがたくさん隠されていると思っているので、台本通りのセリフや所作をきちんとやっていくことを一番大切にしています。

台本に描かれている、
その役の大切な軸を汲み取って
表現していくんですね。

そうですね。そして台本に書かれている2Dを実際に3Dに転換した時に、1次元分の差をどう変えていけるのかを考えていく。やっぱり3Dになると出来ないことと出来ることがあるので、方法を考えながら台本に描かれた世界や音を現実の世界に具現化していくことが僕らの仕事だと思っています。

柄本佑

そうやって作った作品が世の中に出る時、
作中の斎藤監督同様、緊張されるものですか?

斎藤監督のように、僕が出演した作品を「観た方はどう思うのか」をプレッシャーに感じることはそこまでないのですが「たくさんの方に観ていただきたい」という気持ちは斎藤監督と同じです。と言うのも、僕は「観てもらって作品は初めて完成する」と思っているので。その作品に関わった者としてたくさんの方に観ていただきたいと心から思っているからこそ、そのための宣伝やSNSなどを自分が無理をしない程度でやろうと意識しています。やっぱり“届けるための努力”が大事だな、と。

モノづくりの世界に身を置く人たちが
とても丁寧に描かれている今作。
柄本さんがグサッときた場面やセリフはありますか?

グサッと来たというか「あー、そうそう!」と思ったのは、タイトルバックに行く前に斎藤監督がいろいろな部署へ行って自分のイメージを伝えるシーンで、感覚で伝えたら「数字で言え」と言われて、数字で言ったら「感覚で言え」と言われているのを観て、「これはどういった世界でもあるんだな」と思いました。モノづくりの上の人に回される感じが「こういう人、現場で見たことあるな」と思って(笑)。

柄本佑

柄本佑

あはは(笑)。
その場面を俳優の視点からご覧になってみて
いかがでしたか?

それぞれの監督によって違うと思うのですが、僕の場合は数字で指示をされたことは経験としてはなくて。どちらかと言うと感覚で指示を受けることが多い気がします。強いて言えば「このセリフの後にこっちを向いて」「これを見た後に、また顔を戻して」という動きの指示が、アニメ業界における数字的なものに置き換えられるのかな、と思いますね。

柄本さんご自身が、いまの仕事を続けてきた中で
印象に残っている言葉は何かありますか?

一番印象に残っているのは母に言われた言葉。僕、作品の初号試写(作品が出来上がって最初の関係者による試写)を観た時に、とにかく自分のことばかり観てしまう上に自分の粗ばかりが目についてしまう時期があったんです。自分が出ないシーンになったら、自分の反省をずっと続けて、そうして反省が終わらないうちに自分がまた出てくる…その繰り返しで。それで一度、初号試写が終わって落ち込んで家に帰り、母に「初号を観る度にガッカリしてしまう」と愚痴ったことがあって。その時、母に「この仕事は〈待つ〉のと、〈ガッカリ〉に慣れるのが仕事だぞ」と言われたんです。それを聞いて、確かに「ガッカリできなくなってしまったら、もうやる必要ないよな」と思ったんですよね。母のその言葉から「ガッカリできているうちの方が花なのかな」など、いろいろなことを想うようになりました。

柄本佑

Dear LANDOER読者
about映画『ハケンアニメ!』

各キャラクターの思惑が交差する王道なエンターテインメントの中で、倫也くん(中村倫也)と吉岡さん(吉岡里帆)が叩かれたり打たれたりしながらも信念を貫いてゆく、そんな姿が描かれている作品です。自分たちの作ったアニメに対する揺らぎを、自分を信じることで真っ直ぐに築き上げていく様が観ていて気持ちいいと思うので、観終わったあとにスッキリさっぱりしていただけたら嬉しいです。

柄本佑

柄本佑(35)

えもと たすく


生み出される作品のコンポーネントとして、
台本に息づく〈役〉を忠実に敬意を持って奏でてゆくDOER

映画『ハケンアニメ!』
2022年5月20日(金)全国ロードショー

出演:吉岡里帆 中村倫也
   工藤阿須香 小野花梨 高野麻里佳 
   六角精児 柄本 佑 尾野真千子
原作:辻村深月『ハケンアニメ!』(マガジンハウス刊)
監督:吉野耕平 脚本:政池洋佑

映画『ハケンアニメ!』
©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会

Staff Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:根本亜沙美 
スタイリスト:林道雄
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:吉田彩華