【木戸大聖】映画『きみの色』豊かな色彩とキャッチーな音楽、最高に可愛らしい3人とともに『きみの色』を探しにゆく劇場体験を

木戸大聖

映画『きみの色』
豊かな色彩とキャッチーな音楽、
最高に可愛らしい3人とともに
『きみの色』を探しにゆく劇場体験を

世界は「色」で溢れている。先天的に配色された色とは別に、私たちが生きるなかで、自分で重ね、ぼかし、時に混ぜながら作ってきた一人ひとりの『きみの色』に。誰かの色をうらやましく思うことだってあるけれど、どうかあなたの色の美しさを忘れないで。心惹かれる誰かの色以上に、たったひとつしか存在しないその色がどれほど尊く素敵なものか。自分を愛して、他者を抱きしめ、「好き」を共有したその先で、さらにまぶしい『きみの色』が世界を彩るのだから――。

映画『きみの色』

映画『きみの色』

-あらすじ-

わたしが惹かれるのは、あなたの「色」。

高校生のトツ子は、人が「色」で見える。嬉しい色、楽しい色、穏やかな色。そして、自分の好きな色。そんなある日、同じ学校に通っていた美しい色を放つ・きみと、音楽好きの少年・ルイと古書店で出会う。周りに合わせ過ぎたり、ひとりで傷ついたり、自分を偽ったり――。勝手に退学したことを、家族に打ち明けられないきみ。母親からの将来の期待に反して、隠れて音楽活動をしているルイ。そして、自分の色だけは見ることができないトツ子。それぞれが誰にも言えない悩みを抱えていた。「よかったらバンドに、入りませんか?」バンドの練習場所は離島の古教会。音楽で心を通わせていく三人のあいだに、友情とほのかな恋のような感情が生まれ始める。「わたしたちの色、わたしたちの音」やがて訪れる学園祭、初めてのライブ。観客の前で見せた三人の「色」とは。

-影平ルイ/CV.木戸大聖-

離島に住む、音楽が好きで物静かな男の子。母親に家業の病院を継ぐことを強く期待され、好きな音楽の道に進みたい本心を隠している。担当はテルミン・オルガン。

初号で観た『きみの色』× 木戸大聖

本当に色と音楽が素晴らしかったです。台本には言葉しか書かれていないので、どうしても想像だけでは補えない部分があったのですが、実際に完成した作品を観て、トツ子から見たきみの色、ルイの色、その色を≪青≫≪緑≫と一言で表現するには、あまりにもったいないくらいの綺麗な色彩に感動しました。音楽もとてもキャッチーで、思わず口ずさんでしまうような素敵な楽曲だらけで。とはいえ、どの曲もめちゃくちゃカッコいいというワケではなく、あくまで高校生の3人が作ったレベルの曲なんです。だからこそ可愛らしくて素敵で。色と音楽を堪能いただくためにも、ぜひ映画館の大きなスクリーンで観ていただきたいと思います。ちなみに僕のお気に入りの一曲は『水金地火木土天アーメン』。台本上では想像がつかないほど「こんなにキャッチーだったんだ!」と、驚いた一曲です。

『水金地火木土天アーメン』、
耳から離れないメロディーですよね。
本作のお話を聞いた時の
想いを教えていただきたいです。

オーディションからスタートしたのですが、これまで山田(山田尚子)監督の作品を観てきていた身としては、「山田監督の最新作のオーディションを受ける権利が自分に来た」と、とてもワクワクしたのを覚えています。一度も挑戦したことがないジャンルのお仕事でしたが、それでも「前向きに挑戦したいな」と。オーディションは、指定されたルイくんのセリフを事務所の会議室で録音して、それを送ったのちに録音ブースで山田監督の画を観ながら声を当てていく、といったものでした。

オーディションに際して、
準備したことはありますか?

オーディションの段階で、監督がルイくんに抱く「ゴールデンレトリバーのようなやさしい大型犬」というイメージをお聞きしていたので、そのイメージを意識するようにしていました。監督が伝えてくださる一つひとつの演出の例えがとても分かりやすくて、「なるほど!」と納得しながら、僕のなかにある大型犬のイメージを出してオーディションに臨みました。

映画『きみの色』

監督から『ルイ役』に抜擢された理由は
お聞きになりましたか?

直接お聞きすることはできていないのですが、YouTubeに上がっている監督インタビュー動画のなかで、僕について「瞬時に大型犬になってくれた」という表現をしてくださっていて、僕が掴んだイメージが監督のイメージと通じていたこと、監督のイメージを瞬間的に出せたことが分かってすごく嬉しかったです。僕からしたら、監督の例えが分かりやすかったおかげなのですが。僕ら3人に対しても「トツ子、きみ、ルイが実写化したかのような」という言葉をくださり、僕だけでなくみんなも自信をもてたと思います。

3人の生みの親である監督からのその言葉は、
何よりも嬉しいですね。
実際のアフレコはいかがでしたか?

最初はとても不安でした。ワクワクする気持ちがベースにある一方で、アニメ好きとして、声優の方々のすごさが分かるからこその「僕にできるかな」という不安もあって。加えて、山田監督とスタッフの皆さんが時間をかけて作りこまれてきた作品ということもあり、キャラクターに命を吹き込むことへの責任感も大きく…。でもいざ始まってみたら「こんな日数で録り切っちゃうの?」と驚くほど、とてもスムーズでした。監督がシーンごとにOKを出してくださるのですが、あまりにスムーズ過ぎて「本当に大丈夫かな?」と(笑)。ただ、お世話になっている先輩から「自分のなかで『もう少しこう言えたかな?』と思うことがあっても、監督がOKを出したのなら、もう一度やったとしても変化はないよ」と、声優業に関するアドバイスをいただいていたので、監督のOKを信じるようにしていました。

木戸大聖

木戸大聖

トツ子役の鈴川紗由さん、
きみ役の髙石あかりさんとのアフレコは
どんな雰囲気でしたか?

全員声優のお仕事が初めてということもあり「一緒に頑張っていこう!」といった雰囲気でした。互いに高め支え合いながらアフレコに臨む関係性が、作中の3人ともすごくマッチしていたように思います。僕はアフレコ中に2人が隣にいてくれること、そして3人揃った時の雰囲気にとても助けられていました。トツ子ときみとルイが、とあるハプニングで一晩一緒に過ごしながら互いの悩みを打ち明けるシーンがあるのですが、3人のしっとりとした雰囲気を出すために、作中同様、部屋の電気を暗くしてみんなで座って収録したりもして。「できる限りキャラクターたちに近い状態でアフレコをする」という試みは、みんなで話し合って積極的に採用していました。

俳優だからこそ演じやすい部分、
はたまた難しい部分もあったのではないでしょうか?

発見だったのは「キャラクターと同じ状態を身体でつくったり、五感で感じたりするほうが演じやすい」ということ。学びになったのは、「声のみの表現の場合、普段自分がお芝居している時よりも大きな表現で見せる必要がある」ということです。ルイくんのテンションが急に上がったり飛び跳ねて喜んだりしている画に対して、自分が思っているレベルで声を当てていても、ルイくんのテンションに追いつけていないことが多々あって。普段とは違うアプローチでのお芝居を経験させていただきました。

映画『きみの色』

閑でやさしいルイと、
テンションが上がった時のルイ、
声色やテンポの違いに魅了されました。
木戸さんから見たルイはどんな青年でしたか?

ルイは非常にやさしくて物静かだけれど、自分の好きなものを見つけるとどんどんハマってテンションが上がっていく子です。フラットな時はトツ子ときみの“お兄ちゃん”のような包容力があるものの、好きなものについて熱弁する時は“少年”のように無邪気になるんですよ(笑)。トツ子ときみからしたら、そんなルイのふんわりとした無邪気な雰囲気がとても心地いいのだと思います。

見守ったり見守られていたり、
とてもやさしい関係性ですよね。
映画館で自分の声を耳にした感想を教えてください。

ドラマや映画の試写を観ることには慣れてきたのですが、今回はまったく違いました。常に「やばい、僕のシーンが来る!」というドキドキ感が…(笑)。劇場に自分の声が響き渡っている空間に体温がどんどん上がっていき、気づけばずっと汗をかいていました(笑)。

木戸大聖

緊張の試写を含め、
『きみの色』を通じて、
いろんな初体験をされたと思います。
本作は木戸さんにとってどんな作品になりましたか?

僕、どんなジャンルのお仕事もすべては繋がっていて、必ず自分の〈糧〉になると思っているんです。今回の『声優』というお仕事も、山田監督の作品に関われたことも、僕のこれからの役者人生にとって大きな〈糧〉になりました。山田監督が大切にされている“人物の感情の変化や、些細な表情の動きを観る人の五感に訴えかけること”、そのために必要な細やかな表現を学べたことは、今後の映画や舞台などのお芝居にも活きてくると思いましたし、変化を≪声≫だけで表現するという経験を通して、「僕ってこんな声の表情が出るんだ」という気づきを得ることもできました。この作品で役者としてひとつ成長させていただけたと思います。

山田監督と吉田(吉田玲子)先生が生み出す
ティーンたちの物語は、
大人が観てもハッとするものばかり。
木戸さんは3人と関わって
ハッとさせられたことはありましたか?

「やりたいな」と思っていたことをやらなかった後悔や言わなかった後悔って、自分のなかにずっと残ってモヤモヤし続けると思うんです。何かにチャレンジすると失敗することもあるけれど、そういった経験ってどんな形であれ必ず活きてくるもの。僕自身やりたいお仕事をやらせていただいているなかで、悩みを抱えたり失敗したりすることもあるのですが、3人がまっすぐにチャレンジしている姿を見て「正直になるところ、素直になるところは、年齢を重ねても大切にしていこう」と、ハッとさせられました。

木戸大聖

Dear LANDOER読者
映画『きみの色』
From 木戸大聖

トツ子、きみ、ルイの3人が「好きな音楽をやりたい」と思いながらも、彼らの年齢ゆえの現実的な悩みに葛藤する姿に共感した本作。物語はもちろんのこと、作品を彩る山田監督の豊かな色彩と、牛尾さんが手掛けられた素敵な音楽も楽しんでいただきたいです。僕のお気に入りのシーンは、とあることをキッカケにきみがトツ子の寮の部屋に忍び込んで、トツ子と2人で夜を過ごしているシーン。僕は関わっていないシーンなのですが、2人のマンガを読むスピードが違うなど、リアルで細かい描写がたくさん描かれていてとにかく可愛らしいシーンなんです。ぜひ、山田監督ご自身の可愛らしさが投影されたキャラクターたちと細やかな表現にも注目してください。

木戸大聖

木戸大聖

きど たいせい

12月10日生まれ。
求める表現に向かってまっすぐに幹を伸ばし、
学びや経験を〈糧〉に、大木へと成長を続けるDOER

映画『きみの色』

映画『きみの色』
2024年8月30日(金)公開

出演:鈴川紗由 髙石あかり 木戸大聖
   やす子 悠木碧 寿美菜子 / 戸田恵子
   新垣結衣
監督:山田尚子
脚本:吉田玲子 音楽・音楽監督:牛尾憲輔
キャラクターデザイン・作画監督:小島崇史
キャラクターデザイン原案:ダイスケリチャード
主題歌:Mr. Children「in the pocket」(TOY’S FACTORY)
制作:サイエンスSARU
配給:東宝

Item Credit
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Staff Credit
カメラマン:興梠麻穂
ヘアメイク: 速水昭仁(vierge)
スタイリスト:田中トモコ
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:Mo.et