【堀田真由 × Chapters スペシャルインタビュー】 読売テレビ『一次元の挿し木』 これは「 」の物語 空欄を埋めるのは、作品に触れるすべての人々 どうか、結びの花を見届けて——
200年前の人骨が、失踪した義理の妹のDNAと一致した。
二〇〇年前の人骨が、失踪した義理の妹のDNAと一致した。
あらすじのこのたった一文だけで物語への興味を惹き、壮大な謎解きを予感させる『一次元の挿し木』。しかし、この作品の本質は謎解きミステリーだけに終わらない。描かれているのは、誰もが胸の奥に抱えながら最後まで言葉にできなかった想いだ。私たちは何千、何万という言葉を重ねても、本当の気持ちを伝えきれることは少ない。ありのままの自分を見せれば、大切な人を失ってしまうかもしれない。そんな恐れが心の奥底にあるからだ。それでも人生には、言葉を超えて理解し、理解されたいと願う誰かと出逢う瞬間がある。自分でも気づかなかった輪郭を映し出してくれる、たった一人に。これは、そんな一人を見つけた人々の「 」の物語。あなたなら、この空欄に何を入れますか。
今回は、本作で七瀬紫陽役を演じる堀田真由さんに、『一次元の挿し木』について、そして原作の魅力について伺いました。
「Chapters bookstore(チャプターズ)」とは、
著者名・タイトルが伏せられた3作品の中から「推薦文」をもとにセレクトした1冊を、毎月自宅に届けてくれる月額制のオンライン書店。「まだ見ぬ本・気の合う誰かとの素敵な出会い」をテーマに、読了後には同じ作品を読んだ会員同士で感想を語り合えるサービスも展開しています。
読売テレビ『一次元の挿し木』

200年前の人骨が
失踪した義理の妹のDNAと一致した
ヒマラヤ山中で発掘された200年前の人骨が、失踪した義理の妹のDNAと完全に一致⸺。関係者の不審な死、盗まれた人骨、消えた過去の記憶。そして、明かされる妹の“正体”とは……。二転三転する真実の果てに待つ、想像を絶する結末。時を超えた謎に挑むヒューマンミステリー!!
七瀬紫陽(ななせ・しはる)役

七瀬悠の義理の妹。京一と楓の再婚をきっかけに一緒に暮らし始めた。優しく聡明な性格で、兄の悠と仲が良く共に映画を観て過ごす時間が好きだった。4年前の豪雨の日に行方不明となった。

七瀬紫陽 × 堀田真由
本作は主人公・悠(山田涼介)をはじめとする登場人物たちが、失踪した紫陽を中心に動いていく物語。過去と未来を行ったり来たりしながら撮影が進んでいくため、時間軸を計算してお芝居をするのがかなり難しいです。たとえば、1話のシーンが6話にも回想として出てくる場合、1話の撮影中に未来を見越して緻密にお芝居を紡いでいかなければならなくて。とはいえ、〈言葉〉ってふとしたときに息を吐くように出てきて、思いもよらない形で誰かの心に届くものだと思うので、キーとなるセリフを立てる意識はしつつも、悠とのシーンでは「いま、紫陽が何を思うか」を大切に演じています。彼女自身、きっと自分がいなくなるとは思っていなかったでしょうし、悠との時間が大切だったはずなので。本番で生まれる温度や声量を楽しみながら撮影に臨んでいます。

本作を観ていると
「いま、何を思うか」を大切にする一方で、
人に本心を見せすぎないようにしている
“紫陽らしさ”も大切に演じられていると感じます。
紫陽を通して生まれてくる感情、
それを見せすぎない彼女らしさ、
両者のバランスをどのように取られていますか?
正直、とても難しいです。紫陽のセリフは言葉としてはすごく強いものが多いので、それらを「いま、なんか言った?」くらいのナチュラルさで紡いでいかないと、言葉のすべてから伏線を感じさせてしまう可能性があって。セリフの構成も意図をより立てるための倒置が多く、普通であれば「その目で私の姿をずっと覚えていて」と言うところを、「その目で私の姿を覚えていて、ずっと」というような言い方をするんです。「『ずっと』が最後に来るということは、そこを立てたいのだろう」と、彼女の言葉の裏に隠されている〈本心〉を自分の中に落とし込んで、何度何度も反復しながら“私の言葉”として伝えるようにしています。

公式のコメントで出されていた
「紫陽の気持ちを守り抜きたい」という
言葉の意志が伝わってきました。
原作をご覧になったとき、
紫陽のどんなところを
大切にしたいと思われましたか?
原作を読んだとき、「この作品はジャンルとしてはミステリーだけれど、登場人物それぞれが自分のこと以上に他者を思いやり、みんなが人には言えない痛みを感じながら生きている“ヒューマンドラマ”だ」と思いました。その中で紫陽も、自分の真実を打ち明けられない弱さをもっていて——。でも本当に強い人って、“自分の弱さを認めながらも前向きに生きていける人”だと思うんですよね。一人で生きていける人というよりは、弱さと共存して、自分の繊細な部分を諦めずに前に進んでいける人といいますか。だからこそ私自身、紫陽がもっている本当の意味での強さに強く共感していました。あとは、どんな理由があろうとそばにいてくれる悠への大きな〈愛〉にも。悠は紫陽にとって初めて愛をくれた人であり、別れを教えてもらった人でもあるので、彼に対する気持ちは必ず大切にしたいと思いました。

紫陽を追い続ける悠の姿を見ていると、
〈愛〉を感じるとともに
胸が締め付けられる部分もあります。
誰かを想うこと、誰かに想われることの
尊さと残酷さについても
描かれている作品のように感じました。
そうですね。私は「想い、想われている相手が自分のことを分かってくれている」と思い込むのはこちらの勝手なエゴだと思うタイプなのですが、紫陽と悠を見ていると、言葉は多くなくとも自分を理解しようとして、どんなときでもそばにいてくれる存在は本当に尊いと感じます。この作品を通して、自分のそばにいる尊い存在に改めて気づいていただけたら嬉しいです。
原作は
第23回「このミステリーがすごい!」大賞
文庫グランプリ作品。
原作小説を読まれたときの
率直な感想を教えてください。
紫陽役のオファーをいただいてから読み始めたのですが、「200年前の人骨が妹のDNAと一致した」というあらすじに心を掴まれ、一日で読み終えました。物語の展開が予測できないからどんどん読み進めたい、でも次のページをめくるのが少し怖い——。そんな、読み出すと止まらない魅力がある本だと思います。実は原作があまりに素晴らしかったため、読み終えたあと「こんなにも物語の中心となる役を私がやってもいいのだろうか」と、紫陽役をお受けするかものすごく悩んだんです。そこへ制作陣の方々が直接会いに来てくださり、「こういう思いで、紫陽を演じてほしい」と強い熱量を伝えてくださって。皆さんの熱い想いに触れて演じきる覚悟を決めました。


原作には原作の、
ドラマにはドラマの良さがあると思います。
堀田さんはそれぞれの魅力を
どのように感じられていますか?
読んだ人それぞれが、「紫陽ってこういう人なのかな?」「悠ってこういう顔をしているのかな?」といった想像ができるところが原作の面白さだと感じます。一方で、原作を読んでいたときには想像しきれなかった部分までクリエイター陣が集まって形にしているところがドラマの面白さなんじゃないかな、と。一つひとつの文字から想像を膨らませるからこそ生まれる考察と、観る人全員が同じ映像を共有しているからこそ生まれる考察。両者の考察を楽しんでいただける作品だと思うので、ドラマから触れた方には原作を読んでいただき、原作が好きな方にはドラマを観ていただきたいなと思います。きっと、それぞれ違った楽しみ方で作品を味わっていただけるはずです。

Dear LANDOER読者
『一次元の挿し木』
From 堀田真由
いま、ちょうど物語の折り返し地点まできましたが、皆さん楽しんでいただけていますでしょうか。ここから最終回に近づくにつれ、謎が解き明かされるというよりは、これまで以上に新しい事実がたくさん出てくるので、すでに分かっている真相も含めいい意味で混乱していただけると思います。毎週、展開を楽しんでいただきつつも、「知らなきゃよかった」と思うような現実が明かされてはそれを受け止める一週間になるはず。心が行ったり来たりする作品ではありますが、考察をしながら作品とともに歩んでいただけたら嬉しいです。まだまだお楽しみください。

堀田さんが出演中のドラマ『一次元の挿し木』の原作小説は、オンライン書店・チャプターズの8月選書にも選ばれています。ドラマ化で話題のいまだからこそ、原作を読み終えたあと、誰かとこの物語について話してみたくなる人も多いのではないでしょうか。ドラマと原作、それぞれの物語をぜひご堪能ください。


読売テレビ『一次元の挿し木』
毎週日曜よる10時30分~
出演:山田涼介 白石聖 木戸大聖 土居志央梨
和田正人 笠原秀幸 / 松下由樹 吉原光夫 正名僕蔵
堀田真由 / 小手伸也 鈴木保奈美 佐々木蔵之介
原作:松下龍之介『一次元の挿し木』(宝島社)
脚本:高田亮 清水匡
監督:城定秀夫 頃安祐良 日髙貴士
Staff Credit
カメラマン:YURIE PEPE
ヘアメイク:小笹博美
スタイリスト:小林新(UM)
インタビュー・記事:満斗りょう
アシスタント:Asaka.T Suzu
ページデザイン:Saori GOKO
提供:株式会社MISSION ROMANTIC




