【和田雅成】ミュージカル『ヴィンチェンツォ』ドラマからミュージカルへ表現、文化の違いに楽しみをはせて

和田雅成

ミュージカル『ヴィンチェンツォ』
ドラマからミュージカルへ
表現、文化の違いに楽しみをはせて

“言葉”には〈色〉がある。自分自身に向けて放つ言葉と、他者に向けて放つ言葉、そして心に誰かを置きながら別の誰かに放つ言葉、その時々で私たちの言葉が醸す〈色〉は違う。それはきっと単色での違いではなく、グラデーションのように「違う」と言い切れないような変化かもしれないけれど、その〈色〉を心のどこかで感じながら、私たちは人と話し、人を汲むのだろう。和田さんが汲もうとしている『ヴィンチェンツォ』も、そのひとり。ドラマ原作からのミュージカル化を担う和田さんは、いったい彼の言葉たちにどんな〈色〉を感じるのか――

ミュージカル『ヴィンチェンツォ』

-Introduction-

「悪」には「悪」の鉄槌を――。
弁護士の裏の顔は、イタリアンマフィアのコンシリエーレ。
世界中を魅了した大ヒットドラマが
初の舞台化となって日本に上陸!

『愛の不時着』など数々の話題作を手掛けるスタジオドラゴンとタッグを組み、大ヒットドラマ『ヴィンチェンツォ』を世界初の舞台化! イタリアンマフィアのコンシリエーレが、ばく大な富と利権を握る巨大組織に挑む復讐劇が日本のミュージカルで蘇る!本作の主人公はイタリアンマフィアのコンシリエーレ(相談役)を務める弁護士。クールなアンチヒーロー、ヴィンチェンツォ・カサノを演じるのは和田雅成。ヴィンチェンツォと共に大胆不敵な復讐に挑む弁護士、ホン・チャヨンは富田鈴花(日向坂46)、ヴィンチェンツォ、ホン・チャヨンらと相対する凄腕の悪徳弁護士チェ・ミョンヒを佐藤仁美が演じる。本作に欠かせないホン・チャヨンと同じ法律事務所の後輩弁護士、チャン・ジュヌを上田堪大が、バベルグループの会長ハンソ役を竹内將人が演じるほか、「クムガプラザ」に住む個性豊かで奇妙な住人も実力派俳優陣が一同に集結し、原作のキャラクターを忠実に怪演する。マフィアとしての「正義」を貫き、巨大な「悪」に対峙するアンチヒーローと、奇妙な仲間たちが繰り広げる壮大な復讐劇。世界中を魅了したシリアスとユーモアが交錯する独特の世界観と大迫力のアクションが融合する新しい舞台をお見逃しなく!

-ヴィンチェンツォ・カサノ-

イタリアンマフィアのコンシリエール(相談役)を務める
クールに復讐に燃える弁護士。

和田雅成

ミュージカル『ヴィンチェンツォ』
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和田雅成

今回は韓国のスタジオドラゴンさん原作のドラマをエイベックスさんが舞台化する、というところから、その第一弾となる作品が『ヴィンチェンツォ』に決まったカタチでした。最初に「日韓の共同プロジェクトの主演をしてほしい」というお話をプロデューサーの方にいただき、「是非!」とお受けしたのがはじまりです。以前ご一緒したプロデューサーさんにお声がけいただけたこと、主演を任せていただけることに、とにかく嬉しさを感じたのを覚えています。お稽古から本番まで、気心知れたスタッフさんたちと作品を作っていける日々が待っていると思うと、すでにワクワクしています。

いち視聴者として和田さんが感じられていた
ドラマ『ヴィンチェンツォ』の魅力は何でしたか?

“ギャップ”です。キャラクター一人ひとりから作品そのもののギャップまで、ギャップのちりばめられ方に魅了されていたような気がします。僕、ごはんを食べながらドラマを観るタイプなので、あまりに残酷な作品は観られないんです。『ヴィンチェンツォ』も復讐をテーマとした作品なので、残酷なシーンが多少はあるのですが、登場人物たちの明るいシーンのおかげか、観ている時間、ハッピーな気持ちでごはんを食べられていたんですよ(笑)。復讐モノのドラマでありながら心が重くなりすぎない、そのギャップもこの作品の魅力のひとつだと思います。

和田雅成

ミュージカルの作品が
『ヴィンチェンツォ』に決まって、

ドラマを観返されたりも?

観返しました。いままでは単純に物語を楽しんで観ていたのですが、今回は「この時、彼はどう思っていたんだろう?」、「どうしてこんな表現をしたんだろう?」という読み取りをしなければならず、楽しむというよりは、役作りとして観ていましたね。

改めて、“役作り”として作品を観たことで見つけた
新たなヴィンチェンツォの姿があれば
教えてください。

表には出ていないけれど、彼の意識するところには“母親”の存在があるように感じました。何をするにしても、頭の片隅に絶対的な“母親”の存在があるんです。僕は、意識が100%である人に向いているときと、80%、20%で向いているときとでは、〈言葉の色〉が変わると思っているので、その色の変化を意識しながらドラマを観るようにしていました。シーンごとに「ここは自分自身に意識が向いている割合が多いな」や「ここは母親への想いが大きいんだろうな」と、〈言葉の色〉を分析のひとつの視点として意識するようにして。役者さんが芝居のときに感じていた感情を100%で汲み取ることはできないけれど、「僕だったらこうするな」と考えながら、ヴィンチェンツォというキャラクターを分析している最中です。

和田雅成

ドラマ原作は漫画や小説原作よりも
分析自体が難しいのかな、と感じるのですが、
いかがですか?

一番難しいです(笑)!やっぱり、もともとオリジナルで演じられている方がいらっしゃるキャラクターを違う役者が演じることになるので、真似をするのか、まったくの別物として作りあげるのか、そのバランスがとても難しく格闘しています。

そんな格闘も含め、和田さんはヴィンチェンツォを
どのように作っていこうと考えられていますか?

僕、この間、韓国へ行かせていただいて、直接『ヴィンチェンツォ』のドラマを制作されているスタジオドラゴンさんと対談をさせていただいたんです。そのときに「ドラマはドラマで、ミュージカルはミュージカルの『ヴィンチェンツォ』を作ってほしい。和田くんのヴィンチェンツォでいいから、和田くんのまま生きてくれ」という言葉をいただいて。僕としては、その言葉にすごく救われたんですよね。もちろんヴィンチェンツォ自身がもつ癖や、空気感は持っていないといけないけれど、そのうえで、ミュージカルのメンバーだからこそ生み出すことのできる作品を共演者の皆さんと作りあげていけたらいいな、と思うことができました。いまはとにかく自分ができる限りのことをやりつくそうと思っています。

和田雅成

ドラマとミュージカルという
ジャンルの違いだけでも、
大きく表現方法やポイントが異なりますもんね。

本当にぜんぜん違います。見せ方から違ううえに、今回に関しては韓国と日本の芝居の違いも大きくあるんです。これは文化的な部分が関係してくると思うのですが、韓国の方々って良い意味で表現がすごく大きくて気持ちのよい国民性があるので、作品内のキャラクターたちも表情の変化やボディーランゲージがアクティブなんです。それに比べて、日本人はそこまで大きい表現をすることが少ないのかな、と、個人的には感じていて。そういった文化の違いを日本版として表現できるのも楽しみのひとつです。ただ、こればかりは現場に入ってみないと分からない部分。僕自身、未知の挑戦だと感じています。

和田さんのお芝居の幅にも繋がる発見ですね。

そうですね。僕としては「どっちに寄せてもいいのかな」と思ったり、「日本に寄せきってもいいのかな」と思ったり…そんな正解がない状態にワクワクしているので、現場でその答えを見つけていけたらいいな、と考えているところです。舞台の台本をいただいて「すごくうまくまとめてあるな」と感じましたし、ミュージカルにすることで場面転換が歌によってできたり、お客様の聴覚を刺激する表現ができたりするので、約3時間ほどの公演時間、すっきりとリズミカルに作品を観ていただけるんじゃないかと思っています。

和田雅成

Dear LANDOER読者
From 和田雅成
ミュージカル『ヴィンチェンツォ』

『ヴィンチェンツォ』を観たことがない方でも楽しめる“面白さ”と“残酷さ”が、たくさん詰まっている作品になると思います。ドラマだと「見逃さないようにしなきゃ!」と思うような場面も、ミュージカル特有の“歌”という表現が加わることで、気楽に観ていただけるようにもなるんじゃないかな、と。作品を知らなかった方、それに加えて、舞台自体を観たことがない方にも楽しんでいただける作品なので、たくさんの方に深く愛していただけるミュージカルになったら嬉しいです。

和田雅成

和田雅成(31)

わだ まさなり

1991年9月5日生まれ。
世界に浮遊する一つひとつに心を動かし、
〈刺激〉を愉しみながら自身を成熟させてゆくDOER

ミュージカル『ヴィンチェンツォ』

ミュージカル『ヴィンチェンツォ』
2023年8月11日(金・祝)~13日(日):AiiA2.5 Theater Kobe(兵庫)
2023年8月18日(金)~21日(月):日本青年館ホール(東京)
2023年8月25日(金)~27日(日):サンケイホールブリーゼ(大阪)

出演:和田雅成 富田鈴花(日向坂46)
   上田堪大 竹内將人 松井工 高原紳輔
   伊藤裕一 中野郁海 白木原しのぶ 西川大貴
   / 鈴木壮麻 佐藤仁美
原作:『ヴィンチェンツォ』(作:キム・ヒウォン、パク・ジェボム)
企画・プロデュース:エイベックス・ピクチャーズ
企画協力:スタジオドラゴン
脚本/作詞:三浦香 演出:古谷晃太朗

Staff Credit
カメラマン:興梠真穂
ヘアメイク: 西田聡子
スタイリスト: 石橋修一
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:古里さおり