想いがぶつかり合う熱量に心掴まれる貴方へ

映画『キングダム 魂の決戦』

想いがぶつかり合う熱量に心掴まれる貴方へ

映画『キングダム 魂の決戦』
ⓒ原泰久/集英社 ⓒ2026 映画「キングダム」製作委員会

-Introduction-

天下の大将軍になる夢を描く主人公の少年・信と、中華統一を目指す若き王・嬴政を壮大なスケールで描く漫画「キングダム」(原泰久/集英社)。2019年から2024年にかけ、実写映画として4作品を公開し、シリーズ累計動員1734万人、シリーズ累計興行収入245億を突破。数々の映画賞とその年の邦画実写映画No.1を獲得するなど、日本映画界に燦然と輝くエンターテインメント超大作となった。漫画は連載20周年を迎え、映画も新たな伝説の幕開けへ。シリーズ5作目『キングダム 魂の決戦』で描かれるのは、“絶体絶命”。原作でも屈指の人気を誇るエピソード“合従軍編”。シリーズ最大規模で激突する<秦 vs 六国>の魂の大攻防戦。秦国存亡をかけた運命の決戦が、この夏、大炎を巻き起こす―。

-Story-

馬陽の戦いで王騎を失った秦。舞台はあれから3年。思いを受け継ぎ、更なる成長を続ける主人公・信(山﨑賢人)は千人将に昇格。天下の大将軍に向かって遥かな道を着実に歩んでいた。そんな中、秦国に急報が相次ぐ。趙の宰相・李牧(小栗旬)の策略で、秦以外の全ての国が手を組み、総数 50 万からなる“合従軍”が次々と秦へ侵攻。咸陽の王宮では若き王・嬴政(吉沢亮)を中心に事態の対応に奔走するが、“秦(20万)vs 六国(50万)”というかつてない軍勢を前に、国家滅亡の絶体絶命。中華からその名が消えようとしていた。信は同じ若き将である蒙恬(志尊淳)や王賁(神尾楓珠)と共に、秦の国門・函谷関へ。更には麃公(豊川悦司)、蒙武(平山祐介)、騰(要潤)、王翦(谷田歩)、桓騎(坂口憲二)ら、秦を代表する将軍が集結、合従軍には、楚の春申君(斎藤工)を総大将に、かつて祖国を秦に蹂躙された怨念を背負う趙の猛将・万極(山田裕貴)を始めとする各国最強の将軍が集い、準備は整う。“中華統一”という夢のために、敗北の許されない最大の危機。運命の“函谷関防衛戦”が始まる―。

伊藤さとり’s voice
伊藤さとり’s voice

人気漫画の実写化でシリーズ化を成功させた作品と言える『キングダム』。でも何故にここまで観客の心を掴めたのか。考えてみると原作の熱量と絵の強さを実写として表現すべく、山﨑賢人と吉沢亮、他にも長澤まさみに橋本環奈、そして玉木宏や佐藤浩市など、主演クラスの俳優をキャンスティングし、彼らに個性的な衣装やヘアメイクを施してキャラクターを強調させたことが大きいだろう。なかでも原作の人気キャラである王騎将軍を肉体改造まで行って再現させた大沢たかおの功績は讃えたい。

が、しかしだ。
王騎将軍の見せ場となったドラマティックな前作以降、どう物語を続けるのかと思ったら、ナレーションと特殊な手法で時間をスキップさせて、原作の次の山場となる「合従軍」編から描くといういさぎよさには驚いた。今作では小栗旬演じる李牧が仕掛け人となって様々な国と組み合従軍を形成するのだが、その総大将・春申君を静かな佇まいで演じているのが斎藤工だ。しかも山﨑賢人演じる主人公・信が仕える秦軍に大軍勢が押し寄せてくる様子を、観客の私達は将棋をしているかのような感覚で頭を使いながら展開を見守ることになる。もちろん映画『キングダム』らしく、よく知る俳優陣が隊長や将軍として次々と姿を現すので、変貌した姿に興奮しながら武将達のダイナミックな対決を堪能した。

更に物語は人間の内面にも目を向け、山田裕貴が怪演する万極の復讐心の根底をしっかりと描くことで、悪人とはいえ最初からそうではなくて原因があったことや、どうすれば過去の憎しみによる復讐を止められるのかを観客に問うような映画になっている。これは様々なところで今も巻き起こっている人種間の問題であり、永遠のテーマでもある。戦争や紛争により、その次の世代にまで及ぶ憎しみの連鎖。だからこそ国境を無くすという意味を込めて国をひとつにし、戦いを止めたいという吉沢亮演じるエイ政を応援したくなる。確かに奪い合うのではなくて同じ地球に住む同志として助け合えたら、世界は平和になるのかもしれない。本作を観ていたらそんな思いが湧き上がった。

映画『キングダム 魂の決戦』
2026年7月17日(金)公開
監督:佐藤信介
脚本:黒岩勉・原泰久
音楽:やまだ豊
出演:山﨑賢人
   吉沢亮 橋本環奈 清野菜名
   満島真之介 岡山天音
   志尊淳 神尾楓珠 結木滉星 三吉彩花
   三山凌輝 山下美月 / 蒔田彩珠
   山田裕貴/坂口憲二
   豊川悦司
   髙嶋政宏 要潤 加藤雅也 高橋光臣
   平山祐介 一ノ瀬ワタル 佐久間由衣 勝矢
   坂東彌十郎 橋本さとし 笹野高史
   谷田歩 中村蒼 田中圭 斎藤工
   玉木宏/佐藤浩市
   小栗旬
原作:原泰久「キングダム」(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
配給:東宝 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

映画『キングダム 魂の決戦』
ⓒ原泰久/集英社 ⓒ2026 映画「キングダム」製作委員会