心地よいゾクゾク感を
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-Introduction-
映画『ドールハウス』は、日本を代表するトップ俳優、長澤まさみが脚本の面白さに出演を熱望した、110分間ノンストップの“ドールミステリー”。原案・脚本・監督は、『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』などの大ヒット娯楽作を送り出してきた矢口史靖監督。家族が人形に翻弄されてゆくスリルと謎解きミステリーの面白さにあふれた物語を、矢口監督は多彩な演出ノウハウによって、数分に一度、見どころの訪れるエキサイティングな映像に仕上げた。これまで見たことのない映像体験に誰もがゾクゾクし、驚きのラストに戦慄することだろう。主演の長澤まさみ、夫役の瀬戸康史ほか、キャストには実力派が勢ぞろい。ここに映画の醍醐味が詰まった、超一級のエンターテインメントが誕生した。
-Story-
5歳の娘・芽衣を亡くした鈴木佳恵(長澤まさみ)と夫の忠彦(瀬戸康史)。哀しみに暮れる佳恵は、骨董市で見つけた、芽衣によく似た愛らしい人形をかわいがり、元気を取り戻してゆく。佳恵と忠彦の間に新たな娘・真衣が生まれると、2人は人形に心を向けなくなる。やがて、5歳に成長した真衣が人形と遊ぶようになると、一家に変な出来事が次々と起きはじめる。佳恵たちは人形を手放そうとするが、捨てても捨てても、なぜかその人形は戻ってくる……!人形に隠された秘密とは?そして解き明かされる衝撃の真実とは——!?

伊藤さとり’s voice

怖いとは一体どんな心理なのか。
本作を見た夜、シーンの断片を思い出し、なかなか寝付けなかった。実際に映画を見れば分かるだろうが、残虐なシーンもなければグロテスクな表現描写もない。ただただ、人形の存在が怖いのだ。しかもそれを楽しめるゆとりがある映画だった。だから本作は「面白いけれど怖い映画」と言えるのかもしれない。
ホラー専門のYouTubeチャンネルが流行るように、安全圏内で怖さを垣間見るくらいなのがイイと言う人は多い。ちょっとした怖いもの見たさ。ゾクゾクを味わうという感覚。ドキドキとゾクゾクは似ているというならば、適度な興奮が楽しいのだろう。映画は、『ウォーターボーイズ』(2001年)の矢口史靖監督が、この“ゾクゾク”に魅せられて友人のエピソードなどから物語を生み出したという。
かけがえのない存在を喪った時、どうやって心の隙間を埋めるのだろうか。確かにカウンセリングを学んだ時に、ドールセラピーという療法を学んだ。これがまた面白く、人に言えない感情をぬいぐるみにぶつけたりすることで、ストレスが軽減されるというものだった。もちろん、亡くなったペットの代わりに犬の人形を可愛がるというのも効果があると言われている。映画ではそれが人形となる。「人形」と考えただけでもなぜか薄気味悪いのだが、それは「実録・恐怖体験ドラマ」のようなものに日本人形が登場したからかもしれない。人間はそんな潜在意識からも恐怖を生み出せるのだ。
ちなみに主演の長澤まさみが脚本に惚れ込んだというのも納得の名演を見せてくれる。人間が愛するものを喪った時どうなってしまうのか、立ち直るのには何が必要か、弱った心の隙間に入り込むのは何なのか。心理描写が手に取るように見えてくる演技にもゾクゾクする。
もし自分が主人公の立場になってしまったら…。
考えただけでも悍ましいが、この物語の行方には「きっとそうしてしまう」が次から次へと詰まっているのだ。ゾクゾクするような心理スリラーを好む方は、この映画から程よい恐怖を味わい興奮を楽しめる。ただし、しばらくは人形をそばに置けないだろうが。
映画『ドールハウス』
全国映画館にて公開中
原案・脚本・監督:矢口史靖
出演:長澤まさみ 瀬戸康史
田中哲司
池村碧彩 本田都々花 今野浩喜
西田尚美 品川徹
安田顕 風吹ジュン
主題歌:ずっと真夜中でいいのに。「形」
(ユニバーサル ミュージック)
配給:東宝
公式ハッシュタグ:#映画ドールハウス
