心がポッと温まる“人生の物語”を楽しみたい貴方へ

映画『さとこはいつも』

心がポッと温まる
“人生の物語”を楽しみたい貴方へ

映画『さとこはいつも』
©2026「さとこはいつも」製作委員会

-Introduction-

プッと吹き出さずにいられないユニークでキュートな人間たちを、温かな眼差しで描き続けてきた沖田修一監督。デビュー20周年という節目に完全オリジナルで描くのは、年齢も育った環境も異なる3人の「さとこ」たちの物語。人生のままならなさと格闘する「さとこ」たちが、時にドタバタ騒ぎ、時に猪突猛進に突っ走り、時にシレっとやり過ごしたりしながら、“自分の物語を書く”ことで“自分を解放”し、そして“自分の人生の決着”をつけていく。温かさを備えつつ、そこに “毒を一滴垂らしたニンマリ感”がマーブル模様のように練りこまれた本作。彼女たちの奮闘に噴き出しつつ快哉していると、いつしか勇気が湧き上がってくる!【自由で みっともなくて 愛おしい】トリプルコンボ!!!な人生賛歌が爆誕した。

-Story-

同級生に恋する鼻炎持ちの中学3年生・ソフト部所属の中井聡子(15歳)。姪っ子と韓国カルチャーLOVE!映画配給会社の宣伝部でバリバリ仕事しつつ、6年目になる不倫が倦怠期を迎えている西田沙都子(35歳)。子育てがひと段落、ようやく自分の時間ができた飯島里子(55歳)。三者三様、まったく違う人生を歩む 【さとこ】 たち・・・。それぞれに降りかかる出来事や運命的な出会いをきっかけに、自分の人生を“物語”として書き始めたとき、3人の「さとこ」たちが少しずつめぐり合っていき──!?

伊藤さとり’s voice
伊藤さとり’s voice

どこか滑稽、しかも笑わせようとしてはいない。多分、沖田修一監督が、人の何気ないヘンテコな行動や、ズレた会話のやり取りが好きなのだ。それは長編商業デビュー作『南極料理人』の時から今までずっと変わっていない。とにかくクスッと笑えて人間のリアクションが愛おしいのだ。ただ驚いたことがある。もしかすると沖田監督が本作で初めてリアルな大人のラブストーリーを撮ったのではないだろうか?そこが新鮮だった。

物語は3人の「さとこ」が小さな“やりがい”を見つけていく様子をユーモアと災難を織り交ぜて描いていく。大人のラブストーリーというのは、有村架純演じる映画配給会社の宣伝部で仕事の隙間に恋も楽しむ35歳の沙都子パートだ。彼女はオダギリジョー演じる仕事相手との不倫関係だ。そもそも仕事が好きだし自信もある。理解力のある仕事相手との息抜きのようなデートも楽しい。けれど本当にそれで満足なのか?泊まらずに帰る彼の行動に寂しさを覚えないか?この感情を有村架純はあまり変わらない表情の中に口元だけ笑みを浮かべる演技で、見事に体現している。言葉ではない無理に閉じ込めた感情だ。それでも可笑しなシーンが存在するのが沖田監督らしさで、なんと日本映画「失楽園」のようなデートショットまで劇中登場する。この遊び心のお陰で、35歳のさとこにとってこの出来事が「人生の汚点時代」として見え、苦笑いした。

その前のパートとなる中学3年生の聡子を演じるのは、約300人の中からオーディションで選ばれた姫野花春だ。耳鼻咽喉科でネブライザー治療をしていると、同級生の男の子が隣に来て、鼻に器具を差し込んだ状態という恥ずかしい姿を共有しながら会話をしたことから好きになる、単純なまでの初恋の様子が可笑しくて仕方がない。そんなさとこは表情豊かでリアクションが大きく、垢抜けない感じも可愛らしい。面倒臭がり屋だけれど先生の言い付けは守るさとこが、先生に褒められて物語を描き始める姿は、「単純だったあの頃」として懐かしく笑い転げた。

そんなさとこ達の最後のパートとして登場するのが、石田ひかり演じる55歳の主婦・里子だ。子育てもひと段落し、トランポリンに通って身体を動かす平凡な主婦が、ふとしたきっかけで物語を描き始める。彼女は真面目で小さな幸せを大切にするような女性なのだが、石田ひかりにしか醸し出せないホンワカとした雰囲気により、観ている観客に親近感を与えてくれる。しかも綴っている物語が童話のような子供向けの可愛いけれどちょっと詩的なお話。このシーンでの製作にやたらと手間をかけている。そうだ、「幾つになってもスタートライン」なのだ。

この映画は、3人の「さとこ」の物語であり、ひとりの人生の物語だ。昔と未来を考えた時に、この先も楽しいことがいっぱいあると気付かせてくれる人生賛歌であり、人生は自分で描いていくものだと教えてくれる『さとこはいつも』。観ていて心がポッと温かくなった。

映画『さとこはいつも』
9月18日(金)TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー

出演:有村架純
   石田ひかり 姫野花春
   黒田大輔 宮部純子 泉有乃
   大月美里果 小川冬晴
   青木柚 川瀬陽太
   島田桃依 中井友望 中村優子
   細田佳央太 鳴海唯
   髙田万作 古舘寛治
   吉田羊 オダギリジョー 筒井道隆
監督・脚本:沖田修一
音楽:柴田聡子
主題歌:折坂悠太「シミレ(feat.柴田聡子)」
配給:ハピネットファントム・スタジオ

映画『さとこはいつも』
©2026「さとこはいつも」製作委員会