シン・時代劇ドラマ
『君とゆきて咲く ~新選組青春録~』
一人ひとりの〈志〉が闘志を燃やした時代、
心優しき剣士が問い続けた、ひとつの〈正義〉
桜花 散りぬる風のなごりには 水なき空に波ぞ立ちける――かの紀貫之は、散りゆく桜が風に舞う様子を空に立つ波に例え、咲き誇った〈命〉の証に余韻を感じていた。揺るぎない意志で長い冬を越え、春の陽のもと満開に咲き乱れ、色づいたまま散ってゆく、その生き様はまさに『新選組』のよう。同じ幹から生まれた花、されど一つとして同じではない花びらたち。未来の世を照らそうと必死に咲いたその〈命〉が、時代を越え空に波立つ時、そっと自分に問いかける。「私の志は何だろうか」と――
シン・時代劇ドラマ
『君とゆきて咲く ~新選組青春録~』
-あらすじ-
2024年春、テレビ朝日の水曜深夜のスーパーバラバラ大作戦枠に新たなドラマが誕生!テレビ朝日と東映が総力を結集し、いまだかつてない《シン・時代劇ドラマ》を創出します。この一大プロジェクトで光を当てるのは、今なお私たち日本人の胸を深く揺り動かす存在、《新選組》――。新枠にふさわしく、フレッシュなネクストブレイク俳優たちが揃い踏みし、幕末という混沌の時代を閃光のごとく駆け抜け、はかなく散っていった若き隊士たちの青春を、美しくも鮮烈に描き上げます。原作は、日本漫画史に燦然たる功績を残した、手塚治虫氏の隠れた名作『新選組』。作品が発表された1963(昭和 38 )年は新選組という存在そのものがさほど評価されておらず、それぞれのキャラクターイメージが今ほど固まっていない時代。そんな背景の中、手塚氏ならではの視点で史実を織り交ぜながら隊士たちの葛藤を描いたこの作品は、ファンの間でも評価の高い、知る人ぞ知る傑作です。近藤勇や沖田総司、芹沢鴨など実在の人物ももちろん登場しますが、メインとなるのはオリジナルキャラクターとして描かれる若き隊士2人――深草丘十郎(ふかくさ・きゅうじゅうろう)と鎌切大作(かまぎり・だいさく)。父を斬殺された丘十郎は、剣の腕を磨いて仇を討つべく新選組に入隊します。その入隊試験で知り合ったのが、クールな少年・大作。出自は不明ですが、剣の腕はピカイチの大作は期待の大型新人として新選組に迎え入れられます。2人は熱い友情を育んでいくものの、いつしか時代の波に翻弄され、互いに殺し合わなくてはならない悲壮な運命へとなだれ込んでいくことに――。
—松永新之丞―
裕福な武家の次男として生まれたが、家が没落し行く当てもなく転々としていたところ、かつての乳兄弟・南無之介と再会し、新選組に流れ着いた。本人に自覚はないが男女問わずひきつけてしまう色気の持ち主。剣が苦手で争いごとも好まず、自身が時代にそぐわないことに苦悩を抱え続けている。剣術では新選組最弱だが、やさしさは随一。
『君とゆきて咲く ~新選組青春録~』
松永新之丞 × 杢代和人
新之丞は武家の次男として生まれ、恵まれた暮らしをしてきた青年。でも、世の中の変化とともに家が没落してしまい、悪人に仕えてでも仕事をしなければ、生活ができないところまで追いつめられてしまうんです。自分で命を絶つか否か…と考えていた時に、乳兄弟で親友の南無之介と再会して。南無之介との再会が新之丞の生きる希望となり、「新選組に人生を捧げる」という想いを胸に入隊を決意、新選組随一の心優しい剣士として幕末の世を生きてゆくことになります。
各々が自身の〈正義〉を掲げるなか、
新之丞は周りを見て、
それぞれの考えに寄り添おうとする人ですよね。
新之丞は常に「正義とは、平等とは、そして平和とは何か」について考えているのですが、その考え方に一切の偏りがないんですよね。周りをしっかりと見ていて、新選組の進み方についても「僕たちの動き方は本当に正しいのだろうか」と、疑問を抱くことができる。熱い剣士たちの中で、唯一、フラットな視点から物事を考えられる人物なんじゃないかと思います。尊攘志士の弾圧を掲げる新選組にいながらも「人を倒すことが本当に正しいのか」と、思いとどまることができる、優しくて強い人なんです。
本作オーディション『真剣 SHINKEN』の
最終審査で、
脚本家の坪田文先生が、
「新之丞は〈儚さ〉がポイントになる役」と
仰っていました。
新之丞の〈儚さ〉を、どう意識されていますか?
僕は〈儚さ〉とは、美しさや綺麗さと表裏一体のものだと思っていたのですが、新之丞の役柄を聞いて「新之丞がもつ〈儚さ〉の魅力は、“今にも消えそうな中にある美しさ”なんじゃないか」と、思ったんです。これまでの彼の境遇や、蓄積したフラストレーションを考えて、生きた目をしないこと、ふと遠くを見つめる仕草などを意識しながら〈儚さ〉の表現に挑みました。心情を大切にすることはもちろん、身振り手振りの一つひとつが大きく影響してくるキャラクターだったので、些細な仕草でも〈間〉を大切にするように心がけていました。
現代と大きく異なる価値観の世を生きた『新選組』。
新選組剣士たちと同年代の杢代さんの目には、
彼らの生き様はどう映りましたか?
僕は、いろいろな試練や苦悩があれど、「頑張ったら生きられる時代」が現代だとしたら、「頑張っても報われない時代」が幕末だと思っていて。新之丞を見ていても分かるように、どんなに頑張ってもどうすることもできない状況が存在することが普通で、だからといって何もしなければ生きることすら難しい時代が幕末の世なんです。でもそこで諦めずに、世の中を変えようと立ち上がったのが『新選組』。彼らの姿を見て、現在(いま)、時代と向き合い、必死に闘い続けている人がどのくらいいるのだろうと考えさせられました。しかも新選組は、誰か一人が先頭に立って「ついてこい」と言うのではなく、全員が「世の中を変えたい、変えよう」と心から思って、自分の〈意志〉で歩んでいるんです。同志たちが集まって必死で闘う生き様は、僕自身、自分の在り方を考えるキッカケになりました。
各々が、自分の〈正義〉を
全力で貫き生きた時代が幕末なんですね。
そうなんです。作中では僕らと敵対関係にある長州藩も、別に間違ったことを言っているわけではないんですよ。「この世の中を良くしていこう」という想いは、僕らと同じ。志は同じなのに、見方が違えば〈正義〉が違う。人の本質が描かれていて、興味深いな、と思います。
登場人物たちのセリフが現代語に近く、
「時代劇初心者にも届いて欲しい」という
想いが伝わってくる本作。
今まで時代劇に触れたことのない方に、
本作のオススメポイントを教えていただけますか?
この時代に、このキャスト陣で時代劇をすること、皆さんに踊っていただけるような振付がオープニングやエンディング曲についていること、その理由は手塚治虫さんの『新選組』という作品、そして作品に描かれているメッセージを幅広い層の方たちに伝えたいから。時代劇には登場人物たちの“真の〈正義〉”が宿っていますし、今回は2クールの放送分、登場人物一人ひとりの生き様がしっかりと描かれています。それぞれが強い想いをもっているが故のぶつかり合いや、支え合いを経て、芯をもって闘い、想いをもったまま散っていった彼らの生き様には、新選組のカッコよさと美しさが秘められていると思うので、是非、人間ドラマにも注目していただきたいです。
命をかけて闘い、
未来の世へと願いを馳せた『新選組』。
彼らが願った未来を生きる私たちが、
今できることを考えたくなる作品ですね。
本作の結末に込められたメッセージが、観てくださる皆さんに届いて欲しいと思いますし、世の中を変えようと必死に生きた新選組に触れることで、ほんの少しでも「“今の自分”と、もっと向き合ってみよう」と、思ってくださったら嬉しいです。きっとその循環が、ドラマを作りあげた意味をさらに深いものにしてくれるんじゃないかと思います。
長期間に及ぶ京都での撮影、
時代劇初挑戦の現場はいかがでしたか?
本当に何もかもが初めての経験で、最初は右も左も分からなかったのですが、とにかく終始、“京都の方のやさしさ”を感じる現場でした。現場のお姉さまたちが僕のことをめちゃくちゃ気に入ってくださって、撮影に行く度にお菓子やアイスをくれるんです。新之丞の衣裳についているシッポに基づいて、「シッポちゃんよく来たね!アイス食べて!」と(笑)。皆さんの愛をたくさん感じる現場で、思う存分、時代劇、そして松永新之丞に挑むことができたと思います。
Dear LANDOER読者
シン・時代劇ドラマ
『君とゆきて咲く ~新選組青春録~』
From 杢代和人
ここまでのストーリーでは和気あいあいとしていた『新選組』ですが、物語が進むほど圧倒的に笑顔が少なくなってきます。命をかけた戦いがはじまってきますし、正直、つらい出来事も多く起こりはじめます。観ている方もつらくなってしまうかもしれないけれど、目を離すことなく、彼らの生きた証を見届けていただきたいです。そして、僕演じる新之丞に関しては、彼の心の中にある「刀を振って相手を倒すことは、本当に正しいことなのか?」という疑問、そして彼自身が抱える“闘うことへの想い”がキーワードになってきます。どちらかというと、現代で謳われている〈正義〉に近いものをもっている新之丞。きっと今だったら「新之丞の言っていることが正しい」と言ってもらえるのかな、と思うのですが、幕末の世においては、新之丞の〈正義〉のカタチは受け入れられづらいものなんです。そんな混沌とした時代の渦中で、彼は自分の〈正義〉をどう周りに伝えるのか、突っ走る『新選組』を変えてゆけるのか、是非、僕らの生き様を見守ってください。
杢代和人
もくだい かずと
5月20日生まれ。
花言葉は「いつだって前を向き、人を愛し、自分を楽しむ」
誰かのために花咲く幸せを、自身のエネルギーに加えてゆくDOER
Staff Credit
カメラマン:興梠真穂
ヘアメイク:SUGA NAKATA(GLEAM)
スタイリスト:TAKURO
インタビュー・記事:満斗りょう
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