【小西詠斗】映画『尾かしら付き。』くるんっとキュートなしっぽから学んだ〝未知〟を理解し、愛すということ

小西 詠斗

映画『尾かしら付き。』
くるんっとキュートなしっぽから学んだ
〝未知〟を理解し、愛すということ

「人に共感されないところはありますか?」いままで、インタビューで何人もの方に伺ってきた質問。「特にないです」「こんな癖があります」「これってどう思います?」十人十色の答えに、時に驚くこともあれば、時に共感することも。けれどいつも思うのは、その〈違い〉こそ愛らしいということ。「人と違う」の意訳は「あなたにしかない」。そんな風に世界を感じれば、まだまだたくさんの〈色〉を楽しめるはず。快成と那智のように、不器用でも遠回りでも「知りたい」と思う気持ちを、「知りたい」と思う人をどうか大切に――

映画『尾かしら付き。』

映画『尾かしら付き。』

-Introduction-

累計15万部突破!
佐原ミズの人気コミック実写映画化!

お尻に豚のようなしっぽが生えている少年・宇津見 快成と、そんな彼の“秘密”を知りながらも、寄り添おうとする少女・樋山 那智。お互いのことを知りたいと思いながら、その気持ちをどう伝えたらいいかわからない健気な2人のちょっと不思議で心温まる物語。原作は、『マイガール』のほか、『バス走る。』『鉄楽レトラ』といった数多くの人気作を手掛け、20~30代の女性を中心に支持を集める佐原ミズ。TVドラマ『あなたがしてくれなくても』や、『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』で数々の賞を受賞している、おかざきさとこが脚本を手掛ける。

-Story-

私の初恋の人には、
「しっぽ」がありました。

樋山那智は、ソフトボールに汗を流し、“日焼け”に憧れる平凡な中学生。彼女は同級生の宇津見くんが抱える重大な秘密を知ってしまう。それは、彼に“しっぽ”が生えているということ。“みんなと違う”ことに迷い戸惑い傷つきながらも、心を通わせ合う二人の物語。

-宇津見 快成(うつみ・かいせい)-

お尻に豚のようなしっぽが生えている少年。

小西 詠斗

宇津見 快成 × 小西詠斗

原作を読んだ段階で、快成のしっぽは「周りと違うと拒絶されてしまうかも…」という、多くの人が感じる不安な気持ちをハッキリと表しているものだと感じていました。しっぽのせいで悩み、誰にも期待をせずに殻に閉じこもって生きている快成。そんな彼がヒロインの那智(大平采佳)と出逢い、不器用ながらも少しずつ変わろうと努力してゆく、その変化を大切に演じよう、と意識しながら撮影に臨んでいました。

真田(真田幹也)監督から、
「こんな風に演じてほしい」という
オーダーはありましたか?

「この感情はもっと抑えめで」などの指示はありましたが、割と自由に演じさせていただいたように思います。僕、お芝居をするときは、まず自分の引き出しのなかにある一番大きな表現で感情を出すタイプなんです。そこから表現を抑えて調整していくほうが僕には合っていて。監督と芝居の強弱について話し合いながら快成を作りあげていきました。

いままでの経験が活かされたんですね。
一方で、那智役の大平采佳さんは
初の映画だったとか…!

そうなんです。大平さん、まだ17歳の現役JKなんです(笑)。でもすごく元気でしっかりされていて、自分の17歳の頃と比べてしまいました(笑)。(LANDOER「小西さんはどんな17歳でしたか?」)僕の17歳は高校生で、まだ何もできていない頃だったので、大平さんのお芝居に素直に「すごいな」と感じました。最近、僕が初めて演技をしたときの映像を見つけたのですが、最初の30秒で自分では観れなくなってしまうくらいダメダメで…(笑)。マネージャーさんに「僕、最後まで観れないから観てみて」と送りました(笑)。

小西 詠斗

そんなに…(笑)!
小西さんが「お芝居を楽しい」と思うようになった
キッカケはなんでしたか?

自分が評価されたこと、ですかね。そもそもはじめは「自分には芝居はできない」と思い込んでいたこともあり、興味がなかったんです。そんなときに小劇場の舞台に呼んでいただく機会があって。ただ、自分は芝居のセンスがないと思っていましたし、案の定稽古場でも何もできなくて「やだな~」と思いながら稽古に参加していました。あるときふと周りを見たら、皆さんが稽古場だけでなく、家に帰ってからも台本を読み込んで自分なりにプランを立てて稽古に参加していることに気づいて。それから「僕もやってみよう」と思って、稽古場以外の場所でも自分なりに役について考えるようになったんです。「ここをこうしたほうがいいんじゃないか」「ここはもっとこうなんじゃないか」、そんな風に考えて稽古場に持っていく、それでもやっぱり何もできない、もう一度挑戦してみる、そうやって少しずつ“自分なりの芝居”を出していたら、ある日、評価をしてもらえる瞬間がやってきて。その瞬間がすごく嬉しくて、そこから「センスだけじゃないかもしれない」と考えられるようになりました。「これを仕事にできたらすごく楽しいだろうな」と。

“気づき”が小西さんに変化をくれたんですね。
『尾かしら付き。』に関しては、
どのように読み込まれていきましたか?

この作品に僕が感じたのは〈共感性〉。周りと違う部分があると排除されてしまう、周りと違うと「おかしい」と認識されてしまう、そんな誰もが共感できる部分が描かれていると感じました。そして、快成のしっぽはそんな“周りと違うこと”の象徴だな、と。僕自身、コンプレックスがたくさんあるので、原作や台本を読みながら「分かる!」と思うことがすごく多かったんです。人間ってワザとじゃなくても、自分と違う部分をもっている人を避けたり、からかうまではいかなくても理解をとめたりしてしまう面があると思うんですよね。だからこそ、那智のように「周りと違ってもおかしくない!」と、言いきることができる人が眩しく見えるんだろうな、と。僕も那智のようにありたいと思いましたし、那智を応援できるような人になりたいとも感じました。

作品に宿っているメッセージに触れて、
小西さんが改めて考えたことがあれば
教えてください。

この作品に関わるまで、未知のものに対して「怖い」という感覚があったのですが、快成として生きる時間を経て「未知と出会ったときには、歩み寄って寄り添って理解していきたい」と思うようになりました。怖くて動けない、ではなくて、咄嗟に動ける人になりたいと思います。

小西 詠斗

初主演の本作、
座長として参加した現場はいかがでしたか?

最初は気配り目配りを意識して「いい現場にしよう」と、座長らしいことを考えていたのですが、実際は自分のことで精一杯で…。いままでご一緒してきた座長の皆さんのすごさを感じる現場でした。ただ、僕が何かをしなくても本当にいい現場でしたし、共演者の皆さんも大先輩の方が多かったので、甘えさせていただきながら撮影に臨むことができました。大人になった快成役の佐野岳さんも現場に来てくださり、僕の相談にたくさん答えてくださってとても心強かったです。

個性的なキャラクター満載の今作。
撮影現場でのエピソードを教えてください。

木村(木村昴)さんが本当に面白くて、常に現場を盛り上げてくださっていました。カメラが回っていないときも、テレビで観る木村さんのままなんです!周りを見ながら、その場にいる人たちを楽しくしてくれる方で、「僕もこんな優しい大人になりたい」と心から思わせていただきました。木村さんってコーラ好きで有名なのですが、撮影現場でも本当にずっとコーラを飲まれていて、「あの噂は本当なんだ!」と嬉しくなりました(笑)。

小西 詠斗

なんて可愛いエピソード…!
ヒロインの大平さんはいかがでしたか?

大平さんはとにかく元気で若さに溢れつつも、しっかりとしている強い子で、那智のイメージにぴったりでした。撮影が終わったあとに「買い物に行ってきた~!」と話しているのを聞いて、「僕は疲れて動けないのに…」と、若いパワーを感じていました(笑)。TikTokなども率先して考えてくれて。先ほども考えてくれた主題歌の振付を一緒に撮影したので、皆さんも踊ってみてください。

Dear LANDOER読者
From 小西詠斗
映画『尾かしら付き。』

この作品はきっと誰しも〈共感〉できるところがある作品。しっぽのことで悩んでいる快成の前に那智が現れ、少しずつ変わろうと頑張る快成を応援していただけたら嬉しいですし、2人の姿を見て「認め合うこと」やシンプルに「優しく生きること」の素敵さを感じていただけたらいいな、と思います。作品を観て僕自身、心が軽くなりました。観てくださる皆さんの背中をそっと押せるような一本が完成したと思うので、作品を通して劇場で幸せな気持ちをお届けできたら嬉しいです。

小西 詠斗

小西 詠斗(23)

こにし えいと

2000年1月21日生まれ。
自身に混在する繊細さにまで耳を澄まし、
表現に織り込みながら等身大の〈役〉を詠うDOER

映画『尾かしら付き。』

映画『尾かしら付き。』
2023年8月18日(金)ROADSHOW

出演:小西詠斗 大平采佳 / 佐野 岳 武田梨奈
   木村昴 新内眞衣 土井ケイト 長谷川朝晴
原作:佐原ミズ「尾かしら付き。」(ゼノンコミックス/コアミックス)
監督:真田幹也 脚本:おかざきさとこ
音楽:Hilcrhyme
主題歌:Hilcrhyme「UNIQUE」(Universal Connect)

Staff Credit
カメラマン:作永裕範
ヘアメイク:OCEAN WH1TE 峯田大暉
スタイリスト:TAKURO
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:古里さおり