【大野拓朗 × 甲斐翔真】音楽劇『クラウディア』Produced by 地球ゴージャス現代(いま)を生きる〈僕ら〉に賞賛を

大野拓朗 × 甲斐翔真

音楽劇『クラウディア』
Produced by 地球ゴージャス
現代(いま)を生きる〈僕ら〉に賞賛を

悲しみや憎しみの色は〈幸せの色〉よりも暗く濃いから、どうしても目を引き付けられてしまう。そうして気づけば「この世界は悲しみに溢れている」と無意識に涙がこぼれる。けれど思い出して欲しい。人が人を傷つけることで生成される色が〈悲しみの色〉だとするのなら、自分の中で生成できる色は〈幸せの色〉、ただ一色だということを。地球に生まれた私たちには、たくさんのゴージャスが詰まっている。素晴らしいこの世界を、〈幸せの色〉を生み出せる素晴らしい私たちを、今日も明日も明後日も声高らかに賞賛しよう。

音楽劇『クラウディア』
Produced by 地球ゴージャス

音楽劇『クラウディア』 Produce by 地球ゴージャス

-Introduction-

「クラウディア」は、岸谷五朗・寺脇康文が主宰する演劇ユニット「地球ゴージャス」によって2004年に初演され、2005年の地球ゴージャス10周年記念の際にはアンコール上演されました。岸谷五朗の「反戦三部作」の第1作目で、桑田佳祐が書き下ろした「FRIENDS」ほか、サザンオールスターズの数々の楽曲で綴るジュークボックスミュージカルです。約12万人の観客を動員した伝説の作品、そして再演を熱望する声が多かった本作が、この度、18年振りに復活!脚本・演出を手掛けるのは、前回に引き続き、地球ゴージャス主宰の岸谷五朗。“愛を禁じられた世界で芽生えた、二つの恋の物語”を現代版として昇華することで、これまでの公演とは一味違う新たな息吹をもたらします。

-Story-

「愛を禁じられ、戦いに明け暮れる「根國(ねこく)」と「幹國(みこく)」という2つの民族しかいない世界。神親殿という神が定めた絶対の掟に背いて、二つの恋が芽生えた。民族を超えて密かに育まれる愛と、自覚せぬままお互いを想い合う愛。二つの愛はやがて、その「世界」そのものを揺るがすことになっていく…」

-細亜羅(ジアラ)-

禁じられた愛に翻弄される「根國」の剣豪。

大野拓朗 × 甲斐翔真

地球ゴージャス × 大野拓朗/甲斐翔真

大野拓朗(以下、大野):僕の地球ゴージャスへのイメージは“エンターテインメントの塊”。以前、地球ゴージャスの舞台の出演者に映像を観せてもらったことがあるのですが、その時に「すごく素敵な世界だな」と思ったことを覚えていて。僕も「この素敵な世界にいつか出られるように」そして「またミュージカルの世界へ帰ってきたい」と思って、ボイトレやレッスンをしてきたので、ある意味僕の人生を変えてくれたエンターテインメントのひとつと言えます。

甲斐翔真(以下、甲斐):僕、まだ俳優として新人だった頃に、地球ゴージャスの『The Love Bugs』(2016)という作品の稽古場に見学に行かせていただいたことがあって。そこで地球ゴージャス恒例のマット運動にも参加させてもらったんです(笑)。そういったご縁もあり、『The Love Bugs』以降の作品はすべて観劇しているのですが、観劇する度に思うのは「“地球ゴージャス”という名の通り、地球に生きる自分たちを賞賛するエンターテインメントだな」ということ。コメディの要素もたくさん散りばめられているけれど、観た後にはどこか清々しさとメッセージが残るような、そういった作品の印象があります。

今回はそんな“地球ゴージャス”の作品を
受け継ぐということで…

甲斐:今回一番大きいのは、五朗さん(岸谷五朗)と寺脇さん(寺脇康文)がいらっしゃらないということ。「やっと地球ゴージャスに出演できる日がきた!」と思ったら、お2人がいらっしゃらないと知って不安にもなったのですが、変化していくのが演劇というものなので、地球ゴージャスの色を継承しつつも新しい世代として…

大野:受け継ぐんでしょ?

甲斐:受け継ぐとなると話が大きくなってしまいます(笑)。でも、「地球ゴージャスという大きな看板を背負っていかなければならない」と思っているところです。

大野拓朗 × 甲斐翔真

初演時に岸谷さんと寺脇さんが
「『クラウディア』は、日本人が親しめる
音楽劇にした」と

お話している映像を拝見したのですが、
お2人の感じた『クラウディア』の魅力について
教えてください。

大野:やっぱり大きな魅力のひとつは、サザンオールスターズさんの曲のカッコよさ!本読みの時から音付きでセリフの通しをしていたのですが、カッコいいセリフの後にサザンオールスターズさんの誰もが知っている曲が流れた瞬間、鳥肌が立ちました。演じているキャストたちまで高揚するような音楽の力を感じましたね。改めてサザンオールスターズさんの作られる音楽はすごいんだな、と。

LANDOER:18年前に岸谷さんが「日本人のDNAに組み込まれている音楽」と仰っていた意味が分かりますね。

大野:本当にDNAに組み込まれていると思いますね。失礼ながら初めて知った曲もあったのですが、何度も聴いているうちに「今度この曲カラオケで歌おう」と思っている自分がいて(笑)。普段あまり自分が歌わないような曲でも、練習したくなるほど大好きになる魅力が詰まっているのだと思いました。

甲斐:僕は最近ニューヨークでブロードウェイを観て来たのですが、そこで「作品には生まれた土地の文化がすごく反映されている」と感じたんです。きっとそれが観客の心を掴むポイントでもあるんだろうな、と。だからこそ、日本で上演する演劇には日本人の感覚だったり、大和魂だったりが含まれると思うんですよね。今回の作品にはその要素が特に色濃く含まれている印象があって。物語の大筋はシェイクスピアのような古典的な戯曲感もあるのですが、そこに出てくる人物たちは“大和魂”を大事に生きている人たちが多いんです。日本人により響きやすい作品だと思いましたし、それが作品の魅力にも繋がっているのかな、と思いました。

大野:それを聞いて思ったんだけど、“大和魂”は外国の方にも受け入れられそうだよね。日本人にはDNAレベルで響くだろうし、外国の方には“侍”や和の衣装の豪華絢爛さなどを楽しんでもらえそう。あとはやっぱりサザンオールスターズさんの曲!ブロードウェイの作品が現地の人以外も楽しめるように、この作品にも言葉が分からなくても、五感で楽しんでもらえるエンターテインメント性がある気がします。ブロードウェイの演劇に負けないような力強さもあると、いま翔真の話を聞いて感じたな。

甲斐:『クラウディア』は、良い意味でメイドインジャパン感がすごいんですよね。“国籍を問わず、人種を問わず楽しめるエンターテインメント”というので言うと、先日『千と千尋の神隠し』の舞台を観劇したのですが、ジョン・ケアードさんが演出・翻訳していると知って「その視点があるんだ!」と驚きました。文化を超えた演劇の面白さの可能性を心から感じたので、『クラウディア』もその可能性を届けていきたいですね。

大野拓朗 × 甲斐翔真

一体どんなメイドインジャパンな
エンターテインメントが出来るのか
とても楽しみです。

お稽古はいかがですか?

大野:予想以上に楽しいです。地球ゴージャス恒例のマット運動を一度やったのですが、めちゃくちゃ筋肉痛になりました(笑)。でもマット運動なんて小学生以来なので、すごく楽しくて(笑)。部活の感覚と言いますか、みんなと仲良くなれる感じがしますし、各々のパーソナルな部分も見えてくるんです。「恥ずかしがってるな~」とか「カッコつけてるぞ~」とかね(笑)。普通に稽古をしていただけだと見えてこなかった部分がどんどん見えてくるので、学生時代を思い出しながら楽しみました。

甲斐:なんか精査されている感じで怖いじゃないですか(笑)。

大野:あはは(笑)。僕、カンパニーのみんなを愛しちゃう人だし、家族だと思っているから!愛を育んでいくには個人のことをきちんと知っていきたいし、良いところをいっぱい見つけていきたいと思っているんです。マット運動で見えたところも全部ポジティブなところだから安心して(笑)!「わ、照れてる!可愛い!」みたいな(笑)。

甲斐:あはは、良かった(笑)。それで言うと、マット運動の時に五朗さんがだんだんと体育の先生に見えてきたんです(笑)。側転する時に補助してくださったり、何かをする時に率先してフォローをしてくださったりするんですよ。

大野:分かる(笑)!「あの岸谷五朗さんが…!?」ってなるよね(笑)。本当にリーダーとしても人としても素晴らしい方で、尊敬できる方だと改めて感じました。

甲斐:僕は、地球ゴージャスの反戦三部作のひとつである『クラウディア』は、僕らも皆さんも何かを感じながら育んでいくべき作品だと思っているんです。その中で五朗さんが仰っていた「こんなに演劇に携わってきて“今やるべき作品”だと思ったのは初めてだ」という言葉は、僕自身も本当に共感したことで。今は地球が100%でゴージャスな状態じゃないかもしれないけれど、でも本当は地球ゴージャスという言葉の通り、とても素晴らしいものを僕らは生まれながらにして持っていると思うんです。この作品で、そういった人間の宿している〈美〉を提示できればいいな、と思います。

Dear LANDOER読者
About音楽劇『クラウディア』

大野拓朗 × 甲斐翔真

From 大野拓朗

今作では細亜羅の“ピュア”で“真っ直ぐ”なところを表現していきたいと思っています。剣豪ではあるけれど、剣豪らしいところを見せる場面は意外と最後のほうにしかないので、最初の立ち居振る舞いから含めて「一番強いんだ」という空気感が出せるように意識したいな、と。『クラウディア』の根底には「愛してはいけない世界で愛情に気づいていく」というストーリー軸があるのですが、細亜羅自身は“内に秘めている愛”が人一倍大きな人間だと思うんですよね。だからこそ「この人の愛情って奥深いな」「底知れない愛を持っているんじゃないかな」と自然と思っていただけるような細亜羅にしたいと思っています。

大野拓朗 × 甲斐翔真

From 甲斐翔真

当たり前なことなのですが、最初と最後で「どれだけ細亜羅というキャラクターが変わっていったのか」を見せられないといけないな、と思っていて。そして『クラウディア』という作品の良さを伝えるためにも“愛が閉鎖された世界”と“愛が欲しい人たち”、どちらか一方のサイドではなく、その間をさまよう細亜羅を表現としてやっていきたいと思っています。「愛は美しい」ただそれだけでは終わらず、身を削りながら苦しみながら細亜羅を生きたいな、と。地球ゴージャスの描くコメディ調の楽しい作品だからこそ、深いところまで表現していきたいと思います。

大野拓朗 × 甲斐翔真

大野拓朗(33)

おおの たくろう

1988年11月14日生まれ。
自身に触れる物事を朗らかに楽しみながら、
訪れる〈HAPPY〉を目いっぱい心で吸い込むDOER

大野拓朗 × 甲斐翔真

甲斐翔真(24)

かい しょうま

1997年11月14日生まれ。
作品、役柄、その全てにリスペクトを捧げ、
ひたむきな〈真心〉で芝居に“生”を吹き込むDOER

音楽劇『クラウディア』 Produce by 地球ゴージャス

Daiwa House Special音楽劇『クラウディア』
Produced by 地球ゴージャス

東京公演:2022年7月4日(月)~24日(日)東京建物Brillia HALL
大阪公演:2022年7月29日(金)~31日(日)森ノ宮ピロティホール

出演:大野拓朗 甲斐翔真(Wキャスト)
   /廣瀬友祐 小栗基裕(Wキャスト)
   田村芽実 門山葉子(Wキャスト)/美弥るりか
   上山竜治 中河内雅貴(Wキャスト)
   /平間壮一 新原泰佑(Wキャスト)
   /湖月わたる

脚本・演出:岸谷五朗
主題歌:サザンオールスターズ「FRIENDS」
(タイシタレーベル/ビクターエンタテインメント)

Staff Credit
カメラマン:YURIE PEPE 
スタイリスト:[大野]栃木雅広、[甲斐]岡本健太郎
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:吉田彩華