【岸谷五朗×寺脇康文】Daiwa House Special 地球ゴージャス三十周年記念公演『儚き光のラプソディ』スペシャル対談

岸谷五朗×寺脇康文

Daiwa House Special
地球ゴージャス三十周年記念公演
『儚き光のラプソディ』
スペシャル対談

命として存在した日、誰もがこぶしに〈光〉をにぎっていた。そして、地球に生まれたと同時に、その〈光〉を世界に放った。私たちの人生は自分だけの〈光〉を探す旅。世界中にキラキラと舞い散った自分だけの〈光〉を求め、抱きしめて、唯一無二の色をつけてゆこう。どんなに世界が混乱しようと、決して忘れないで。どこかであなたを待つ〈光〉は、どんなに儚くても絶対に消えないということを。生きている人の数だけ輝く地球。こんなゴージャスな地球で生きる私たちは、思いっきり胸を張って生きていい。

Daiwa House Special
地球ゴージャス三十周年記念公演
『儚き光のラプソディ』

Daiwa House Special 地球ゴージャス三十周年記念公演 『儚き光のラプソディ』

演劇ユニット「地球ゴージャス」が結成 30 周年!

1994 年に岸谷五朗と寺脇康文により結成された演劇ユニット「地球ゴージャス」。「地球の人々の気持ちを豊かに、ゴージャスにする」ことを目指し、一糸乱れぬ群舞や圧倒的なコーラスワーク、激しいアクション、時にコミカルに、時にシリアスに、そして何より熱気にあふれた“地球ゴージャス流”エンターテインメントは、作品を発表するたびに大きな話題を集めてきました。地球ゴージャスのもう一つの魅力は、“劇団”というスタイルをとらず、岸谷と寺脇以外は毎公演、豪華ゲストとあらゆるジャンルを超えたアーティストを迎えて上演するプロデュース公演であること。岸谷・寺脇が創り上げる作品世界とゲストたちの融合は、ゴージャスらしさはそのままに公演の度に新しい表情を魅せ、これまでに累計動員数 105 万人を超える多くのお客様に愛されてきました。そして、岸谷・寺脇が“まだまだこれからも、大それた「夢」への追求は続く”と語る結成 30 周年を迎える 2024年。2018 年の『ZEROTOPIA』から実に 6 年振りの新作となる『儚き光のラプソディ』を上演致します。

-あらすじ-

「ここはどこだ」

ひとり、またひとりと謎の白い部屋に集まる人たち。共通することはただ一つ、それぞれの「逃げたい」という強い感情が溢れそうになった瞬間に目の前に現れたという「扉」。その扉を開くと、この部屋が現れたという。「ここはどこだ」集まったのは7人の男女。孤児院で育ったという青年‥謎のジョッキー‥軍服を身に纏った男‥ホテル支配人に、ひまわり畑から来たという二人の男、そして老婆‥生きていた場所も時代も様々である。部屋の中で繰り広げられる会話により、互いの関係が微妙に、でも確実に変化する。何故この人と 何故この部屋で 何故この時に私たちは出逢ったのか

作・演出
岸谷五朗
×
演出補
寺脇康文

岸谷五朗×寺脇康文

現代(いま)こそ届けたい
儚く尊い希望の〈光〉

岸谷五朗(以下、岸谷):まったく意識していなかったのですが、今回の『儚き光のラプソディ』は、地球ゴージャスの6年ぶりの新作なのだとか。地球ゴージャスのオリジナル作品は、「○○年のときには、あんなことを考えていた」ということが分かる、いわば僕の思考の年表。今作も、僕が「いま考えていること」のすべてが描かれることになると思います。

LANDOER:今回の台本の執筆中に岸谷さんが「考えていたこと」は、何でしたか?

岸谷:書いている最中、ずっと頭にあったのは世界で起こっている“戦争”でした。いまこの瞬間にも子どもたちがどこかで泣いている、そういった状況がとても大きく頭を占めていて。どんなシーンを書いていても、そのことがどうしても消えないんです。つくづく“表現されるべきこと”は、書きたくて書くのではなく、書かされてしまうのだと実感しました。

LANDOER:頭から離れないほどの大きな存在を、どのような形で作品に落とし込もうと思われたのでしょうか?

岸谷:タイトルにもある〈光〉について描くことで、作品に落とし込もうと思いました。いま僕たちが生きるうえで意識しているテーマやイデオロギーって、ひとつの〈光〉であり、それこそが“希望”だと思ったんです。もちろんそれは“戦争”を考えるうえでも付随してきたもので。

LANDOER:まさに、現在の社会情勢に必要な〈光〉ですね。

岸谷:僕は希望と同時に命も〈光〉だと思っていて。とても貴重な存在であるはずの〈光〉が昨今、とても儚いものになってしまっている。だからこそ今回の作品では“登場人物たちがもつ〈光〉”に焦点を当てよう、と思ったんです。命が〈光〉であるように、一人ひとりがもつ魅力も、各々の生き方も〈光〉その〈光〉たちがこんなに儚く消えてしまっていいのか、そんな自分の思いを作品に描こう、と

LANDOER:『儚き光のラプソディ』は、各々の登場人物の生き方や人間的な魅力が異なるだけでなく、生きてきた時代まで違うのだとか。

岸谷:そうなんです。作品の舞台は、まったく違う人生、時代を生きてきた初めましての人たちが集められた世界。「それぞれ異なるメロディーを奏でる人たちが合わさったとき、一体どういったラプソディが生まれるのか」というところから、『儚き光のラプソディ』というタイトルをつけました。今回の出演メンバーが稽古場に集まったときにどうなるか、も、僕にとっては楽しみのひとつです。

寺脇康文が見た『儚き光のラプソディ』

寺脇康文(以下、寺脇):五朗ちゃんの書く作品には、時代を反映している要素が必ず入っていて、これまでも地球ゴージャスとして「戦争はよくないよ、やめようよ」といった作品を作ってきたんです。けれど、なくなってはいないのが現状で。ただ僕が思うのは、僕らの芝居で戦争をなくすことは難しくても、「戦争は良くないことなんだ」と思う人間を増やすことはできるんじゃないか、ということで。

LANDOER:確かに。その意識の広がりが、平和に繋がるように思います。

寺脇:作品を観てくださった方がそのメッセージを感じてくださり、自分の家族や知り合いに話をしてくれたら、きっとメッセージが広がっていく。微力だとしても、メッセージが届く先の人を想って芝居をしていきたいと思います。

LANDOER:まさに、岸谷さんの想いと、寺脇さんの願いの共作ですね。

寺脇:僕らができることは、好きな芝居をしながら「戦争は良くないこと」という意識を少しでももってもらうこと。その気持ちを大切に、30年という現状に慣れることなく演じさせていただきます。

30周年を迎える地球ゴージャスが
初めて共にする新旧の劇場たち

岸谷:正直、30年前に地球ゴージャスを結成した当時は「もうやる劇場がないんじゃない?」というほど、いろいろな劇場で公演をしていくと思っていたんです。とにかくフットワーク軽く、どんどんと演劇を発表していくための“ユニット劇団”でもありましたし。でも30年経った現在、行けていない劇場がまだまだあって。そんな中でも『明治座』は、僕が「いつか作品作りをしてみたい」と思っていた劇場のひとつ。一方、大阪公演の劇場である『SkyシアターMBS』は、今年オープンする新劇場。同じ作品で新旧どちらの劇場にも立てることが楽しみです。

LANDOER:歴史ある劇場と新しい劇場とでは、ステージに立った感覚は違うものなのでしょうか?

岸谷:本当に不思議なのですが、人が通い慣れた劇場って声もアクティングもすべてが染み込んでいくような感覚があるんです。一方で、新しい劇場はそういったものが跳ね返ってくる感覚があって。下手すると、自分たちのやっていることを拒絶されているような匂いを感じるときすらある、そのくらい、劇場側が公演に慣れていなくてびっくりしている雰囲気があるんですよ。

LANDOER:へぇ~!それは驚きです。

岸谷:公演を重ね、大きな音を出して、大きな台詞を吐く、それによって新しかった劇場がだんだん生き物に変わっていくといいますか。

寺脇:劇場って、舞台、舞台袖、楽屋など、バックヤードも含めて慣れていくのに時間がかかるもの。今回は『明治座』も『SkyシアターMBS』も、地球ゴージャスが初めてご一緒する劇場なので、劇場と仲良くなるまでに時間がかかる気がしているのですが、せっかく公演をさせていただくからには、早く劇場と仲良くなって自分たちの家のように感じられる場所にしたいと思っています。

毎回違うメンバーゆえの違う魅力。
2人が見つけた「一緒に芝居をしたい」
演劇界の〈光〉が集結

寺脇:今作の主演である大志(中川大志)と僕の出会いは連続テレビ小説『おひさま』(2011)。当時は、彼がまだ小学6年生くらいだったと思うのですが「この子はものすごいスターになる!」と、ピンときたのを覚えています。ビジュアルがカッコいいのはもちろん、芝居に対する真摯な取り組み方がすごくいいな、と思ったんです。その頃から僕は大志が大好きだったのですが、時が経って大人になった彼と共演したときに、芝居への真摯な態度がまったく変わっていなくてさらに好きになりました

LANDOER:まさに、芝居が結んだかけがえのない縁ですね。

寺脇:何のブレもない、芝居への取り組み方がとても好きなんです。あと、ちょうどその共演時に、お笑いが好きだということを知って。メイク室などで急にコントを仕掛けてくるんですよ(笑)。芝居が好きで、お笑いが好き、そんな大志と一緒に舞台ができたらいいな、と思っていたら、今回の作品で叶えることができました

LANDOER:念願叶って、ですね!おなじみの方から新しい方まで、『儚き光のラプソディ』一座、楽しみです。

寺脇:10年に一度出演する、でおなじみの俊介(風間俊介)に関しては、前作から10年経ったのでオファーをしました(笑)。俊介も初出演の福(鈴木福)くんも、ずっと変わらないお茶の間の人気者。やっぱりお茶の間で人気になるためには、人の良さが必要なんです。2人の人の良さは分かっていましたし、福くんが五朗ちゃんの描いていた役にぴったりと合ったので、今回オファーをさせていただきました。

LANDOER:キャスティングは毎回お2人で話し合って決められているんですか?

寺脇:呑みながらよく「彼はいいよね」「この人と芝居してみたいね」と話しています。まさに、そのときに名前が挙がっていた方々に揃っていただきました

岸谷五朗×寺脇康文

脚本家として見つめる、
イメージキャストの選抜と
『儚き光のラプソディ』のキャスティング

岸谷:今回は、イメージキャストを頭において脚本を執筆しながら、キャスティングも同時進行で進めていました。キャスト候補がだんだんと絞られてくるなか、プロデューサーとも話をして中川くんへのオファーを決めたんです。

LANDOER:その理由は何だったのでしょうか?

岸谷:明治座でやっていた中川くんの初舞台・音楽劇『歌妖曲~中川大志之丞変化~』(2022)を観たとき、先ほど寺ちゃんも言っていた“芝居に対する彼の真摯さ”が見えたんです。「あぁ、舞台に対して僕と同じ気持ちをもった男だな」と。自分の役に対するブレのなさがとても素敵で、「こっち側(地球ゴージャス)の芝居もやらせたい!」と、すぐに思いました。

LANDOER:お2人からのラブコールですね!初出演の中川さん、3度目の出演の風間さん、カラフルな一座の組み合わせにさらにワクワクします。

岸谷:今回、俊介には3人目の地球ゴージャスを担ってもらおうと思っています。20年前、地球ゴージャスの舞台に俊介が初めて出演してくれたときの年齢が今の僕らの歳と同じで、彼はそういった縁をとても感慨深く思ってくれていて。俊介にとって30年間で3度目の出演となる今作では、新しく集まってくれたメンバーを芝居で引っ張っていってもらいたいな、と

LANDOER:30年間、風間さんが詰まれてきた実績と信頼の賜物ですね。

岸谷:えぇ。その役目に匹敵するほど、経験を積んで、舞台を積んで、そういう男になって帰って来てくれましたから。僕が意識して彼の役割を決めたというよりは、気づいたときには、自然と脚本に反映されていました

岸谷五朗×寺脇康文

Dear LANDOER読者
Daiwa House Special
地球ゴージャス三十周年記念公演
『儚き光のラプソディ』

From 岸谷五朗

今回の作品は地球ゴージャスの作品史上、一番のセリフ劇になっています。『明治座』という大きな劇場で観劇していることを忘れ、まるで小劇場でセリフ劇を観劇しているかのように思わせる、実はずっとしてみたかったことなんです。技術的なスキルはもちろん、演出の手腕が必要になる場面もたくさんあるので、新しい試みを挙げるとしたら“セリフ劇”が見どころだと思います。それぞれ知らない者同士が、突然よく分からない部屋にポンッと放り込まれることではじまる物語。年代の差、価値観の差がある人たちが一堂に会したとき、一体何を発信していくのか。僕自身、その世界を「観てみたい」と思って制作に臨みました。是非、楽しみにしていてください。

From 寺脇康文

いままで読んだ台本で、今回ほど「これ、どうやって表現するの?」と思う箇所が多い台本は初めてでした。もう1ページ目から「舞台上でどうするんだ、これ?」の連続なんです(笑)。台本を読んだ後に「ねぇ五朗ちゃん、これはどうやってやるの?」と聞くと、「いや、分からない」と答えるんですよ(笑)。五朗ちゃんがイメージ先行で楽しみながら書いていることが伝わってきましたし、いままでにない演出がたくさん入ってくるんじゃないかとワクワクしています

岸谷五朗

岸谷五朗

きしたに ごろう

9月27日生まれ。
思い巡らす地球の姿と自身の声を、
朗らかな〈愛嬌〉と〈愛情〉で包み届けてくれるDOER

寺脇康文

寺脇康文

てらわき やすふみ

2月25日生まれ。
笑い声が響く安康な地球を願い、
たっぷりの〈愛〉をもって私たちの心に声がけをくれるDOER

Daiwa House Special 地球ゴージャス三十周年記念公演 『儚き光のラプソディ』

Daiwa House Special 地球ゴージャス三十周年記念公演
『儚き光のラプソディ』

明治座(東京):2024年4月28日(日)~5月26日(日)
SkyシアターMBS(大阪):2024年5月31日(金)~6月9日(日)
作・演出:岸谷五朗
出演:中川大志 風間俊介 鈴木福 三浦涼介
   佐奈宏紀 保坂知寿 / 岸谷五朗 寺脇康文 他
チケット等、詳細は公式HPにて

Staff Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:大野彰宏(ENISHI)
スタイリスト:中川原寛(CaNN)
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:古里さおり