Netflix『今際の国のアリス2』
NTV水曜ドラマ『リバーサルオーケストラ』
〈つくる〉を究める役者魂
声を聴くだけで、人柄が分かってしまうほどに凛と優しい人。鈴のように弾む声で語られる、“ものづくり”の話、“役”の話には、溢れるほどの〈愛〉が詰まっていました。辛い過去を強さで隠して「生きてやる」と闘志を燃やす『今際の国のアリス2』のヘイヤ、そして、天真爛漫で優しく姉想いな『リバーサルオーケストラ』の谷岡奏奈、2つの作品のお話をお聞きするなかで見えてきた、恒松さんの揺るぎない〈芯〉。聞いているこちらまで思わず笑顔になってしまう、彼女のパワーが〈言葉〉を通して届きますよう。
Netflix『今際の国のアリス2』
-Story-
“今際の国”での理不尽な“げぇむ”を生き抜き、クリアする度に手に入る数字のトランプをすべて集めたアリスたち。ミラから新たな戦いの幕開けを告げられたアリスは、絵札のカードをクリアするため ウサギたちと渋谷へと向かうが、突然始まった銃撃戦に巻き込まれる。同時に複数の“げぇむ”に参加 することができないのではないかという仮説を立て、 別の会場に向かったアリスたちを迎えたのは、強烈なカリスマ性を持つキューマだった。敵でありながら“げぇむ”を通してキューマの生き様に触れ、生きることの意味を考え始めるアリス。一方、ウサギは尊敬する父を死に追いやった元の世界に戻ることに躊躇を感じ始めていた。
-ヘイヤ-
弓道部の高校生。
生きるために手段を選ばないが、情に脆い一面も。
オーディションでつかみ取ったヘイヤ役。
オーディションを受けようと決意した
作品への想いと
オーディション時のエピソードを教えてください。
事務所の方からオーディションのお話を聞いて、もともと原作を読んでいたこともあり「何としてでも勝ち取りたい」という気持ちで受けることを決意しました。オーディションでは、シーズン2で実際にヘイヤが参加しているげぇむ・かまゆでのシーンとアリス(山﨑賢人)に初めて会うシーンの2つの場面を演じたのを覚えています。げぇむ・かまゆでは釜の中で一人、ヘイヤが今までの人生で感じてきた気持ちを言葉にするというシーンだったので、オーディションに行くまでに自分の中でヘイヤという少女について深く考えました。丁寧に彼女に向き合えたことが、ヘイヤの役をつかみ取れた理由なのかな、と思います。とにかくエネルギーを持ってオーディションに挑みました。
佐藤監督のインタビューで
「恒松さんが『今際の国』にいる姿を
見たくなった」と拝読しました。
実際に『今際の国』に足を踏み入れてみて、
いかがでしたか?
ものすごく壮大なセットの中、準備期間を含めると1年ほど現場で作品づくりに携わらせていただけて、今思い出しても楽しくなるような最高の経験でした。ヘイヤは複雑な部分がたくさんある子だったけれど、それでも演じていて楽しい役だったな、と。あとは何といってもセットが豪華!109前のセットが作られていたことは有名だと思うのですが、それだけでなくげぇむの会場も一つひとつ作りだしてしまうんです(笑)。細かい瓦礫もきちんと作られていて、本物の石にしか見えないのに危なくない作りになっているんですよ。
すごいですね…!
セットの隅々まで観たくなります。
美術の方々の技術の結晶が詰め込まれたセットなので、是非観ていただきたいです!げぇむ・かまゆでのシーンでは、実際に私が泳げるような温泉があったり、スタジオ内に崩壊したドームが完璧に再現されていたり、もう言葉にならないほどすごかった…。グリーンバックではなく、実際に目の前に『今際の国』の空間が広がっていると「生き残らきゃ」「どうやって生きよう」という気持ちが、ヘイヤ同様湧いてくるんです。“生きる”ということに対して良い意味で貪欲になれるといいますか。作品の世界を再現する他の部署の方々も本当に素晴らしくて、たくさんのプロフェッショナルの魂に触れることのできる現場でした。
ヘイヤの衣装も、とてもかっこよくて素敵でした。
ヘイヤはシーズン2から参加する新しいキャラクターだったので、いろいろな衣装や武器の候補の中からどの組み合わせが一番カッコいいのかを皆さんと一緒にたくさん話し合いました。私の場合はアクションシーンが多かったことと、片足が義足の設定だったこともあり、アクションのやりやすさまで考える必要があって。実際の固い義足をつけるとアクション時に危ないので、アクション用の義足を作ってもらって、一番いい形を探しながら演じさせていただきました。
ヘイヤ × 恒松祐里
ヘイヤはギャルなJKであると同時に、時間を無駄にして一生懸命生きてこなかった過去の自分と縁を切って未来へ向かおうとしている女の子。『今際の国』では「何が何でも生きてやる」と、前を向き続けている役柄で、私自身、強いヘイヤに力をもらっていました。アクション練習も大変だったのですが、練習の時はできなかったこともヘイヤとしてアクションをすると上手くいくんです。オーディションの時からヘイヤに関しては“役を演じている”というより、自分の中に“別人格がある”といった感覚でした。
ヘイヤの強さが芝居を通して
実際の恒松さんに浸透していたんですね。
そうですね。ヘイヤの強さがすごすぎて、演じている時は私の人格を離れてヘイヤの強さに引っ張られていたと思います。衣装やメイクの力も含めて、それがすごくありがたくて。撮影中はずっと彼女の強さに助けられていました。今まで『今際の国のアリス』の登場人物の中に弓矢のキャラクターはいなかったので、観ていただく皆さんにも楽しんでいただけるシーンが多いと思います。個人的には、矢を引くためにつけるグローブがカッコよくて(笑)!丁寧にディティールまで作りこまれているので、是非、細かいところまで観ていただけたら嬉しいです。
義足でありながら、弓矢を手に戦い抜くヘイヤ。
観ている側も勇気をもらいました。
実はヘイヤの足はCG担当の方々が一コマ一コマ、編集の段階で秒単位で消してくださっているんです。撮影時は脚にグリーンやブルーのストッキングを巻き付けて、義足をつけていたので、完成した映像を観て感動しました。私自身クランクアップの時に「私の脚をよろしくお願いします」と言いながら現場を後にしたのを覚えています。シーズン2は前作以上に各キャラクターたちの心情が深く掘り下げられているので、それぞれの想いを知ったうえで最後の闘いに挑むみんなを観て、私もめちゃくちゃ泣いてしまいました。
Dear LANDOER読者
From 恒松祐里
Netflix『今際の国のアリス2』
ヘイヤは自分の辛い過去をあっけらかんと人に言えるような子でありながら、実は母親に愛されなかったことなど、たくさんの傷を抱えている子。ただその傷を誰かに言うこともなく、弱さを強さでくるんで生きてきた子でもあります。『今際の国』ではその強さが武器となり、“生きる”ということに真っ直ぐ向き合い戦うヘイヤ。基本的にはアグニ(青柳翔)と行動を共にしているのですが、アグニもヘイヤと同様、弱さを強さで隠している孤独な人。そんな2人が出逢って強い絆が生まれる物語にも、是非注目していただきたいです。たくさん「ヘイヤは強い」と言いましたが、彼女の隠している弱さを考えるとものすごく辛い部分もあって。アグニという存在にヘイヤと共に救ってもらいました。とは言え、私にとってヘイヤは生き様のカッコいい人。これから先も私の中にヘイヤという役、そして彼女の強さは生き続けると思います。
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