【大島優子】映画『マダム・ウェブ』寂しそうな4人を結ぶ運命の糸織り成すのは、愛と成長の英雄譚

大島優子

映画『マダム・ウェブ』
寂しそうな4人を結ぶ運命の糸
織り成すのは、愛と成長の英雄譚

人生、絶望しているわけじゃないし、笑っている瞬間だってたくさんある。でもなぜか、心に吹くすきま風をとめることができない。「私は何を欲しているの?」問いかけの先にいる自分は、いつもとても寂しそうで。もしかすると、このすきまを埋められるのは“与えられるもの”ではなく、“与えるもの”なのかもしれない。もしアナタが「与えたい」と思えるほど大切な存在に出逢えたのなら、その糸(ウェブ)を決してほどかないで――

映画『マダム・ウェブ』

映画『マダム・ウェブ』

マダム・ウェブ誕生の物語であり、
これまでのマーベルと一線を画す、
壮大な本格ミステリー・サスペンス。

ニューヨーク。救急救命士として働くキャシー・ウェブは、一人でも多くの命を救うため日々奮闘していた。ある時、救命活動中に生死を彷徨う大事故に巻き込まれてしまう。 それ以来、キャシーはデジャブのような奇妙な体験を重ねるのだった。 自分に何が起きているのか戸惑うキャシーだったが、偶然にも出会った3人の少女たちが、黒いマスクの男に殺される悪夢のようなビジョンを見てしまう。それが未来に起きる出来事だと確信したキャシーは、少女たちを助けることを決意。未来が見えるという不思議な力を使い何度も危機を回避するが、謎の男はどこまでも追ってくる…。男の目的は一体?なぜ執拗に少女たちを追うのか?やがて明らかになる、少女たちの“使命”とキャシーの能力の秘密。少女たちを守る先に、彼女が救うことになる“未来”の正体とは――?

キャシー・ウェブ
マダム・ウェブ
(日本語吹替版:大島優子)

映画『マダム・ウェブ』

映画『マダム・ウェブ』× 大島優子

作品の序盤からスピーディーにどんどんと進んでいく展開の本作。観ていて先が読めなかったですし、キャシーの予知能力が開花しはじめたあたりからは、「このビジョンは過去なの?未来なの?」と没入できるシーンの連続で、ずっとドキドキしながら観ていました。私自身、時間軸が変わって謎が解かれていくジャンルが大好きなので、映画が終わったあと「あっという間だった…」と、思ったのを覚えています。

キャシー・ウェブ(マダム・ウェブ)× 大島優子

キャシーはなかなか人に心を開かないタイプで、最初は3人の少女を守ることに気のりできず、責任感もそこまで感じていないんです。けれど、だんだんと「私がこの子たちを守っていかないといけないんだ」という気持ちが芽生えはじめ、母性のようなものが生まれていく。キャシーのそういった、徐々にいろんなものを感じ取って、吸収して、咀嚼して、積み上げる過程でスイッチが入る部分は私と似ていると感じました。

大島優子

マーベルファンである大島さん、
キャシーの吹替が決まったときの
率直な感想を教えてください。

とても嬉しかったです!マダム・ウェブはコミックでは登場しているものの、実写ではどういった人物かが明かされてこなかったキャラクターなので、この作品が彼女の『誕生の物語』になるのだと思うと、プレッシャーはありつつもチームに参加できたことをとても光栄に感じています。

大島さんが思う
“マーベル作品の魅力”は何ですか?

いちばんは“観た人もなぜか強くなった気分になれるところ”ですかね。観終わったあとに、「自分もスーパーパワーを授かったんじゃないか」と思えるといいますか(笑)。そんなふうに、作品を通して奮い立たせてもらえるところが好きなんです。今回の『マダム・ウェブ』は、マーベル初の本格ミステリーサスペンス作品なので、フィジカル的な強さを感じるというよりは、頭脳的に賢くなった気持ちになれると思います。

たしかに、
自分もどこかで
才能が開花しそうな気分になれますよね(笑)。
ちなみに大島さんがキャシーのような
未来予知能力を授かったらどう使いますか?

まずは困惑すると思います(笑)。だって、キャシーのように明確に未来が見えたら「なんのこっちゃ!」じゃないですか(笑)。もし、その才能を使って果たさなければならない使命があれば使いこなせるようになるかもしれないけれど、そんな気はしないしな…(笑)。未来が見えたうえで「未来を変えるために現在の行動を変える」といった判断ができるキャシーは、やっぱりヒーローとして選ばれるだけの素質があるのだと思います。

大島優子

大島さんの好きな“ヒーロー像”を教えてください。

私がマーベル作品のなかで特に好きなのは『アイアンマン』。人間として欠落している部分がありつつも、ヒーローとして使命を果たしているところが心に刺さるんです。不器用で、愛情に飢えている一方で、すごく高い能力をもっていてマシンも作れちゃう、みたいな。

ギャップにこそ輝きが潜んでますよね。
実写の吹替は初経験とのことですが、
演じるうえで意識したことはありましたか?

シーンごとの感情や、対する人について「この人はどういう人で、キャシーとはどんな距離感なんだろう」ということを考えて、声のトーンに変化をつけるよう意識していました。〈声〉は、キャシーの周りの状況や騒音、映画につけられる効果音によっていちばん変わる部分だと思ったので、私自身もその場でお芝居をしているかのような感覚で、ダコタ・ジョンソンさんの演技に寄せながらアフレコをさせていただいて。自分の色を出す、というよりは、ダコタさんに“なじませる”といった意識で演じていましたね。

吹替を通して発見した
ダコタさんの特徴は何かありましたか?

息遣いが多い俳優さんだと思いました。彼女が出演していた『フィフティ・シェイズ・フリード』を観たときにも感じたのですが、息遣いのお芝居が本当に上手なんです。緊張していたり、落ち込んでいたり、リラックスしたりしているときの息の表現がとても勉強になりました。「私がこのお芝居をするとしたら、どうするんだろう」と考えながら、ダコタさんのお芝居を拝見するのも楽しかったです。

大島優子

なかなか注目しないポイントなので、
とても興味深いです。
全編、どのくらいの期間で録り終えたのでしょうか?

今回は全部で約5日間のスケジュールを費やしました。1日目は分からない部分が多く、「これでいいのかな?」と思う場面もあったのですが、2日目に入ったときに、演出の方が「おさまったね、ココだね」と言ってくださり、私自身も「そっか、ココか!」と感じることができて。いくらマーベルが好きでマーベルの世界観を知っていても、現実的じゃないことばかりが起こる世界の話なので、キャシーの状況を取り込むことが難しかったのを覚えています。

5日間…!

最初のほうは他の出演者の方の声がそこまで入っていない状態でのアフレコだったので、状況や他の方のテンション感を掴むことができない難しさがあったのですが、日が経つにつれてどんどん他のキャラクターの声が入ってきて。作品が完成していく姿を感じながら作業できるのが面白かったですし、おのずとテンションも上がっていきました。だからこそ「もっと長くやりたい!」といった気持ちにもなってきて…欲を言うならばあと一ヶ月は録りたかったです(笑)。

キャシー・ウェブからマダム・ウェブへと
徐々に変わってゆくキャシー。
彼女自身の変化はどのように意識されましたか?

“愛情の足し方”を意識していました。物語序盤のキャシーは3人の少女に対して、特に愛情をもっているわけではないのですが、絆が深まっていくうちに「守らなきゃ!」といった気持ちがどんどん大きくなってくるんです。その気持ちの大きさや〈愛情〉って、きっとセリフに含まれるはずだと思って。特に強く意識していたわけではないけれど、そういったストーリーに声をあてているうちに、自然と〈愛情〉がプラスされていった気がします。

映画『マダム・ウェブ』

少女たちもキャシーに心を許してから、
どんどんチャーミングさが出てきますよね。
3人の少女は大島さんの目にどう映りましたか?

最初に思ったのは、みんな「寂しそう」ということ。〈愛情〉だけでなく、何かを求めて日々生きているといいますか。そんな3人と1人が自然と集まってゆく、でも実は運命の意図で結ばれている4人だった…そういった“集結する力”、“引き寄せる力”が引き起こされたのは、きっとキャシーにも彼女たち同様足りていないものがあったから。物語が進むにつれて、キャシー自身も3人のおかげでどんどん変わっていくので、「このシーンは学校の先輩みたい」「ここは同じ歳の子みたい」「ここはお母さんみたい」と、4人の関係性の変化を感じながら演じることができました。この映画は闘いの物語であると同時に、4人の愛情物語であり、成長物語でもあると思います。

Dear LANDOER読者
映画『マダム・ウェブ』
From 大島優子

マーベル初の本格ミステリーサスペンス作品である本作。登場人物一人ひとりのセリフや会話を伏線に謎が解き明かされていく作品になっています。字幕版を観ていただきたいのはもちろん、吹替を担当している身としては、字幕版では追いつけない部分を、吹替版でしっかりと理解して謎を解きながら楽しんでいただけたら嬉しいです。

大島優子

大島優子

おおしま ゆうこ

10月17日生まれ。
誠実に向き合う“優しさ”と、
透き通った“可憐さ”が多面的なときめきを与えるDOER

映画『マダム・ウェブ』
2024年2月23日(祝・金)IMAX®ほか全国の映画館で公開
監督:S・J・クラークソン (「Marvel/ジェシカ・ジョーンズ」、「コラテラル 真実の行方」)
出演:ダコタ・ジョンソン(『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』シリーズ)、シドニー・スウィーニー(「ユーフォリア/EUPHORIA」)、イザベラ・メルセド(『トランスフォーマー/最後の騎士王』)、セレステ・オコナー(『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』)、タハール・ラヒム(『モーリタニアン 黒塗りの記録』『ナポレオン』)、エマ・ロバーツ(「アメリカン・ホラー・ストーリー」シリーズ)、アダム・スコット(「セヴェランス」)

映画『マダム・ウェブ』
© & ™ 2024 MARVEL

Staff Credit
カメラマン:作永祐範
ヘアメイク:松野仁美
スタイリスト:有本祐輔(7回の裏)
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:古里さおり