映画『バジーノイズ』
才能の化学反応が
無自覚の〈好き〉を呼び覚ます
感覚を研磨する、新しい音楽群像劇
鳴らしたい音楽と、鳴らさなければならない音楽、好きなモノに「やらなければならない」が加わった瞬間、〈好き〉が〝好きだったはずのモノ〟へと変化してゆくことがある。どうすれば自分のカタチで、ずっと〈好き〉を守れるのだろう。そんなことを考えながら、大人たちは〝好きだったモノ〟を今日もこなしてゆく。けれど、心の奥底に染み込んだ想いは、今でもずっと小さくきらめきを放っている。たった一音で良い。本当の〈好き〉を刺激する、清く澄んだバジーノイズがあなたの耳にも届きますように――
映画『バジーノイズ』
大人気ドラマ「silent」「チェリまほ」の風間太樹監督が
行き先の見えない若者たちの〈出会い〉と、
未来を見つける姿を描く圧倒的共感ストーリー
2022年、心に傷を抱えた若者たちの想いを、大切なものに触れるように優しく描き、社会現象を巻き起こした爆発的人気ドラマ「silent」の監督、風間太樹。2020年に放送されたドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」も、日本にとどまらずアジアを始め各国に配信されSNSを席巻する大反響となった。その後も『チェリまほ THE MOVIE』のタイトルで映画化され、熱狂的なファンを獲得している。今や次世代監督の中でも、圧倒的共感度で観る者ひとりひとりの存在を肯定する映像作家として、唯一無二の輝きを放っている。さらに撮影・照明・録音スタッフなど「silent」スタッフが再集結。そんな風間監督の世界中が心待ちにする最新作が完成した。原作はビックコミックスピリッツにて2020年まで連載された、むつき潤氏の「バジーノイズ」。現代の音楽界のリアルが詰まっていると、King Gnuの井口理氏を始めとする一流ミュージシャンたちから絶賛コメントが寄せられた青春コミック。作者のむつき氏は、YOASOBI「三原色」スペシャルムービーのコンセプトアートを担当するなど、エッジーなメディアミックスでもエンターテインメントを盛り上げている。
-あらすじ-
何もいらない。
頭の中に流れる音を、形にできればそれでいい。
そう思っていた清澄は、好きなこともやりたいこともなく、他人の「いいね」だけを追いかけてきた潮に出会う。「寂しくって、あったかい」清澄の音楽に初めて心を震わせた潮は、たくさんの人にそれを届けたいと、SNSでバズらせる。潮に導かれバンドを組んだ清澄が、仲間と音を創り出す喜びに目覚めた時、突然、潮が姿を消す。心に開いた空洞に、どう対処していいか分からない清澄を、音楽はさらに新たな道へと導こうとしていた──。
映画『バジーノイズ』
大浜陸×栁俊太郎
陸は清澄と一緒に音楽活動をするようになるまで、所属していたバンド『マザーズデイ』の一番後輩のメンバーとして、バンドの方向性に合わせながら、自分の好きな音楽とバンドの音楽との狭間でもがいていた青年。それが、清澄の才能と再会してともに活動をしていくうちに、“アーティスト”から“プロデューサー”へと立ち位置が変化しはじめるんです。実際に現場で芝居をしたときに、陸のプロデューサー気質を準備段階よりも強く感じ「こういうのも好きな人なんだな」と、思いながら演じていました。
清澄と一緒になることで、
清澄の才能とともに、
陸のプロデューサーとしての才能も
開花していきましたよね。
もともと陸は『マザーズデイ』を組む前に清澄と一緒に音楽活動をしていたことがあるのですが、その後、『マザーズデイ』での音楽活動を経験して「やっぱり清澄しかいない」と思うんですよね。清澄と再会して、自分が惚れ込んだ才能と好きな音楽ができることが楽しくて仕方なかったんだと思います。
今回は
ほぼ順撮りで撮影が進められたと伺ったのですが、
そういった陸の変化をどのように意識して、
表現に落とし込まれていましたか?
清澄は伝えたいことを言葉にできない不器用な青年なので、陸とのコミュニケーションも〈音楽〉を通じて分かり合う、といった芝居が多かったんです。会話ができない分、“目を合わせて互いに伝え合う関係”を意識するようにしていました。ほぼ順撮りだったことで、素直な気持ちを芝居に表すことができたかな、と思います。
確かに、清澄と陸に関しては
会話で、というよりも
〈音楽〉を通した関係性の変化が見てとれました。
ドラマ『ギヴン』振りの
演奏シーンはいかがでしたか?
『ギヴン』(2021)のときは撮影日が10日間くらいしかなく、曲数もそこまで多くなかったので手振りで芝居できたのですが、今回はベースの演奏シーンがガッツリとあったことに加え、「陸がベースを弾けないとなると、映画自体を壊してしまいかねない」といったプレッシャーも感じていて。清澄をプロデュースするにしても「陸のベーシストとしての腕は確か」という説得力が絶対に必要だと思い、撮影前にしっかりと練習をして本番に臨みました。
演奏シーンも含め、陸について
撮影前に風間太樹監督と
お話されたことはありますか?
今回は楽器の練習やスチールの撮影などで、クランクイン前から監督とお会いする機会が多く、その度に陸のイメージをお聞きしていました。原作モノの作品だと「ここはどうすればいいのかな?」や「ここの言い方、言いづらいな」と思う部分が出てくることがあるのですが、『バジーノイズ』に関しては、陸のセリフ回しや「ここはどうなんだろう?」と思うようなことがまったくなくて。風間監督に「普段から僕が話している言葉がそのまま陸の言葉になっているようで、すごくしっくりきているんです」とお伝えしたら、「栁くんをイメージして書いた」と教えてくださったんです。どうやら僕の作品を前もって観て、「この言葉が合うだろうな」と、イメージをしながら書いてくださったようで。とても嬉しかったですし、すごく助けられました。
それはすごく嬉しいですね。
風間監督は一つひとつのシーンに
軽やかに意味を持たせつつ、
丁寧に物語を紡がれるイメージがあります。
現場で感じた、監督のこだわりなどはありましたか?
今回の物語のように「言葉ではなく、〈音楽〉を通じて分かり合う」というような、“言語化できないもの”を演出するのってすごく難しいことだと思うんです。現場での指示も抽象的になってしまうでしょうし。でも、風間監督は丁寧にひとつずつ「例えばこれがこうだから…」と、とても細かく緻密に演出してくださって。決して大きな修正や演出ではなく「もうちょっと」と、ミリ単位の調整を行いながら撮影を進めていくところに監督のこだわりを感じました。難しかったけれど、とても面白かったです。
陸自身、
喜怒哀楽が感情的に出るタイプではないからこそ、
ミリ単位の調整で見え方が大きく変わりそうですね。
そうですね。陸は割と繊細な描写が多く、感情の動きがあったとしても、画ではその感情を出さずにただ黙っているように見せなければならなかったので、目線の動きを少しずつ調整する、というような緻密なやりとりの連続でした。
Dear LANDOER読者
映画『バジーノイズ』
From 栁俊太郎
完成した作品のあまりの素晴らしさに、試写が終わって外に出た瞬間、マネージャーさんに「めっちゃ空綺麗じゃない?」と、かなり青いことを言ってしまいました(笑)。とても繊細なものを観たことで、僕自身の感覚も繊細になり、風の気持ちよさと空の綺麗さをひしひしと感じたのだと思います。是非、皆さんにもその気持ちよさを体験していただきたいですし、音、景色、色などがとても美しく彩られている映画なので、映画館の大きなスクリーンで観ていただけたら嬉しいです。音響の素晴らしさや、キャストが演奏しているライブシーンも楽しんでください。
映画『バジーノイズ』
5月3日(金・祝)公開
出演:川西拓実(JO1) 桜田ひより
井之脇海 栁俊太郎
円井わん 奥野瑛太 天野はな 駒井 蓮
櫻井海音 馬場園梓 / 佐津川愛美 テイ龍進
監督:風間太樹
原作:むつき潤「バジーノイズ」(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
music concept design:Yaffle
主題歌:「surge」清澄 by Takumi kawanishi(JO1)
©LAPONE Entertainment
配給:ギャガ
Staff Credit
カメラマン:興梠麻穂
ヘアメイク:速水昭仁
スタイリスト:伊藤省吾
インタビュー・記事:満斗りょう
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