超踊る喜劇『HELLO ROOMIES!!!』、
そしてテーマ曲
『TRASH TALK feat. Novel Core』では
“ゴミ”がテーマになっていますが、
なぜこのテーマに?
shoji:今回の舞台のテーマソングである『TRASH TALK feat. Novel Core』は“心のゴミ”をテーマにしている曲でして、それに沿うような舞台の内容を作りたかったこともあり、最初から大きなテーマとして“ゴミ”というのが決まっていたんです。で、ダンスを作っていく中で「ゴミ目線で作っていったら面白いんじゃないか」という話になり、今回はゴミ目線の作品になりました。
kazuki:“心のゴミ”って誰にでも当たり前にあるものなんですけど、ゴミを意識すると「私だけだ」とか「どうして自分だけがこんなに辛いんだろうか」とか、スッキリしない考えになることが多いと思うんです。でも、みんなで話している時に「それこそが人間だし、人生だよね」という話になって。確かに、人生の中で何も考えずにいられるスッキリする時間があったとしても、どこかで昔の思い出や嫌だったことなどの“心のゴミ”が残っているじゃないですか。そんな風に思い詰めてしまっている人たちに、コメディを通して「自分だけじゃないんだ、みんなもそうなんだ」と思ってもらえるキッカケに、この舞台がなってくれたらいいな、と思います。
shoji:みんながこの舞台を観終わった後に「自分の心のゴミも、こんな個性的なゴミたちなのかもな」と、楽しくなって受け入れることができるようになったら嬉しいですね。
Oguri:ゴミがあるからこそ頑張れる瞬間ってあるし、ゴミがあるからこそ誰かに優しくなれることもきっとあるし。みんなが持っている“心のゴミ”は、必ずしも嫌な面ばかりではないことを伝えられたらいいな、と思います。
超踊る喜劇と謳われている
『HELLO ROOMIES!!!』ですが、
超踊る喜劇とは…?
Oguri:“超踊る喜劇”は、大前提として皆さんが思っている「たくさん踊るんだろうな」を超えるくらい踊っています。きっと「まだいく!?」と思われるほど(笑)。ダンスという、言葉だけでは表すことができない表現で「ダンスをしているんだけれどお芝居にも見えるし、お芝居しているんだけれど、ダンスにも見える」、そんな表現を作っているところです。
kazuki:『HELLO ROOMIES!!!』は、どこまでがダンス作品で、どこまでがアクティングなのかの境目をなくすことを目指している作品で、そういった意味でも“超踊る”を追求している作品になっています。ダンスパフォーマンス中の歩き方一つにも意味があって、それすらもパフォーマンスになっているような。きっと観てくださる方によっては「頭から最後までずっと踊っていたな」と思われるんじゃないかな(笑)。そして、それこそがs**tkingzの舞台だと思います。
shoji:僕たちの舞台ってセリフがないので「ストーリーを伝えつつ踊るんです」と言っても、皆さん最初は戸惑われることが多いんです。ただ、一つ言えることは「是非、一度観てください」ということ。例えば、チャップリンやMr.ビーンの作品ってセリフがなくても伝わるし、話によってはジーンと来ちゃう回もあるじゃないですか。そういった、言葉がないからこその“観て読み取る楽しさ”や、受け取り方の幅広さが僕らの舞台の特徴だと思っていて。そしてそれによって、“観終わった後の会話が楽しめる”という経験ができると思うので、是非、一度観て体験して欲しいです。今作の『HELLO ROOMIES!!!』はコメディなので、気楽に観に来てください。
精力的にダンスに触れる機会を
作ってくださっている皆さんが、
“未来のダンサー”に伝えたいことはありますか?
Oguri:僕がいつも言っているのは「視野を広く持って欲しい」ということ。やっぱり若い時って尖っているし、「誰にも負けない」って想いが強いからこそ、自分のやっているダンスにフォーカスが当たり過ぎて周りが見えなくなってしまうことがあると思うんです。実際に僕もダンスを始めたばかりの頃は、「ロックダンスしかない」とか「ジャズダンス絶対にしない」という考え方になってしまっていた時がありましたし。ただ、視野を広げた時に「カッコいいものがこんなにあるんだ!」と知って、自分の表現方法や、ダンスそのものが分厚くなっていくのを感じたんです。若い頃からそのこと気づいて、視野を広げてやっていくほうが大人になった時に絶対に糧になっていると思うので、常に視野を広く持って欲しいと思います。そしてジャンルを超えた素晴らしいダンサーがたくさん生まれて欲しいと思いますし、垣根のない交流によってダンス界がさらに盛り上がって欲しいですね。
shoji:上の世代のダンサーさんが「そんなのは○○ダンスじゃない!」みたいなことを言う時があって、それによって委縮してしまう子たちが結構いるんです。だけど、そういった上の世代より後に残るのは若い子たちなので、僕は上の世代のために自分たちの価値観を変える必要はないと思うんですよね。ただ、大人たちが持っている知識や経験は必ずタメになるので、そこは全吸収して欲しい。その上で「未来の自分がどうありたいか」、「自分はどんなダンスがしたいのか」を考えて目指し続けて欲しいですね。例えその在り方を否定されたとしても、信じてやり続けるほうが大切。自分の未来のためになると思うことを重要視して欲しいと思います。
kazuki:僕自身が感じたことでもあるのですが、ダンサーって個人事業主のような職業だと思うんです。ただ、企業の営業の方のように「私こういうのやれるんです」と、自分からアピールしていくマインドがない人が多い気がしていて。今の時代はSNSなどで自分の作品やプレゼン資料をどんどん出していける時代だからこそ、そういったものでアピールしていかないと、誰も見つけてはくれない。踊れる人がごまんといる世界で、ダンサーとして頑張っていきたいと思うのであれば、自分のダンスをどんどんクリエイティブして世の中に出してアピールして欲しいと思います。厳しい言葉になってしまうかもしれないけれど、そうしていかないと自分が立ちたいと思うステージには立てないし、理想の形にもなれないということを伝えたいです。
NOPPO:今、TikTokなどを通して、世の中のダンスの敷居が自然と低くなっていると思うんです。ただ、窓口はたくさんあるにも関わらず出口は少ないのがダンス界の現状。今年で15周年を迎える僕たちもいろいろと試行錯誤しているけれど、それでもやっぱり難しい世界だということをきちんと伝えたいと思います。そんな難しい世界の中でも「頑張っていきたい」と思う人たちが出てくると、僕たちの刺激にもなりますし、ダンス界のさらなる輝きにも繋がると思う。ただやりたいことだけではなく、他のこともやらないといけないんだな、と強く感じさせてくれるとも思いますしね。ダンスって大変な世界ではあるけれど、それ以上にカッコいいし楽しいものだとも思うので、ダンス自体が流行で終わらないでいて欲しい。そういった気持ちで、僕たちは何十年もダンスをやってきたので、若い皆さんには、ダンサーになる上では楽しいだけでなく努力や覚悟も必要だと伝えたいです。
s**t kingz(シットキングス)
指先、視線、身体の動き、
そのすべてから〈言葉〉を発し、
時に大胆に、時に繊細に、
物語を“魅せて”ゆく4人のDOER
shoji・kazuki・NOPPO・Oguriの4人で構成される世界が注目するダンスパフォーマンスグループ。4人が出場したアメリカ最大のダンスコンテスト「BODY ROCK」では、2010年、2011年と連続優勝。世界各国からオファーが殺到し、これまで20カ国以上を訪問。三浦大知、BLACK PINK、Snow Manなど国内外アーティストの振付を約350曲以上手がけており、常に日本のエンターテインメントシーンの最先端で活躍しつづけている。
Staff Credit
カメラマン:田中丸善治
ヘアメイク:Noritake
スタイリスト:岡本健太郎
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:吉田彩華
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