【吉高由里子×蓬莱竜太】
4つの
DOER’s Questions
LANDOERのDOERには〈実行者〉という意味があります。日常に溢れる幸せの音、自分自身の心の声に耳をすませて、仕事と生活を丁寧に紡いでゆくお二人は、まさに〈実行者〉。そんなDOERであるお二人に、LANDOER恒例の4つのマストクエスチョンをお伺いしてまいりました。

いま、闘っているもの
吉高由里子(以下、吉高):蓬莱さんがいま闘っているものは、“締め切り”です(笑)。
蓬莱竜太(以下、蓬莱):その通りです。いまとは言わず、常に“締め切り”と闘っています(笑)。執筆中は毎回「この作品が終わったら、次のモチベーションがなくなるかもしれない」「もう一生アイデアが出てこないかもしれない」と思うことが多く、本当にしんどいです。締め切り含め、それらの恐怖とも常に闘っています。
吉高:演劇って、作品によっては“本があって舞台を走らせる”のではなく、“舞台を走らせながら本を書く”場合もあるようなんです。先がわからないのに、稽古も本番もどんどん迫ってくる。そんな状況のなかで台本を書くって、本当に大変ですよね。
蓬莱:しかも、お話をいただくのは何年も先の公演のことが多いですしね。だからこそ、「誰とどういう作品をやるか」というのがとても大事なんです。作家にとって“役者に書かされる”というのは、すごく幸運で、幸せなこと。役者さんは起爆剤であり、僕らのガソリンでもあるんですよ。今回は初めて吉高さんとご一緒するので、これからきっと触発されて、自分のなかで初めて生まれるようなキャラクターが書けるのではないかと思っています。

お互いに見つけた風変わりな一面
吉高:一番「何それ」と言われたのは、“鍋の豆腐の食べ方”です。私、周りが熱くて中はまだ少し冷たい状態の豆腐が好きなんですよ。
蓬莱:一瞬だけくぐらす、みたいな?
吉高:そうです。三十秒くらい鍋にくぐらせて食べると、熱い豆腐と冷たい豆腐、二つの味が楽しめるんです。きっかけは、鍋から豆腐をとるのが早すぎたという失敗。そのとき「熱っ!…ん?冷たい?え?」と、口の中がパニックになって(笑)。でもそこで奇跡が起きて、豆腐のおいしい食べ方を見つけてしまいました。


幸せを感じる時
蓬莱:“日々”に幸せを感じています。朝、目が覚めて今日も生きられる——そんなことでも、この歳になるとけっこう幸せだったりするんです。
吉高:本当にそうですよね。幸せの沸点を低く言うのであれば、私は“アラームをかけないで寝たとき”や、“詰め替えシャンプーがぴったりで気持ちよかったとき”に幸せを感じます。
蓬莱:そういった“幸せを感じる能力”って、すごく大事ですよね。この仕事って本当に得体が知れないもので、何かを成したらゴールというわけでも、作品に点数がつくわけでもないので、仕事で幸せを測ることが難しいんです。すべての人に「おもしろい」と思っていただけるわけでもないですし。だからこそ、身の回りにある小さな幸せを大事にしようと意識しています。僕にとっては、何も考えずにいられる日がすごく幸せなんです。

実現したい実現したい目標・夢
吉高:“地上からオーロラが見たい”です。飛行機の中からは二度見たことがあるのですが、地上からは一度もなくて。オーロラって、風に揺れるものとはまた違う、独特の“ぐにゃん”とした揺れ方をするんですよ。どちらのときも真横から見たので、下から見たらどんなふうに見えるのか、とても気になっています。
LANDOER:知っているはずの景色を見たことのない角度から見ると、新鮮な高鳴りを感じそうですね。
吉高:そうなんです。だから、地上から見てみたくて。哀しいかな、大人になるにつれて、心が高鳴る瞬間って減っていくじゃないですか。初めて行った海外がニューヨークだったのですが、そのときはどこを見ても胸が高鳴っていたのに、今年行ってみたら「あれ?」と思うほど、自分の心の感度が変わりすぎていて。嬉しいより、悲しい気づきのほうが多い旅になってしまいました。だからこそ、この鈍って手垢のついた心が、まだ何もついていなかった頃の心に戻れるような風景や出来事に、もう一度出会いたいなと思っています。




パルコ・プロデュース2025『シャイニングな女たち』
東京公演:PARCO劇場
2025年12月7日(日)~28日(日)
大阪公演:森ノ宮ピロティホール
2026年1月9日(金)~13日(火)
ほか、福岡、長野、愛知を巡回。詳細はHPにて。
作・演出:蓬莱竜太
出演:吉高由里子 さとうほなみ
桜井日奈子 小野寺ゆずる
羽瀬川なぎ 李そじん 名村辰 山口紗弥加
Staff Credit
カメラマン:興梠真穂
ヘアメイク:中野明海
スタイリスト: 申谷弘美
インタビュー・記事:満斗りょう
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