【梅田修一朗×関根明良×内田雄馬】『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』〈好き〉であふれた現場で生まれた「晴れ間さす物語」信頼の〝ぱいのこチーム〟スペシャル鼎談

『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』

『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』
〈好き〉であふれた現場で生まれた
「晴れ間さす物語」
信頼の〝ぱいのこチーム〟スペシャル鼎談

世界は数多の〈好き〉であふれている。ありとあらゆることが時間とともに薄れていっても、〈好き〉という気持ちだけは、胸の奥で光り続けるもの。伝えるべき相手がいる「好き」、もう二度と伝えられないかもしれない「好き」、そして誰にも伝えられない気がする「好き」。どんな〈好き〉であれ、私の生きる世界を変えてくれたことに変わりはない。たとえそれがほんの数ミリだったとしても、ときめいた胸の高鳴りはきっと一生忘れない。綺麗事ばかりじゃ生きられなくても、世間の常識だけじゃ乗り越えられなくても、私たちは大丈夫。好きな人たちと一緒なら、好きなものと一緒なら、あめのち晴れを待っていられる――

映画
『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』

『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』

-Introduction-

「第5 回アニメ化してほしいマンガランキング」1 位受賞。「LINE マンガ」にて2 億2000 万ビュー(2024 年11 月時点国内累計閲覧数)を突破した話題作が、ついにアニメ映画化!  男の子だけど可愛いものが大好きで、女の子の姿で高校生活を送る“男の娘”・花岡まこと。 そんなまことに恋をする、元気いっぱいの後輩・咲。そしてまことを近くで見守り続けてきた、幼馴染の竜二。2024 年にテレビアニメが放送され、まことを巡る繊細な青春模様が話題を呼んだ本作。その続編となる今作では、その後の3 人を映し出す。  恋と友情と家族の物語が、スクリーンで完結する——。

-Story-

まことと咲と竜二、3 人が出会ってからもうすぐ一年。それぞれが悩みに向き合い少しずつ変化する中、学校は春休みを迎える。まことが咲を意識し始める一方で、咲は父・裕司に会いにハワイを訪れる。親子水入らずの時間を過ごし、ハワイを満喫する咲。そんな中ふいに、裕司に「こっちで一緒に住むか?」と聞かれて…。父を選ぶか、母を選ぶのか。自分を「特別」に思っている人は誰なのか。「特別」とは何なのか。咲が思いを巡らせる一方で、三年生になったまことや竜二もまた、進路に向けた選択をしていく。3 人が決める答えとは――。

花岡 まこと
CV.梅田修一朗
×
蒼井 咲
CV.関根明良
×
大我 竜二
CV.内田雄馬

映画で感じたキャラクターの成長

01,花岡まこと×CV.梅田修一朗

LANDOER:テレビアニメから映画にかけて学年が変わり、キャラクターにも成長が見られたように思います。ご自身が演じられたキャラクターに、変化を感じた部分はありましたか?

梅田修一朗(以下、梅田):僕としては、映画になってガラッと変化したというよりは、まことがテレビアニメの中で竜二や蒼井さん、そして自分自身と向き合いながら徐々に変わっていった、その地続きに映画の彼がいる感覚があって。テレビアニメから少し時間が経ち、久しぶりに『ぱいのこ』を観てくださる方には、まことが以前よりちょっと頼もしく見えるかもしれないけれど、まだまだ「進路が決まっていない」などの等身大な悩みを抱えながら、揺れ動いている真っ只中です。

LANDOER:個人的には、映画のまことは以前よりたくましく感じました。

梅田:そうですね。僕がまことの成長を感じたシーンは、まことがお母さんの背中にとある言葉をかけるところ。お母さんとの関係に変化が現れていることが分かる、印象に残っているシーンです。

02,蒼井咲×CV.関根明良

LANDOER:関根さんが演じられた咲はいかがでしょうか?

関根明良(以下、関根):テレビアニメでは、最初は明るく好きな人へ真っすぐ飛んでいくような女の子の印象があった咲ちゃんが、物語の中で「特別」や「家族」に対して悩みを抱えていることが明らかになり、悩みを前に立ち止まってしまった彼女に対して、師匠(竜二)と先輩(まこと)が手を差し伸べてくれたことで、前を向くことができた——というところまでが描かれていました。ただ、前を向くことはできても問題自体が解決したわけではなく…。今作の映画では、自分だけでは解決できない壁に当たってしまう咲ちゃんですが、仲間とのふれあい家族とのふれあいを通してどんどんたくさんのものに気づいていきます。台本を読んでいて、仲間や家族、友達など、周囲のみんなとの様々な〈特別〉が咲ちゃんの中に広がっていくのを感じて、咲ちゃんは「幸せの青い鳥」を見つけることができたんだな、と嬉しくなりました。

LANDOER:咲自身は〈特別〉を探し求めて悩むけれど、彼女の周りには〈特別〉な友達や仲間がいるんですよね。友達2人が、咲の背中を押してくれるシーンがとても印象に残っています。

関根:あのシーン、いいですよね。私も「彼女の周りには本当に優しい人がいっぱいいるな」と思いましたし、咲ちゃんがそれに改めて気づくことができて、本当によかったと思いました。

LANDOER:人を信じたく、そして頼りたくなる作品ですよね。

『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』

03,大我竜二×CV.内田雄馬

梅田:竜二は頼られる側のキャラクターでもあるけど、どこが成長したと思う?

内田雄馬(以下、内田):竜二は、まわりの目を敏感に感じながら“上手な”行動が分かってしまう人なんです。それゆえに、まことを好きになってしまった自分に対して「良くないことだ」と否定をしてしまったりもして。しかし、竜二にとって「まことを好きである」ということは、彼のアイデンティティに関わる大事なこと。テレビアニメではそんな自分自身と向き合い、まことの優しさに傷ついたり、まことを傷つけたかもしれないと悩んだりしながら、「自分を否定しなくても、向き合ってくれる人がいる」ということに気づけたように思います。だからこそ映画の竜二は、素直な自分をもったうえで思いやりを届けられるようになっていて。とても良い形で2人のことを見ることができているな、と感じました。

LANDOER:確かに、竜二からはモヤが晴れたような清々しさを感じました。

内田:そうですね。「まことを好きでいる気持ちを消す必要はない」と気づけたことが、竜二にとって大きかったと思います。自分の大事な気持ちとしてピン留めしたまま、咲やまことと向き合えているんじゃないかな、と。

「この3人なら大丈夫」と思える
〈好き〉のぬくもりに溢れた“ぱいのこチーム”

LANDOER:この作品には様々な〈好き〉が出てきます。みなさんが〈好き〉を感じるときを教えてください。

内田:それでいったら、僕は2人のことが「好き」です。

関根:わ〜!同じくです!嬉しいです(照)!

梅田:ありがとうございます!僕も好きです(照)!

内田:なんかドギマギしちゃうな(照)。

梅田:雄馬さんは毎回「好き」を伝えてくれるんです。言葉だけでなく、コミュニケーション全般において“あたたかい感情”を大事にされている方なんだな、と思います。現場でも、一緒にいるとぬくもりを感じる“太陽”のような存在でした。

内田:恐縮です(笑)。

関根:それこそ、内田さんは竜二と同じく、何かあったときに頼りたくなる“師匠”のような存在で、アフレコ中も「いてくれるから大丈夫」という安心感がありました。映画の収録にあたって、久しぶりに咲ちゃんに向き合うことに、少し不安や緊張があったのですが、アフレコブースに3人が揃うと、不思議と「あ!大丈夫だ!今日も頑張ろう!」と思えて。

梅田:『ぱいのこ』のイベントのときも、3人が集まると皆が「よし!頑張ろうね!」と、前向きな空気になりますよね。

関根:そうですね!あと、梅田さんと私の2人でのイベントの際には、いつも「今日は内田さんいないの寂しいね」と、必ず内田さんの話題になりますね(笑)

内田:ありがとう!その言葉だけで頑張れます!

梅田:今振り返っても〈好き〉にあふれた現場だったなと思います。

『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』

〈恋〉と〈愛〉の違いって?
千差万別、だからこそ面白い〈好き〉の気持ち

LANDOER:この作品では〈好き〉から派生して、恋や愛といったキーワードについても考えさせられました。

梅田:僕個人としては、まこと達の〈好き〉は、今雄馬さんが言ってくれた「好き」に似ているんじゃないかなと思っています。この人達となら同じ方向を向いて頑張れる頑張りたい、と思わせてくれるような、「大切」「大事」「一緒にいたい」と思う感情。もちろん、好きな人に会った時のドキドキするような感情は本人にしか分からないので、うまく言えないのですが。

内田:〈好き〉を定義づけるのは難しいですよね。まことが竜二に想い描く〈好き〉、竜二が咲に、竜二がまことに、咲がまことに…一言で「好き」といっても、一つとして同じものはありませんから。だからこそ、〈好き〉が千差万別であることを前提に、お互いの〈好き〉の形がどういうものなのかを、コミュニケーションをとって分かり合っていかなければならないのだと思います。

梅田:その〈好き〉を分かり合ってゆくことこそが、〈愛〉になるんでしょうね。

関根:それこそ「もしも」の話ですが、あのクリスマスの日にまことと先輩と咲ちゃんが会わず、師匠とまこと先輩の関係が進んでいたら、まこと先輩の〈好き〉は成長し、〈愛〉が芽生えていたかもしれないですし。この3人って、なんだかどの組み合わせでも、それぞれに特別があるので、いろんな可能性がある気がしていて何をキッカケに変化していくのか分からない、というのも〈好き〉の面白いところじゃないかな、と思います。

梅田:〈愛〉と〈恋〉の違い、難しいですよね。その瞬間しか頭になくなるのが恋で、その人との時間をずっと続けたいと思うのが愛かなとか。でもずっと愛の人もいるし、ずっと恋の人もいるし…。う〜ん、ちょっとこのインタビューじゃおさまらない話かもしれない!

関根:永遠の謎ですね(笑)。

永遠の謎である〈好き〉の定義
ぱいのこチームが出した答えとは?

LANDOER:その永遠の謎に、『先輩はおとこのこ』チームの皆さんは挑まれたのですね!

内田:だからこそ、お芝居は楽しいんです。このような答えのない問いに対して、キャラクターたちや作品が一つの答えを出す。そのためにどうやって表現するのかを考えて、形作っていくのが僕らの作品づくりなので。この作品にも一つの答えが生まれていると思うので、「好きってなんだろう?」と考えたことがある方は、絶対に面白く観ていただけるはずです。

関根:たくさんある答えの中の一つは「特別」じゃないかな、と。〈好き〉は「特別」

梅田:蒼井さんにとってのテーマでもあるし。まさに「特別」ですよね!

キャラクターと互いに影響し合う
大好きな芝居

LANDOER:〈好き〉にちなんで、お互いのお芝居の好きなところを教えてください。

梅田:一番ドキドキする!

関根:「実はやりづらかったです」とか言われたらどうしよう(笑)!

梅田:大丈夫、ここで言うくらいなら最初に言っているはず(笑)!僕は、みなさんのお芝居が大好きすぎて、もはや「ここの演技が良かった」とかの域を超えているんですよ。一人ひとりが、自分の演じるキャラクターの良い部分はもちろん、それぞれが抱えている問題とも向き合って、自分が演じるキャラクターを誰よりも丁寧に汲み取りながら作品に携わるからこそ、より深くて良いものができるのだと実感させていただきました。アフレコをしているときも、休み時間に話しているときも、「2人の人柄がキャラクターに通じているな」と感じる場面がとても多くて。雄馬さんの、深く穏やかにみんなを見てくれているところは『竜二』にすごく浸透していますし、『蒼井さん』の一見活発なようで繊細な部分があったり、注意深く人を見ていたりするところは、関根さんが大事にされているところと通じているように感じていましたし。そして、そんなお2人に僕が影響されるように、まことも影響を受けるキャラクターとの切っても切れない関係を築くことができたのはお2人のおかげだと思います。竜二と蒼井さんがお2人で本当に良かったです。

内田:僕も同じ気持ちです!

関根:おっしゃる通りです!

LANDOER:満場一致ですね!

『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』

梅田修一朗

うめだ しゅういちろう

10月11日生まれ。
高い解像度であらゆる表現に挑みながら、
朗らかな陽だまりで聡明に泳ぐDOER

【D:Duel|いま、闘っているもの】
プライベートでは、“寝なきゃいけない時間にもかかわらず、夜更かししてゲームをしてしまうこと”、仕事では、“新しい環境で自分の出したいものを出し切ること”と闘っています。最近はありがたいことに、新しい環境に出逢う機会がギュッと詰まっているので、毎日が挑戦で。いい意味で〈好き〉と闘っているのかもしれないです。自分の好きなものを守れるのか、どうやったら好きを伝えられるのか、そういった意味では、広く“〈好き〉を表現すること”と闘っていますね。(関根「まさしくまこと先輩のようですね!」)

『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』

関根明良

せきね あきら

12月16日生まれ。
場を照らす明るさと、繊細に物事を注視する表裏が
〈芝居〉に深い色を加えるDOER

【D:Duel|いま、闘っているもの】
私は“期間限定のスイーツ”と闘っています。「最近甘いものを食べすぎている!でも期間限定だから、次に来た時には終わっているかもしれない!」という葛藤と(笑)。(梅田「あ〜わかる〜」)ちなみに勝率は…8割負けですね。(梅田「それはむしろ8割勝ってる!というか、買ってる(笑)!」)

『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』

内田雄馬

うちだ ゆうま

9月21日生まれ。
頼もしく笑い、心強く見守る
その〈雄大さ〉で作品の馬力を健やかに上昇させるDOER

【D:Duel|いま、闘っているもの】
最近朝ランニングをはじめまして、“早起き”と闘っています。元々早起きは苦手ではなかったのですが、だんだん苦手になってきてしまったので「改善したい!」と思い、ランニングをはじめたんです。仕事前にランニングをして、シャワーを浴びてから現場に向かえるよう「8時より前には起きるぞ」とデッドラインを決めていて。毎朝、8時のデッドラインを守れるかという闘いを繰り広げて、だいたい5分くらい負けています(笑)。(LANDOER「でも、5分遅くなってしまった分、急ぐためにランニングを頑張れたり…?」)はい(笑)。もはや「5分遅れているぞ!」と、ムチを叩かなければ動けなくなってきています(笑)。

『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』

『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』
2025 年2 月14 日(金)公開

出演:梅田修一朗 関根明良 内田雄馬
   加隈亜衣 葵あずさ 梶原岳人
   和久野愛佳 早瀬雪未 田中正彦 
   さとうあい 村井雄治 いしかわひとみ
   宮田俊哉
原作:「先輩はおとこのこ」ぽむ(「LINE マンガ」連載)
監督:柳 伸亮 シリーズ構成:冨田頼子
配給:アニプレックス
主題歌:「大人になれない」くじら(Sony Music Lebels)

Staff Credit
インタビュー:満斗りょう
記事:満斗りょう、Suzu
ページデザイン:Mo.et