自分の〈好き〉に耳を澄ませた10年間
カラフルな〝これまで〟を抱きしめて、
ときめく〝これから〟を彩ってゆく||
この世界には、自分の力ではどうにもならない雲行きに覆われる日がある。祈っても働きかけても、依然として雲が動かないそんな日は、ヘッドホンから流れる彼女の歌に身を委ねてみる。暗く見えていた窓の外が味わいを帯びてきて、雲の向こうで待つ美しい陽光に胸が高鳴るのを感じる。心地よい歌声が「見方を変えれば、どんな景色にも〝物語〟が宿る」ことを、そっと教えてくれる。『Let it be』⸺〝人生は、なるようになる〟。ありのままの自分を抱きしめて、とびっきりチャーミングな物語を耳に、ときめく旅路を歩んでゆこう。
『uku』
2026 年2月18日(水)

今年リリースした「Angel」「scent of the time」含む
全13曲予定。
サウンドプロデュースは前作「wood mood」に引き続き、
石若駿が担当
今回のアルバム『uku』には、2025年にリリースされた「Angel」scent of the time」「OK」をはじめ、全13曲が収録される。前作に続き、豊かなサウンドの広がりが印象的な作品に仕上がっているが、今作で特筆すべき点のひとつが、ボーカルでの客演アーティストの参加だ。これまで藤原さくらが他アーティストの楽曲に客演として参加することはあったものの、自身のアルバムに客演アーティストを迎えるのは、デビュー10周年を迎える今作が初めてとなる。構想としては以前からあったが、この節目のタイミングでついに実現した。客演として参加しているのは、プライベートでも親交のある俳優・上白石萌音、そして同じくデビュー10周年を迎えた 安部勇磨(never young beach)の2名。それぞれが異なる個性を持ち寄り、アルバムに新たな彩りを加えている。アルバムの途中に流れる「Interlude」は石若駿作曲。曲から曲への大事な橋渡しを担う。さらに、「Carol」「Blue Blue Blue」の作詞は、ノラ・ジョーンズに提供した「Don’t Know Why」でグラミー賞を受賞したミュージシャン、ジェシー・ハリスが担当。2024年、2025年とライブでの共演を重ね、交流を深める中で実現したタッグとなっている。また、演奏で参加したミュージシャンも含め昨今のさまざまな出会いと積み重ねが、自然なかたちで結実している。この『uku』は、藤原さくらの10年の歩みと現在地を、より立体的に映し出していると言えるだろう。
『藤原さくら10th Anniversary 武道館大音楽会 』
2026 年2月23日(月・祝)

自身初のビルボードライブ大阪、ブルーノート東京でのワンマンライブを終え、中編映画『結局珈琲』で初主演を務めることも発表された藤原さくらが、2026年2月23日(月・祝)にキャリア初となる日本武道館公演「藤原さくら 10th Anniversary 武道館大音楽会」を開催することが決定。昨年12月に30歳を迎えた藤原にとって、本公演は人生の節目となる武道館公演となる。当日は、これまでにリリースしてきた楽曲に加え、ニューアルバム「uku」に収録される曲も披露される予定。過去の楽曲は、今の彼女から創り出される新しい解釈と、武道館ならではのバンドアレンジで届けられ、ここでしか聴くことができない10周年にふさわしい彩り豊かなライブとなることが期待される。これまでの10年を振り返りつつ、これからの未来を祝うような、楽しく特別な夜を体験していただける内容となることでしょう。
デビュー10周年を迎えた
現在のお気持ちを教えてください。
とても長い10年間でした。体感としては25年くらい。俳優業など、音楽以外の活動を通して学ぶことも多く、振り返るとものすごく濃厚な10年だったように思います。ただ、どの活動にも“表現”という意味では近いものを感じていて。演技をやったからこそ書けた曲があったり、違うフィールドの方たちと出会った先で、その方たちが語る哲学に感化されたり、すべてが良い相乗効果を生み出してきてくれました。音楽のフィールドにいるときの藤原さくらは、監督としてアルバムを作っているような感覚があるのですが、ドラマや映画の現場へ行くときは、ギターとしてレコーディングに呼ばれるような感覚があるんです。その作品の1ピースとなって良いものを生み出してゆく、といいますか。あらためて振り返ってみると、すべてが「やってよかったな」と思うことばかりです。
1ピースとして作品に参加するからこそ、
知らない自分に出会えることもありそうですね。
そうなんです。役を演じるとき、自分が演じる役がどういう子なのか、なぜセリフにある言葉を使うのかなど、理解できることもあれば、どうしても腑に落ちないこともあるのですが、「理解できないことをどう表現するか」を考える過程は、カバー曲を歌うときの思考に近い気がします。この世にはいろいろな曲が存在していて、そのすべてが自分と同じ感覚を歌っているわけではない。それと同様に、自分が関わる人間も他人なのだから、分からないことや理解できないことは当然ある。自分とは違う思考を前に、どう寄り添うのかを想像する経験は、実際の対人関係にも生かされていると感じますし、音楽活動においても勉強になることが多いです。

自身のフィールドを飛び越えて、
さまざまな出逢いと学びを重ねてこられた10年間。
音楽との向き合い方に変化はありましたか?
ありました。その年々によって歌う音楽のジャンルが変わったり、いろいろな方とのコラボレーションを通して新しいものが生まれたり。そのたびに一緒に制作するメンバーも変化していき、シンガーソングライターならではの音楽の楽しみ方を実現できた10年間だったように思います。自分がやってみたいことに臆せず挑戦するスタイルで、常に変化を止めずに音楽と向き合ってこれたんじゃないかな、と。
たくさんの音楽を楽しんでこられた藤原さんが、
今回のアルバムを作るうえで意識した
ムードやキーワードはありますか?
活動初期の頃のアルバムは、とにかく作った曲をアレンジしてくれるミュージシャンに渡して、結果「こういうものになりました」という作り方をしていたのですが、前作の『wood mood』や今回のアルバムは、コンセプトを起点にゴールを目指していく作り方を取り入れました。『wood mood』は、“迷い込んだ森の中に光が射して、森から抜け出していく”といったストーリーを掲げてつくったアルバムで、制作時、すごく悩んでいた自分の精神状態をそのまま反映して作ったんです。今回はその続編として、“森を抜けた先で、常夏のあたたかいビーチに辿り着いた”ような、前作から地続きで繋がっている物語を意識してアルバム制作を行いました。自分が気づいたことや伝えたいことと、音楽のジャンルを結びつけて作っているので、面白いアルバムになると思います。

続く新アルバムの物語も楽しみです。
ご自身で過去の楽曲を聴きなおしたときに、
「当時と考え方が変わっているな」と
感じる発見もありますか?
あります。10年前の曲を聴くと「若いな」「当時だから書けた歌詞だな」と思う一方で、今も昔も「その時にしか書けない曲を書けている」と実感することが多いです。自分に起きたこと、芽生えた感情をすべて栄養にして育つ——その表現方法がこの仕事の面白いところだと思っているので、今はその面白みを大切にしながら制作できているように思います。
ご自身の変化とともに、
世間も大きく変化を遂げた10年間だったと思います。
藤原さんの目から見たこの10年は
どんな時代でしたか?
時代の移り変わりが非常に激しい10年だったと思います。私が活動をはじめた当初はサブスクがまだなく、CDをたくさん買っていた時代だったので、リリースの仕方一つとっても、今とはまったく違う形でした。時代が変化していくなかで、視聴者を飽きさせない曲・映像作りが求められる場面が増えたように感じます。今の時代の“バズを計算する曲作り”も、それはそれでいいと思うのですが、私にはその作り方は向いていなかったんです。10年間の活動を通して「これは私に向いていたな」「これはやっていて楽しかったな」と感じるものを見つけてきたからこそ、時代に流されることなく、自分が本当にやりたいことに忠実に、真摯に向き合いながら曲作りができたらいいなと思っています。

自分、そして音楽と真摯に向き合って
こられたからこその
気づきだなと思います。
藤原さんの音楽への
〈好き〉の根源を教えてください。
私が音楽を好きになったキッカケは、10代の頃のワールドミュージックとの出会いでした。日本語でも英語でもない、どこの国の言葉かも分からない歌詞で歌われている楽曲を聴いたとき、感覚的に涙が出てきたんです。そんな体験から音楽を好きになっているので、計算で音楽を作るよりも、自分の体が気持ちいいと思うものを表現するほうが好きで。この先も、私らしい表現を続けていくために、きちんと直感で好き・嫌いを感じられる人でありたいと思っています。無理をせず、自分にとっての“楽しい”や“気持ちいい”を大切に、「この音楽、めっちゃカッコいいじゃん!」と感じたものを表現していきたいです。
自分のときめきに耳を傾けるって、
とても素敵で大切なことですよね。
自分が好きなもの、ときめくものが何なのかを把握して、人生を好きなもので囲んでいくって素敵ですよね。今、いろいろなものに触れて聴いて、「あ、これめっちゃいいじゃん!」と感じた〈ときめき〉を軸に曲作りができているので、その感覚を見逃さず、ビビッときたものを選びながら生きていきたいと思います。

2月に行われる初の武道館公演でも
藤原さんの〈ときめき〉を
感じられそうで楽しみです。
武道館は藤原さんにとってどんな場所ですか?
武道館は、大好きなThe Beatlesが日本で初めてアーティストとして公演を行った場所。もうその時点で胸が熱くなるのですが、個人的には、ポール・マッカトニーやノラ・ジョーンズ、エリック・クラプトン、エド・シーラン、日本のアーティストの方だと事務所の先輩であるBEGINさんなど、さまざまな方のライブを観に行かせていただいた場所でもあって。そんな憧れの場所なので、正直自分が立つ想像をあまりしていなかったんです。今回、10周年の締めくくりとして『武道館』という大きな山に挑戦できることに、やりがいと楽しさを感じています。
『大音楽会』というタイトルにも、
藤原さんらしさを感じました。
今までも、野音(日比谷野外大音楽堂)でのライブなどで『野外音楽会』と銘打ってきたことはあったのですが、今回は何といっても日本武道館。自分のライブの中でも最大キャパの会場になるので、藤原さくらの“これまで”も“これから”も祝福するような、ハッピーな場所にしたいという気持ちを込めて、『大音楽会』というタイトルにしました。バンドメンバーもかなり豊かで大人数になる予定なので、そういった意味でも『大音楽会』がぴったりだな、と。

『大音楽会』を伴走する
バンドメンバーの皆さんについても教えてください。
今ご一緒しているのはジャズの畑の方々なのですが、皆さん本当に自由で、誰かが鳴らした音に呼応する形で、まるで言葉を交わすように音を奏でられるんです。その瞬間、その場の音楽を楽しまれている姿は、これまで自分が「こういうふうにしなきゃ」「歌詞を間違ってはダメだ」などと、いろいろ考えていたことがバカバカしくなるほどに自由で。「私も皆さんのように音楽と向き合いたい」、そう思わせてくれる方々が周りにいてくださるので、日々、とても良い影響を受けています。『大音楽会』も、きっとすごくピースフルな場になるはず。最近作っている新しい曲も、過去にリリースしてきた懐かしの曲たちも、今のメンバーで新たな色をつけて、「これからも楽しみだね!」と、みんなで分かち合える一日にしたいと思います。
Dear LANDOER読者
10周年、そしてこの先に向けて
From 藤原さくら
私の好きな言葉である『Let it be』⸺“なるようになる”という意味をもつ言葉。この先もきっと、自分の力ではどうしようもない出来事は起きてしまう。でも、どんな出来事も自分次第でいかようにも捉えられることを実感できた10年だったので、目の前で起きている事象に感動したり、翻弄されたりしながら、それらすべてを楽しんで音楽を続けていきたいと思います。その先で、「気づいたら、そこにいた」と自分を祝福してあげられたらいいな、と。しんどいこと、悲しいこともまるっと抱きしめて、全部を味わいながらチャーミングなおばあちゃんになるのが目標です。


6th Album 『uku』
2026年2月18日(水)リリース
仕様:CD1枚組/紙ジャケ仕様/ポスター型歌詞カード付き
価格:¥4,180(税抜価格 ¥3,800)
レーベル:Tiny Jungle Records
Staff Credit
カメラマン:YURIE PEPE
ヘアメイク:佐竹静香
スタイリスト:岡本さなみ
インタビュー・記事:満斗りょう
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