心を探り合う緊張感に、目が離せない貴方へ

映画『黒牢城』

心を探り合う緊張感に、
目が離せない貴方へ

映画『黒牢城』
©米澤穂信/KADOKAWA ©2026映画「黒牢城」製作委員会

-Introduction-

 累計発行部数60万部突破!第166回直木賞と第12回山田風太郎賞をW受賞、「このミステリーがすごい!」第1位ほか史上初4大ミステリー大賞を制覇した米澤穂信の傑作ミステリーを映画化。主演に本木雅弘を迎え、菅田将暉、吉高由里子、青木崇高、宮舘涼太、柄本佑、オダギリジョーら映画界を代表する豪華キャストに加え、ユースケ・サンタマリア、吉原光夫、坂東龍汰、荒川良々、渋川清彦、渡辺いっけい ら実力派キャストが集結。メガホンを取るのは、世界三大映画祭の常連であり、『スパイの妻』、『クリーピー 偽りの隣人』など国内外で高い評価を得続ける黒沢清監督。監督にとってキャリア初の時代劇となる本作は、密室と化した“黒牢城”を舞台に、城主・荒木村重(本木雅弘)とその妻・千代保(吉高由里子)、地下牢に囚われた天才軍師・黒田官兵衛(菅田将暉)らを取り巻く、様々な登場人物たちの思惑が飛び交う緊迫の戦国系心理ミステリー超大作──

-Story-

荒木村重(本木雅弘)は暴虐な織田信長のやり方に反発し、籠城作戦を決行する。城は織田軍に囲まれ孤立無援に。生と死に向き合う戦国の世にあって、村重は殺さずの信念を守る武将だった。村重は妻・千代保(吉高由里子)を心の支えに、城と人々を守ろうと苦心する。そんな時、城内である少年が殺される事件が発生。その後も怪事件が次々と起こる。容疑者は、密室と化した城内に居る家臣や身内の誰か。城外は敵軍。城内は裏切り者。誰もが疑心暗鬼になっていく中、村重は牢屋に囚われた危険な天才軍師・黒田官兵衛(菅田将暉)と共に謎の解決に挑む。事件の驚きの真相と、村重がたどり着いた決断とは──

伊藤さとり’s voice
伊藤さとり’s voice

直木賞受賞作として知られる米澤穂信氏の「黒牢城」。映画では、本能寺の変の4年前を舞台にし、織田信長の脅威に怯える荒木村重を本木雅弘、牢屋で村重に知恵を貸す天才軍師・黒田官兵衛に菅田将暉が演じるというだけでゾクゾクした。何故なら人間の不可解な内面を探究し続ける黒沢清監督が時代劇に挑むのに相応しい題材であり、この組み合わせはユニークだからだ。というのも本木雅弘は『日本のいちばん長い日』で昭和天皇を演じ、その声の出し方や立ち振る舞いすべてが強く印象に残る演技で、黒沢清監督にとっても役者として興味深い存在であるだろうし、菅田将暉に関しては『Cloud クラウド』で一度組んでおり、絶大なる信頼があっただろう。ただこの二人が顔を合わせて演技をする姿は想像もつかず楽しみでもあり、実際、二人の地下牢での会話劇は推理モノのような怪しさと緊張感があり、目が離せなかった。気づけば二人のシーンをいつの間にか楽しみにしている自分がいた。

更に現代語ではなく武士言葉を用いたセリフなので、決して分かりやすくはないのだが、お陰で聞き耳を立てるように会話に集中してしまうのだ。しかも城内で謎の事件が起こり始めるのだが、この犯人を探るのに一役買うのが牢屋から出られない官兵衛なのだから、天才探偵とその推理のせいで人間不信へと陥っていく村重の変化を見つめる珍しい時代劇となっている。

そうなると大事なのは、村重に関わる人々のキャスティング。本作では、多くの武士が出入りする城で、目が行く俳優をあえて揃えているように感じるほど、違う雰囲気の俳優がずらりと並んでいる。しかも物語が動く度にそこでスポットを浴びる人物がおり、これだけ大所帯でも誰もに見せ場がある演出なのが、飽きさせない秘訣だと感じた。ちなみにキャスティングに新鮮さを感じたのが、宮舘涼太。これだけの個性的でクセのある俳優が揃っている中で、“貴族”のような雰囲気を持ち合わせているからこそ目が行き、その忠誠心に好感を持てる家臣として映画に焼き付いていた。

映画『黒牢城』
2026年6月19日(金)全国公開
原作:米澤穂信「黒牢城」(角川文庫/KADOKAWA刊)
監督・脚本:黒沢清
音楽:半野喜弘
出演:本木雅弘
   菅田将暉 吉高由里子
   青木崇高 宮舘涼太 柄本佑
   ユースケ・サンタマリア 吉原光夫 坂東龍汰
   近藤芳正 矢柴俊博 木原勝利 河内大和
   吉岡睦雄 上川周作 前田旺志郎 坂東新悟
   荒川良々 渋川清彦
   渡辺いっけい/オダギリジョー
配給:松竹

映画『黒牢城』
©米澤穂信/KADOKAWA ©2026映画「黒牢城」製作委員会