見て、触れて、感じて、
少しずつ成長してきた貴方へ

-Introduction-
神戸生まれの作家、アメリー・ノートンによるベストセラー自伝的小説「チューブな形而上学」を原作とした本作は、1960年代の日本で生まれたベルギー人の女の子アメリの目覚めと成長を豊かな色彩や独創的な視点とともに描いた物語。幼少期の記憶を呼び起こすようなイマジネーション溢れる世界観と、誰もが経験する新たな出会いや喪失についての胸を打つ普遍的なストーリーが同時に描かれている作品として、「テレンス・マリックと宮崎駿が融合したかのような感覚」(The Hollywood Reporter)「引き込まれてしまうかわいらしさと共に、真実が描かれている」(Cineuropa)と、世代を問わず世界中の観客の心を魅了し続けている。2025年のアヌシ一国際アニメーション映画祭で観客賞を見事受賞したほか、ゴールデングローブ賞アニメ映画賞ノミネート、アニー賞長編作品部門7部門のノミネートを果たした。『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』などでレミ・シャイエ監督と協働してきたマイリス・ヴァラード、リアン=チョー・ハンが監督を務めた。
-Story-
1960年代日本一 神戸で生まれたベルギー人の小さな女の子アメリ。彼女の成長を描く物語。外交官の家庭に生まれ、2歳半までは無反応状態だったアメリ。その後、子ども時代に突入した彼女は自らを「神」だと信じ、魔法のような世界を生きている。家政婦のニシオさんや家族との日々の生活は、彼女にとって冒険であり、新たな発見の連続。少しずつ変化していく。しかし、3歳の誕生日に人生を変える出来事が起こり、彼立の世界は大きく変わっていく…。誰もが子供時代に夢見た世界を描く感動のアニメーション作品。
伊藤さとり’s voice

第98回米アカデミー賞長編アニメーション賞ノミネート作品をひとつ紹介しよう。それは1960年代の神戸を舞台にしたベルギー人の小さな女の子アメリの感情の物語だ。原作はアメリー・ノートンのベストセラー自伝的小説。2歳半まで無反応だったアメリが突如喋り出し、自分を神だと信じていることから魔法のような世界を生きていく。想像したことが姿として現れる世界の中で大人の思いに触れて死生観を知り、更に感情が爆発していく様を淡いタッチで表現した映画だ。
ちなみに、マイリス・ヴァラード監督とリアン=チョー・ハン監督はそれぞれのキャラクターにもイメージカラーを付け視覚からの心理も心掛けたという。主人公のアメリは淡い緑色。もしかすると子供の成長を意味し、新芽をイメージしたのかもしれないが、これは色彩心理では「瑞々しさ」や「成長」という意味も持つ。爽やかな色であり、視覚的にも癒し効果があると言われている。
そんな緑色の目を持つアメリと親しくなる日本人家政婦のニシオさんは、太陽の黄色がイメージカラーだそうだ。確かにアメリにとっては、太陽のような輝きを持った絶対的安心感を与える存在。この色は色彩心理では「好奇心」「明るさ」の意味も持つので、アメリの好奇心を後押しする人物として見ると納得出来る。
本作には、他にも見事な手法が使われている。それは戦争の爆撃の様子を「語り」としてニシオさんがアメリに話すシーンで、料理の沸騰や具材を汁に落とすといった描写で描いている点だ。その語り後、ニシオさんはアメリに「大丈夫?怖くなかった?」と訊ねるのだが、この描写とセリフだけで監督が子供にも見て欲しいという思いから本作を作ったことが伺える。これもまた想像力から生まれたアニメーションマジック。アートアニメーションは、映像作家が伝えたい想いを自分達の想像力で幻想的に表現し、観客の心にアプローチする力を持った芸術なのだ。
映画『アメリと雨の物語』
3月20日(金・祝)TOHOシネマズ日比谷他全国公開
監督:マイリス・ヴァラード、リアン=チョー・ハン
原作:「チューブな形而上学」(アメリー・ノートン著)
音楽:福原まり
声の出演(日本語吹替版):永尾柚乃、花澤香菜、
早見沙織、森川智之
配給:ファインフィルムズ
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ、駐日ベルギー大使館
英題:Little Amélie or the Character of Rain



