他者と関わり合いながら
生きている私たちへ

-Introduction-
アカデミー賞®俳優ブレンダン・フレイザー、日本を代表する多彩なキャストとともに、注目の日本人監督HIKARIが日本を舞台に贈る、世界が経験したことのない未知の出会いに満ちた、感動ドラマ。
-Story-
東京で暮らす落ちぶれた俳優フィリップは、日本での生活に居心地の良さを感じながらも、本来の自分自身を見失いかけていた。そんな中、“レンタル家族”として他人の人生の中で“仮の”役割を演じる仕事に出会い、想像もしなかった人生の一部を体験する。そこで見つける、生きる喜びとは?
伊藤さとり’s voice

人はひとりでは生きていけない。
それは弱いことではなく、とても強いことを意味すると伝えるような映画だった。考えてみれば人との関わりほど面倒なことはなく、自分とは違う感情と付き合わなければいけないのだ。けれど他者がいるから自分という人間の魅力が分かり、他者がいるから自分に自信が持てたりする。たとえそれが家族でなくとも、人との繋がりがあれば人は生きる希望を見出せるという、シンプルで重要なことを私は本作から受け取った。
映画『レンタル・ファミリー』は、家族の絆を綴る「家族の物語」とはまったく違う。きっと海外生活の長いHIKARI監督だから気づいたであろう血の繋がった家族ではない、その国で疎外感を抱える人間が知った、血が繋がらなくとも皆、地球に住む家族だという感情から生まれた「人との繋がりの物語」だった。
よって主人公は日本で暮らす孤独なアメリカ人。そんな彼が新たに始める仕事が、天使のような救済業。この職業は依頼者のニーズに合わせてその人物になりすますので、同業者の女性は「不倫相手になって謝る」というつらい役割も請け負っている。というわけで映画では様々な状況を抱える人物が描かれ、それに対応すべくフィリップが他者と関わっていくのだ。印象的なのは冒頭映し出されるフィリップの部屋。がらんとした小さなアパートで、彼は帰ってくるなり買ってきた夕食を手にし、ベランダの外から見える向こう側のマンションの窓から見える様々な家族の光景を眺めているのだ。
やがてこの仕事で、シングルマザーの母親から受験の面接には両親が必要ということから、突然、家族の前に姿を現した父親役の依頼を受ける。当然、小学生の娘には真実を明かさない。それにより父親を演じ始めた彼の部屋には、少女と過ごした日に来ていた法被などが飾られるようになっていく。人との関わりが彩となり部屋を照らしていくのが装飾でも表現されるのだ。けれどいつか別れがくるのが、この職業の特徴だ。映画はそんな真実から目を背けずに、人と人との繋がり方についてしっかりと綴っていく。
家族だから甘んじてしまうこと。家族だから忙しさにかまけておざなりになってしまうこと。家族だから言えないこと。客観的に観察していれば気づけることに気づけないのが家族なのかもしれない。大事なのは、しっかり相手を見つめる時間を設けること。血が繋がっているから理解し合えるなんてことは絶対にない。同じ人種だから理解し合えるも嘘。言語が違えども根気よく理解しようとする思いがあれば、相手はいつか心を開く。『レンタル・ファミリー』から私はそれを感じ取った。そして家族で助け合うだけではなく、他者とも助け合える優しい地球で生きていきたいと思った。
映画『レンタル・ファミリー』(原題:Rental Family)
2月27日(金)全国公開
監督:HIKARI『37セカンズ』「TOKYO VICE」「Beef/ビーフ」
出演:ブレンダン・フレイザー、平 岳大、
山本 真理、柄本 明、ゴーマン シャノン 眞陽
木村 文、 安藤 玉恵、 森田 望智、
篠﨑 しの、真飛 聖 ほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン



