想いを伝えたい〈大切な人〉がいる貴方へ

映画『ほどなく、お別れです』

想いを伝えたい〈大切な人〉がいる貴方へ

映画『ほどなく、お別れです』
ⓒ「ほどなく、お別れです」製作委員会 ⓒ長月天音/小学館

-INTRODUCTION-

“小学館文庫小説賞”の大賞受賞作で、現在累計80万部を突破している「ほどなく、お別れです」シリーズ(長月天音作/小学館文庫刊)。とあるきっかけで葬儀会社に就職したヒロインと指南役の葬祭プランナーがタッグを組み、「最高の葬儀」を目指す物語を日本最高峰のスタッフ・キャストが集結し、待望の実写映画化!新人葬祭プランナー・美空役に、浜辺美波。彼女を厳しく指南する漆原役に、目黒蓮。今最も注目を集める二人が、初共演となる本作で見送る人、そして逝く人にも寄り添う葬祭プランナー役をW主演として真摯に演じます。脚本は、数々の名作を世に送り出してきた岡田惠和の監修のもと、連続ドラマを中心に良質な作品を多く手掛ける本田隆朗が感動のストーリーを紡ぎだします。そして監督には、『今夜、世界からこの恋が消えても』(22)をはじめ、数々の青春映画を大ヒットに導いてきた三木孝浩。青春時代の輝きや切なさを描いてきたこれまでの作品経験の集大成として、本作を全世代へ向けた圧巻のヒューマンドラマへと昇華させました。

-STORY-

就職活動で連戦連敗を重ね、自身の居場所を見つけられずにいる清水美空(浜辺美波)。彼女には、《亡くなった人の声を聴くことができる》という誰にも打ち明けられない力があった。そんな美空に、運命を変える出会いが訪れる。彼女の秘密に気付いた葬祭プランナーの漆原礼二(目黒蓮)に、「その能力を活かすべきだ」と、葬祭プランナーの道へと誘われたのだった。 導かれるように葬儀会社「坂東会館」のインターンとして漆原とタッグを組むことになった美空は、一片の隙もなく冷酷とさえ思える彼の厳しい指導に心折れそうになる。しかし同時に、誰よりも真摯に故人と遺族に寄り添う漆原の姿勢に気付き、出棺の際に優しく「ほどなく、お別れです」と告げる姿に憧れを抱いていく。 やがて美空と漆原は、様々な家族の葬儀に直面する。妊婦の妻を亡くした夫、幼い娘を失った夫婦、離れて暮らす最愛の人を看取れなかった男——。それぞれが抱える深い喪失に触れる中で、二人は「遺族だけでなく故人も納得できる葬儀とは何か?」という問いに向き合い続ける。そして美空は、漆原の背中を追いかけるように葬祭プランナーを志すことを決心し、漆原もまた、その姿に徐々に信頼感を覚えるようになる。そんな中、常に冷静で完全無欠な漆原にも心を揺さぶられる過去があることを美空は知り…。自身にも、その不思議な力、そして家族との別れに向き合う時が訪れる。「ほどなく、お別れです」に込められた、本当の意味とは―? そして、二人が届ける最期の《奇跡》とは―――

伊藤さとり’s voice
伊藤さとり’s voice

大切な人が亡くなる。それは一体どういうことなのか。長月天音による人気シリーズを映画化した本作は、“死者との別れ方”について、死者の想いと遺族の想いという双方向に目を向けた優しい作品になっている。そこにはさまざまな家族の想いが綴られているので、きっと誰もが琴線に触れる瞬間を映画から味わうだろう。

不思議なのは“死”を描いた作品ならば、辛く悲しい思いを観客も抱えるのではと思うのだが、映画は決してそうではなかったこと。そこは『ソラニン』(2010年)などを手掛ける三木孝浩監督の柔らかな色合いとゆっくりと動くカメラでの優しい視点により、家族愛を視覚から感じ取れるからだろう。しかも霊が見えてしまい、会話が出来る能力を持った美空を浜辺美波が演じることで、コミカルで情に脆く直球型のキャラクターとして親近感を持ち、彼女が一人前の葬祭プランナーになっていくまでをしっかりと応援出来る。そんな美空を指導する先輩の葬祭プランナー漆原に扮するのは目黒蓮。笑顔を見せず、真摯に仕事へ打ち込むお陰でやや厳しく、遺族の願いをとことん叶えようとする人物だが、穏やかな声のトーンや暖かな眼差し、更に納棺師としての勤めを果たす際の優雅な動作で、漆原の内面に秘めた優しさを目黒蓮は見事に表現している。だからこのコンビが先導する物語に惹きつけられ、様々な遺族の様子を見守ることが出来たのではないだろうか。

とはいえ、映画で描かれるどの別れも自分だったらと思うと胸が締め付けられるシチュエーションばかりだ。しかし死者が霊として姿を現し、想いを伝えるお陰で何故か少しだけ心が和らぐ。そう思うと人間は、他者の自分への気持ちを知りたいし、知ることで安心するのかもしれない。そんな感情に気づいた映画だったが、実はもうひとつ気付かされたことがある。それは生きている人間同士でも相手の気持ちを知りたいのに聞けずにいることだった。『ほどなく、お別れです』には、罪に苛まれ心の距離を置いてしまった二つの家庭が描かれている。その感情は、思い残しとなってジワジワと人の心を蝕んでいく。だからこそ生きているうちに不快な気持ちとお別れできるように向き合わなければいけない。これがこの映画から受け取ったもうひとつのギフトでもあった。

映画『ほどなく、お別れです』
2026年2月6日(金)公開
原作:長月天音「ほどなく、お別れです」シリーズ(小学館文庫刊)
配給:東宝
監督:三木孝浩
脚本監修:岡田惠和
脚本:本田隆朗
音楽:亀田誠治
主題歌:手嶌葵「アメイジング・グレイス」
    (ビクターエンタテインメント)
出演:浜辺美波 目黒蓮
   森田望智/古川琴音 北村匠海
   志田未来 渡邊圭祐
   新木優子/野波麻帆 西垣匠 久保史緒里/原田泰造
   光石研 鈴木浩介 永作博美
   夏木マリ

映画『ほどなく、お別れです』
ⓒ「ほどなく、お別れです」製作委員会 ⓒ長月天音/小学館