いろんな毎日を送る、
あらゆる世代の貴女方へ

©2025「早乙女カナコの場合は」製作委員会
-Introduction-
早乙女カナコ、10年にわたる恋と人生。
恋、人間関係、キャリア—
これは、私たちの物語。
魚喃キリコによる同名漫画を映画化した『ストロベリーショートケイクス』(2005年)、西加奈子による同名小説を映画化した『さくら』(2020年)をはじめ、絶大な支持を得ている作家たちの物語を、これまで独自の世界観で数多く手がけてきた矢崎仁司。今回5年ぶりとなる矢崎の最新作の原作には、日本のみならず海外でも人気を誇り、『BUTTER』や『ナイルパーチの女子会』といった作品で知られる柚木麻子による小説『早稲女、女、男』が選ばれた。本作『早乙女カナコの場合は』は、およそ10年にも及ぶラブストーリーを中心としながら、女性の生き方や女性同士の関係を描く。恋のライバル関係ともいえるはずのカナコ、麻衣子、亜依子たちは、それぞれに対立するのではなく、互いを鼓舞し、エールを送り合う。現代を生きるあらゆる世代の女性たちが、自分らしく一歩を踏み出すための普遍的な物語が、今ここに誕生した。
-Story-
大学進学と同時に友達と二人暮らしを始めた早乙女カナコ。入学式で演劇サークル「チャリングクロス」で脚本家を目指す長津田と出会い、そのまま付き合うことに。就職活動を終え、念願の大手出版社に就職が決まる。長津田とも3年の付き合いになるが、このところ口げんかが絶えない。⻑津田は、口ばかりで脚本を最後まで書かず、卒業もする気はなさそう。サークルに入ってきた女子大の1年生・麻衣子と浮気疑惑さえある。そんなとき、カナコは内定先の先輩・吉沢から告白される。編集者になる夢を追うカナコは、長津田の生き方とだんだんとすれ違っていく。大学入学から10年―それぞれが抱える葛藤、迷い、そして二人の恋の行方は―

伊藤さとり’s voice

恋をするとその人のことで頭がいっぱいになるし、その人の幸せを願ってしまう。それはそれでいいのだけれど、果たして自分は幸せなのだろうか。実は自分の気持ちに蓋をしていないか。言いたいことを胸に押し込めてその人を見守っていないだろうか。
そんな恋により生じる心にかかる魔法を描いた作品が『早乙女カナコの場合は』だ。
原作者である柚木麻子は、人間の表裏を描くのが絶妙だ。他者との関係での表向きの顔、そして自分自身の内面を見つめた時のぽっかり空いた穴まで読み手に伝えていく。今回の原作「早稲田女、女、男」を映像化したのは『ストロベリーショートケイクス』の矢崎仁司監督。本作では橋本愛演じるカナコの視点をメインに、恋に関しての様々な若者達の心情を綴っていく。
確かに自分が何者にもなっていないと思うと刺激的な相手に惹かれる。それが中川大志演じる脚本家を目指す大学生長津田になるのだが、デートも定形ではなくホタルイカすくいと個性的。しかも夢を追う姿は眩しいので、彼を応援したい気持ちが次第に膨らんでいく。だけど彼は目の前のことしか見ていないし、現実と向き合っていないように思える。ちょっと冷静に考えてみると、諸手を挙げて周囲に幸せだと言える関係だろうか。果たして彼は自分たちの未来を見ているのだろうか。映画はそんな「疑問」を登場人物の女性達に投げかける。
別れた恋人との思い出の品を捨てない男性との関係は果たして心に健全なのか。別れてしまった恋人がいつか戻ってくると信じて待ち続けることはどうなのか。そんな問いの中で聞こえてくるのは、自分が望んでやっていることだからそれでいい、という答え。確かにそうだけれど、我慢しすぎていると気付いたらそれは自分の心を傷つけている証。その度合いをこの映画の女性達を通して私達に気づかせてくれる。
映画『早乙女カナコの場合は』
3月14日(金)より新宿ピカデリー他、全国公開中
出演:橋本愛
中川大志 山田杏奈
根矢涼香 久保田紗友 平井亜門 /
吉岡睦雄 草野康太/ のん
臼田あさ美
中村蒼
監督:矢崎仁司
原作:柚木麻子『早稲女、女、男』(祥伝社文庫刊)
脚本:朝西真砂 知 愛 音楽:田中拓人
製作幹事:murmur KDDI 配給:日活/KDDI
制作:SS 工房 企画協力:祥伝社

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