“恋人関係”に不安や責任感をもっている貴方へ

映画『不死身ラヴァーズ』

“恋人関係”に
不安や責任感をもっている貴方へ

映画『不死身ラヴァーズ』
©2024「不死身ラヴァーズ」製作委員会 
©️高木ユーナ/講談社

-Introduction-

“好き”を全肯定する、無防備なラブストーリー

2022年に公開された『ちょっと思い出しただけ』では、男女のほろ苦い恋愛模様が多くの観客の共感と反響を呼び、大ヒットを記録した松居大悟監督。これまでにも『くれなずめ』や『アイスと雨音』、『私たちのハァハァ』等、 独自の視点で数々の青春を描き、若者の圧倒的な支持を得てきた。最新作『不死身ラヴァーズ』は、10年以上に渡り温め続けてきた渾身のラブストーリー。原作は、「進撃の巨人」諫山創のアシスタントを経て漫画家デビューした高木ユーナの同名コミックで、初めて原作と出逢った時からずっと主人公の二人に強く惹かれていたという松居監督は、「完成した作品を観て、あぁやっと二人に出逢えたと思いました。今回、演じてくれた見上愛さん、佐藤寛太さんとの出逢いも含めて、これまでの時間は必要だったのかもしれません」と述懐し、ようやく制作できた喜びと共に「好きは無敵。諦めることなんてできなくて、この10年で積み上げてきたものをすべて捨てて挑みました」と作品への覚悟を語っている。主人公・りのを演じるのは本作が初の映画単独主演となる見上愛。唯一無二の透明感とパワフルさを兼ね備えた存在感で観客を惹きつける。りのの運命の相手・じゅんを佐藤寛太、さらに青木柚、前田敦子、神野三鈴らが脇を固める。
カッコ悪くても「好き」を真っすぐに伝える大切さと無防備さから生まれる純粋なエネルギーが胸を打つ、新世代の恋愛映画が誕生した。

-Story-

運命のように何度も出逢い、
想いを伝える――

「あなたのことが大好きですっ!!」

長谷部りのは、幼い頃に”運命の相手”甲野じゅんに出逢い、忘れられないでいた。中学生になったりのは、遂にじゅんと再会する。後輩で陸上選手の彼に「好き」と想いをぶつけ続け、やっと両思いになった。でも、その瞬間、彼は消えてしまった。まるでこの世の中に存在しなかったように、誰もじゅんのことを覚えていないという。だけど、高校の軽音学部の先輩として、車椅子に乗った男性として、バイト先の店主として、甲野じゅんは別人になって何度も彼女の前に現れた。その度に、りのは恋に落ち、全力で想いを伝えていく。どこまでもまっすぐなりの「好き」が起こす奇跡の結末とは――。

伊藤さとり’s voice
伊藤さとり’s voice

今、あえて恋人を作らない若者もいると言われている。 何故なのか聞くと、ある人は「面倒だから」と答えたが、その“面倒”という意味には、不安な気持ちになるのが嫌ということ以外にも、相手を理解しなければいけない、相手を受け入れなければいけない、という考えも入っているように思える。 しかし本作の主人公りの(見上愛)のように憧れの人とせっかく両想いになれたのに、その瞬間、相手は消え失せてしまう現象が起こったらどうだろうか。それこそ一生、忘れられない人として想い続けるのかもしれない。

りのは同じ相手であるじゅん(佐藤寛太)にずっと片想いを続けている。それはいろんなパターンのいろんな状況のじゅんであり、まるでループしているような不思議な恋愛映画なのだ。ここはさすが『アズミ・ハルコは行方不明』(2016)、『くれなずめ』(2021)、『ちょっと思い出しただけ』(2022)などの青春映画の名手・松居大悟監督だけある。げんにりのの感情が溢れんばかりの愛を放出したり、じゅんがロマンチックなことを言ってみたりしながら躍動感ある画で展開されるのだが、突然、ファンタジー映画のような光景が広がり、違うタイプのじゅんが登場する度にりのはスキップするように恋に向かって進んでいく。

なぜ、このロマンチックな関係は続かないのか。なぜ、友達以上恋人未満でじゅんと毎回お別れするのか。見上愛の天真爛漫な演技の中に見え隠れする小さな女の子の表情が意味することはなんなのか。映画はやがて見たこともない色合いに変わっていく。
この映画の大事な部分は、“恋人になったら”の先が分からない点だ。それは映画を観て欲しいので記さないが、恋人になると良いも悪いも互いの嫌な部分が見えてくる。同棲したり、夫婦になれば尚更だ。けれど自分ではない誰かと共に過ごすことで、世界はもっと楽しく、美しく見えてくる。その理由はそこに相手を「好き」という感情があるからだ。

私は思う。
相手を理解しなければなんていらない。解ろうと思うだけで良くて、相手も自分もまったく同じ感情にはなれないのだ。自分とは違う感情を持つ相手だからきっと好きになり、一緒にいることで新たな視点や新たな感情が芽生える楽しみを味わうのが「恋愛」なんだと。だから共に歩んでいることだけを忘れずに、相手を大事に想いながら会話を繰り返し共に生きていけばいい。

映画『不死身ラヴァーズ』
2024年5月10日(金)より、テアトル新宿ほか全国ロードショー

出演:見上愛 佐藤寛太
   落合モトキ 大関れいか
   平井珠生 米良まさひろ
   本折最強さとし 岩本晟夢 アダム
   /青木柚  前田敦子  神野三鈴
監督:松居大悟
原作:高木ユーナ『不死身ラヴァーズ』(講談社「別冊少年マガジン」所載)
脚本:大野敏哉 松居大悟
音楽:澤部 渡(スカート)
主題歌:「君はきっとずっと知らない」スカート(PONYCANYON / IRORI Records)
製作幹事:メ~テレ ポニーキャニオン
配給:ポニーキャニオン 製作プロダクション:ダブ

映画『不死身ラヴァーズ』
©2024「不死身ラヴァーズ」製作委員会
©️高木ユーナ/講談社