テレビ東京『Qrosの女 スクープという名の狂気』
「衣・食・住・情」レベルで情報が蔓延る現代社会で
選ぶもの、選ばざるもの||
何を手にするかはすべて〝自分次第〟
今や世界は【情報の大海】と化している。『トレンド』という言葉に括られた情報たちは、鮮度の高さを第一とし、正確さや裏付けは鮮度の後追いとなりがちである。ネットやニュース、週刊誌などで届けられる情報と、リアルな世界で「らしいよ」と他者から提供される情報、その数はまさに無限。気づいた時にはすでに果てのない情報の海に浮かんでいる。でも、ひとつだけ忘れないで欲しい。右も左も分からない、どんな波が押し寄せるかも予測できない大海だとしても「どこに向かって泳ぐのか」、それを決めるのは《自分》なのだということを。ここにいる一人の敏腕記者が泳ぐ先、その岸辺で彼が見つける〝自分なりの真実〟とは――?
テレビ東京『Qrosの女 スクープという名の狂気』
有名芸能人の不倫、アーティストの薬物使用、事務所のハラスメント問題、量産されていく週刊誌ネタ。敏腕記者・栗山孝治(桐谷健太)は、”大衆が求めているネタ” ”刺さるネタ”を信条に掲げる編集長・林田(岡部たかし)、タッグを組む後輩で芸能スクープそのものに疑問を抱く矢口慶太(影山拓也)らと共に、スキャンダラスで衝撃的なスクープを追い求め、真実を暴くために奔走する日々を送っていた。そんな中、巷ではファストファッションブランド「Qros」のCMに出演する正体不明の女性が話題になっていた。そして、その正体をいち早く暴こうと芸能記者たちのスクープ争いが始まる!大衆の関心がエスカレートすればするほど、崩れていく「Qrosの女」の生活…。しかし、それは全て仕組まれたことだった!?記者たちをも操っていた黒幕を突き止めるため、そして「Qrosの女」を助けるため、栗山は芸能界の闇と対峙することになる。
-栗山孝治-
週刊キンダイ・芸能班記者
栗山孝治 × 桐谷健太
ひとえに『週刊誌記者』といってもいろいろな方がいる中で、今回栗山を演じるにあたって「彼は小学生の頃から記者としての腕があり、学校新聞で先生をすっぱ抜いたりしていたんじゃないだろうか」と、勝手に考えていました。先生には怒られるけど、同級生の中でのちょっとしたヒーロー的存在といいますか。僕は人生とは意識的、無意識的に関わらず“自分のいきたい方向へ向かってゆくもの”だと思っていて、栗山は「自分のやりたい世界はこれだ!」と思って記者の世界に向かっていったのだと思うんです。きっと入りたての頃は、自分の記事によって世の中が少し変わったような感覚になったり、電車に乗っている時に自分の記事の話をしている人がいたりすると、ものすごく高揚していたんじゃないかな、と。でも、それがある事件を境に〈葛藤〉の渦に飲み込まれていってしまう。そこから描かれてゆく栗山の変化を大切に演じたいと思っているところです。
『週刊誌記者』という職業だけに基づくのではなく、
栗山の歩んできた人生の点を大切にしながら、
飲み込まれてしまった〈葛藤〉について
考えられているんですね。
そうですね。だけど、あくまでのその〈葛藤〉を同僚たちには見せない。それが栗山という人間なんです。彼が過去に背負ったトラウマにフォーカスをあてれば、やさぐれた芝居での表現も適うキャラクターではあるのですが、衣装合わせの時に監督とプロデューサーさんとお話して「やさぐれた方向ではなく、あまりそれを感じさせない人物に」と、栗山の芝居の道を決めました。きっと〈葛藤〉を表に出さないほうが、物語後半で変化してゆく栗山とのギャップを感じていただけるんじゃないかな、と思っています。
どんなトラウマを背負おうと揺らぐことのない、
『週刊誌記者』への栗山の想いも感じます。
そうですね。あえて記者という仕事を続けることが彼にとっての過去のトラウマへの懺悔の気持ちや贖罪なんでしょうが、自分の中での〈正義〉もあるんだと思います。彼は『芸能週刊誌記者』という職業にやりがいと唯一の居場所を感じている。その“やりがい”や“居場所にいること”だって立派なひとつの〈正義〉なんじゃないかと。そんな中でQrosの女に出会い、また自分の正義が揺らぎ、彼の中にどんどん変化が生まれてゆく。僕自身、予測できない変化がどんどん起こる予感がしていて、今からとても楽しみです。漠然とではなく、「何かが変わる」という確信があるからこそ、こんなに楽しみなんだと思います。
桐谷さんのワクワク感が伝わってきます。
素顔にたどり着かせない栗山とバディを組む矢口。
矢口を演じられる影山拓也(IMP.)さんの
印象を教えてください。
初めて会った時から今も変わらず、めちゃくちゃ礼儀正しい印象です。僕の場合、目上の方や先輩に挨拶する時は45度くらいの角度でお辞儀をするのですが、彼の場合はその角度にさらに+15度で(笑)。挨拶も大きな声でしっかりとされますし、すごく気持ちのいい青年だと思っています。撮影現場でも話し合いながらシーンを作りあげていて、お互い切磋琢磨できている感覚があるので、ここからもっと出来上がっていくんじゃないかと期待しているところです。混ざっているのか混ざっていないのかも分からないほどデコボコな2人が、「何かを起こそう!」と動いていく様子は、観てくださる方からしても面白いと思いますし、そんなバディに近づいていっている感覚を楽しみながら撮影に臨んでいます。
お芝居については何かお話されましたか?
初日に「矢口はぴょんぴょんと跳ねるような躍動感が出たらいいよね」と、一緒に話していたのですが、撮影を重ねるごとにそんな矢口がどんどんと出てきていて。僕は拓也が演じている矢口がすごく好きです。もしかしたら、初日の撮影を終えていろいろと考えたことがあったのかもしれないけれど、良い意味で変わっていっているのは事実。それはすごく素晴らしいことだと思いますし、一緒に芝居をする身としてとても頼もしいです。
お二人の信頼関係が感じられます。
『週刊誌記者』という職業を演じられるうえで、
参考にしたものなどはありましたか?
このドラマを作るにあたり、監督が元週刊誌記者の方とお話をされたうえで、その方のアイデアも取り入れながら作品をつくっていると伺っています。「週刊誌記者ってこんなこともするんだ!」といった、『週刊誌記者』という仕事のリアルを観られるのも、本作の面白さのひとつなんじゃないかな、と。
どんな実態が見られるのか…、とても楽しみです。
桐谷さんは“バディもの”の
役柄も多い印象なのですが、
バディを組む際に心がけていることはありますか?
特別心がけていることはないのですが、気づけば「兄貴」や「健にぃ」と呼んでくれる方たちが増えてきて…。正直、すごく嬉しいと同時に戸惑っています(笑)。もともと僕は末っ子で、年上の方に可愛がっていただくことが多く、役者を始めた当初はそれがすごく楽しくてラクだったんです。どちらかというと、自分より年下の方との関わり方のほうが始めの頃は分からなくて…(笑)。だから今、「兄貴でいてください!」と言って僕を慕ってくれる方がいることが不思議であり、とてもありがたく感じています。
桐谷さんのお人柄の産物だと思います。
栗山と矢口を切り口に描かれる現代のいろいろ…
この作品を通して考えたことはありましたか?
ここ最近、偶然か必然か、記者や情報屋の役が多く、時代がそういったテーマを掲げざるをえないところに突入してきているように感じています。『衣・食・住・情』といいますか。すごい量の情報が入ってくる中で、自分は何を選び、何を使うのか。何を本物だと信じて、何を偽物だと疑うのか、それが完全に受け取る側に委ねられている気がしていて。僕自身は、情報の多さはもちろんのこと、現代は情報の動き方も海の波のように幾何学的なので、それを理解しようとは思わなくなりました。あくまで選択権は自分。明るい中に黒い点があり、暗い中に明るい点がある勾玉のように、僕らの人生にも幸せや楽しみの中に少しの苦しみがあるもの。もちろん逆も然り。どれを選び、どう捉えていくのか、実はそれってすべて自分で選択することができるんですよね。どうしようもないことが多い世界でも、自分のことだけは自分でどうにかすることができる。僕はそれを大切にしていきたいな、と。外を変えようとするのではなく、自分が気持ちいいと感じられること、好きなことややりたいことに傾注して生きていけば、絶対に世界の見え方が変わると信じています。自分の心の見え方で、巷に溢れる情報の見え方も変わってくるはず。この作品を通して、その考え方がさらに深くなったように感じます。
Dear LANDOER読者
『Qrosの女 スクープという名の狂気』
From 桐谷健太
物語の序盤は『週刊誌記者』の仕事を通して、芸能界のいろいろなネタを追っていくのですが、題名にもなっている『Qrosの女』との出会いによって、様々な場所で徐々に変化が起こりはじめます。演じている僕自身、物語の動きとともに栗山がどう変わってゆくのかを、とても楽しみにしているところです。多くの人が情報に溢れた世界を泳いでいる現代だからこそ、見極めること、選択することを一緒に考えていけて、かつ楽しい作品にしたいと思い、日々撮影に挑んでいるので、観てくださった方が、この作品から何かしらヒントを見つけて笑顔になっていただけたら嬉しいな、と思います。
テレ東系
ドラマプレミア23『Qrosの女 スクープという名の狂気』
毎週月曜よる11時6分~11時55分
原作:誉田哲也「Qrosの女」(光文社文庫)
出演:桐谷健太
影山拓也(IMP.) 黎架 田村保乃(櫻坂 46)
増子敦貴(GENIC) なえなの
三浦孝太 川島海荷 /
岡部たかし 哀川翔
脚本:服部隆
監督:守屋健太郎 上田迅 頃安祐良
音楽:遠藤浩二
製作:テレビ東京 松竹
制作協力:「Qrosの女」製作委員会
Staff Credit
カメラマン:興梠真穂
ヘアメイク:岡井雄介
スタイリスト:岩下倫之(Leinwand)
インタビュー・記事:満斗りょう
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