【綱 啓永】映画『新米記者トロッ子私がやらねば誰がやる!』 権力ではなく、真実が行使された〈言葉〉を「伝えること」に切り込む、オンリーワンの報道物語

綱 啓永

映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』
権力ではなく、真実が行使された〈言葉〉を
「伝えること」に切り込む、オンリーワンの報道物語

文字には〈想い〉が宿る。咄嗟に口から発される言葉と違って、〝文字〟は、私たちに芽生えた感情、繊細に紡ぎたい真実、それらの「伝えたいこと」が納得のいく言葉になるまで、ゆっくりと待っていてくれる。あなたが記してきたすべての言葉、誰かに届けるために書いてきた文字は【あなた自身】。そして〝文字〟という魔法を、どう使うも【あなた次第】。心に芽生えた「自分の声」、あなたが書かねば、誰が書く――?

映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』

映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』

文学少女の所結衣(藤吉夏鈴)は憧れの作家“緑町このは”が在籍するといわれている名門・私立櫻葉学園高校に入学。しかし、文芸コンクールを連覇するエリート集団の文芸部には入ることができなかった。落ち込む結衣に文芸部の部長・西園寺茉莉(久間田琳加)が、正体不明の作家“このは”を見つけ出せば入部を許可するという条件を提示。結衣は、“このは”のインタビュー実績がある学園非公認の新聞部に潜入し、部長のかさね(髙石あかり)と副部長の春菜(中井友望)のもとで新米記者“トロッ子”として活動することになる。教師たちの不祥事に切り込む新聞部を快く思わない学園の理事長・沼原(髙嶋政宏)に理不尽な圧力をかけられ、新聞部は窮地に立たされてしまう。しかし、結衣は一念発起し元文芸部の松山秋(綱啓永)らと協力して理事長、そして学園の闇に切り込んでいくのだった。

—松山 秋―

映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』

私立櫻葉学園高等学校3年生。
西園寺の同級生で元文芸部だが現在は不登校。
なにやら西園寺と“緑町このは“の秘密を知っているようで――。

『新米記者トロッ子』× 綱啓永

台本を読んで、一番に思ったのは「こんな内容の映画、観たことない」でした。この映画でしか観ることのできない設定、ストーリーが本作の魅力。“オンリーワン”を感じていただける一本になったと思います。

小林啓一監督は、
非常に繊細な演出をつけられる監督ですが、
小林監督との初の作品づくりはいかがでしたか?

一言、めちゃくちゃ好きな現場でした!小林監督って、時間で妥協することなく、とても自由に丁寧に、作品づくりそのものを楽しまれる方なんです。演出をつける時もいつも笑顔で、楽しそうで。それも、決してワチャワチャして楽しそうなのではなく、「お芝居をつくることが心から楽しいんだろうな」というのが、ひしひしと伝わってくるといいますか。プロとして本当にカッコよかったです。

綱 啓永

綱 啓永

お話されている綱さんの表情から、
小林監督への愛が伝わってきます。

テイクを重ねるごとに、「もうちょっとこういうニュアンスで」や「こんな動きをしてほしい」など、演出が一つずつ増えていくのは大変だったのですが、僕はその進め方がすごく好きで。説明も一つひとつ丁寧で分かりやすくて、お芝居をしていて「楽しい!」と、感じる現場でした。

綱さん演じる、『松山秋』については
どんな演出がありましたか?

監督からは「謎めいている雰囲気を出してほしい」との言葉をいただきました。観る方に「松山先輩って、落ち着いているけれど、何かありそう…」と、感じてもらえる雰囲気を求めていらしたので、物語のキーマンとして、そこは一番意識するようにしていましたね。

綱 啓永

松山に“含み”を感じたのは、
その意識があったがゆえ、なんですね。
全編を通して描かれている
「声を上げる」ことの大切さ。
作品を通して、
綱さん自身が感じたことはありますか?

改めて「〈言葉〉にするって、大事だな」と感じました。当たり前のことだけれど、実際に自分の感情や考えを〈言葉〉にするのって、すごく難しいことだと思うんです。僕自身、あまり自分のことを〈言葉〉にしないタイプだったので、その難しさをすごく感じていて。そんな時にこの作品と出会い、〈言葉〉を使って、自分の感情、自分のやりたいことを、相手にしっかりと伝える大切さを学びました。

〈言葉〉は使い方次第で、どんな用途にもなるもの。
作品にはそのリアルさも描かれていますが、
綱さんが〈言葉〉を届ける時に、
意識していることはありますか?

一番意識しているのは「傷つけない」こと。無意識であれ、素直さや正直さがゆえに言ってしまった言葉であれ、やっぱり人を傷つけるのはよくないことだと思うので。伝えづらいことを伝える場合でも、相手が嫌な思いをしない“言葉選び”は、大切にするようにしています。

綱 啓永

綱 啓永

本当に伝えたいことが
何層にも塗り固められてしまうことがある
現代にこそ、
その意識は必要な気がします。

そうですね。特に現代は、作品に描かれているように「大人の言うことが真実だ」と、みなされてしまうことが多い世の中じゃないですか。もちろん大半はそうなのかもしれないけれど、それでも、「大人」という権力を発言に行使することで、勝手に〈正義〉にしちゃう、みたいな事例が多くあると思っていて。この映画は、そんな世の中で、間違っている大人に立ち向かう若者たちが、必死に自分の思いを伝え、「真実」を行使して悪を成敗していく物語。権力が〈正義〉なのではなく、真実こそ〈正義〉なのだと、作品を通して伝えられる一本になっていると思います。

結衣(藤吉夏鈴)の清々しいトロッ子さが、
〈正義〉を貫く強い武器になっていると感じました。
ちなみに、
綱さんの俳優トロッ子時代はいかがでしたか?

僕のトロッ子時代ですか(笑)?僕はずっと、事務所の社長から「貪欲になりなさい」と言われているような、控えめなトロッ子でした。この仕事は本当にライバルが多く、常に周りと闘いながら登り詰めていかなければならないのですが、当時の僕には、そういった“人と闘う”気持ちがあまりなかったんです。オーディションに関しても「人を落としてまで、自分が受かっていいのか」みたいな気持ちがあって。個人的には、その頃の平和主義な自分もすごく好きだけれど、今は、トロッ子時代よりは少し貪欲にやらせていただいています(笑)。

綱 啓永

Dear LANDOER読者
映画『新米トロッ子記者 私がやらねば誰がやる!』
From 綱啓永

“好きなことを追求する素敵さ”は、この作品が伝えたいことの一つ。僕、「好き」って、何よりもの〈原動力〉になると思うんです。仕事でもなんでもいいから、好きなものを一つ見つけて、それを日々の癒しにすることで、頑張ることができる。もしかすると、この映画のように、自分の「好き」が悪を成敗することだってあるかもしれない。僕は「好き」という気持ちには、そのくらいたくさんの魅力と可能性が秘められていると信じているので、皆さんがこの映画を通して、自分の「好き」を追求する想いが強くなってくれたら、とても嬉しいです。

綱 啓永

綱 啓永

つな けいと

12月24日生まれ。
絶え間なく降ってくる「経験」と「発見」、
その滴を吸収し続け、永遠の“学び”を心から楽しむDOER

映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』

映画
『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』
2024年8月9日(金)
テアトル新宿・グランドシネマサンシャイン 池袋 ほかにて公開

出演:藤吉夏鈴(櫻坂46)
   髙石あかり 久間田琳加 中井友望
   綱 啓永
   外原寧々 ゆうたろう 筧美和子
   石倉三郎 / 髙嶋政宏
監督:小林啓一
脚本:大野大輔 原案:宮川彰太郎
音楽・主題歌:クレナズム「リベリオン」(MMM RECORDS/RED)

Item Credit
ジャケット¥75,900(税込)、パンツ¥52,800(税込)
ともに meagratia(メアグラーティア)/
TEENY RANCH(ティーニー ランチ)
その他、スタイリスト私物 
《お問い合わせ先》
TEENY RANCH(ティーニー ランチ)
TEL 03-6812-9341

Staff Credit
カメラマン:興梠麻穂
ヘアメイク:牧野裕大(vierge)
スタイリスト:三宅剛
インタビュー・記事:満斗りょう
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