自由丁・オーナー 小山さんの
4つのQuestions.
いま日常生活、または仕事の中で
争っているもの
表面的に誰かと争うことはしないんですけれど、毎日文章を書いている中で思うのは「過去の自分には勝てない」ということ。いろいろな経験をして進んできたはずなのに、過去の自分の書いた文章に「また勝てない…どうしたら勝てるのかな」と、いつも圧倒されるんです(笑)。きっとその気持ちって一生拭えないんだろうな、と。だからこそ闘い続けるし、書き続ける。完璧主義というよりも理想主義な人間なんだと思います。永遠に時間があったとしたら、永遠に改善をし続けたいタイプなんです(笑)。
『自由丁』を始めた起源
『自由丁』を立ち上げる前に『TOMOSHIBI POST』というコンテンツをしていたのがこの場所の起源。『TOMOSHIBI POST』は“一年後の自分にメールが届く”というサービスだったんですけど、そのサービスを立ち上げたのは「世の中には今よりもっと“自分と向き合う時間”が必要だ」と考えたから。僕は幼い頃から何かを決めるときは、自分でたくさん考えて悩んで決めさせてもらってきたので、ある程度自分自身でしっかりと考えた人生を送ってきたつもりでいたんです。ただ、そうして大学に進学したときにそうではない人が意外と多いことを知って。学びたいことを選んで進学したわけではなく、就職率の良さや評価の良いところとか、そういったところで大学を決めている人が多かった。けれどそうやって自分の外に理由を求めてしまうと何か人生で失敗があってもなかなか「この失敗は自分の責任だ」と考えるのは難しかったりするんですよね。
自分で選んでないことを
「こうしていなければ、こうなっていなかったのに」
と後悔してしまう自分自身も苦しいんですよね。
そう。だからこそ自分の意志で何かを考える時間を世の中に増やして“考えること”を当たり前のものにできれば、僕たちは困難に対してもっと素直に向かっていけると思ったんですよね。きっと、困難を乗り越えた話ですら笑い話にできますし(笑)。そうしたらもっと幸せに、一人ひとりが自分の足で立って生きていけるな、と。そのために何をすべきかを考えて、試行錯誤をした結果生まれたのが『TOMOSHIBI POST』だったんです。
幸福感を感じる時
友達が僕は大好きなので、彼らと一緒に居る時間が幸せです。僕の人生、友達とつるんでいる時間が大半じゃないかな(笑)。友達と珈琲やお酒を飲んだり美味しい物を食べたり、何か作業をしている時間ではない時間が幸せなんです。その関係性の中で、周りを見ているのだとも思いますね。
大学時代から周りを見て何かを考えて来られたんですね。
ちなみに『TOMOSHIBI POST』を立ち上げてから
印象的だったお客さんっていらっしゃいますか?
『TOMOSHIBI POST』を作ってすぐの頃、ポップアップで実際にレターセット『TOMOSHIBI LETTER』を作って売ったことがあったんです。その時に会場でカメラマンをされていた女性の方が僕らのブースにやって来て「書いていいですか?」と、手紙を書き始めたんですけど、どうしたのってくらいびっしり書かれていて(笑)。「どうして書こうと思ったんですか?」とお聞きしたら「仕事で悩んでいることが多くて、一年後の自分がいま抱えている悩みをどうしているのか知りたい」と仰ったんです。それを聞いた時に、当たり前なんですけど「やっぱり、目には見えなくても悩みを抱えて過ごしている人がいるんだ」と再認識して。落ち込んで、それでも前を向こうとする力を必要としている人を“事実”として見たときに、この手紙の意味を改めて感じました。
確かに。
前を向く力をつける時、
自分の想いを聞くことって大切な工程ですよね。
それで、その数年後に『自由丁』で店番をしていたら、何人かのお客さんがいらっしゃって。その中の一人の方が「私、こういう手紙書いたことある!」と言うんです。よーく顔見てみたら、その時のカメラマンさんだったんですよ(笑)。ポップアップで手紙を書いていた時よりずっとキラキラされていたのが印象的で。「あぁ、悩みを乗り越えられたんだ」と感動させてもらった、いまでも忘れられない出来事です。
現実化したいと思っていること
(夢・目標)
今年に入って、本を出版したいと思うようになりました。一つの理由は「言葉たちが可哀想だな」と思ったこと。展示会などをして過去の言葉を読むたびに思うんですけど、誰かが読み返さないと置いて行かれてしまうのが言葉であり文章。だからこそ言葉が生き続けられる場所を作りたいな、と思うようになりました。もう一つの理由はミュージシャンでいうところのアルバムのようなものを作りたいと思ったこと。僕が日々書いている文章は、ミュージシャンでいうところのシングル曲。そうすると本は、アルバムのような存在じゃないですか。アルバムをリリースせず、シングルだけをリリースし続けているミュージシャンってちょっとやだなって(笑)。それにアルバムを作る作業の中で新しい創作も生まれるんじゃないかな、と。なので、そういった言葉たちが生き続けられるような一冊をいずれ作れたらいいな、と思っています。
東京都台東区『自由丁』
📍自由丁:東京都台東区蔵前4-11-2
都営浅草線「蔵前」駅より徒歩3分
⌛営業時間
水~金曜日:13:00-18:00
土、日曜日、祝日:11:00-18:00
月、火曜日:定休日
☏予約について
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ぜひご予約での来店がおすすめ。
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『自由丁』オーナー・小山将平
未来の手紙カルチャーブランド『自由丁』オーナー。1991年生まれ。未来の自分へ手紙が送れるレターセット『TOMOSHIBI LETTER』やWEBサービス『TOMOSHIBI POST』を手掛ける。毎日エッセイや詩を一篇書き、自由丁HP内『今朝の落書き』コーナーと自身のSNSで公開、発信。作品数は既に1000を超える(2022年3月1日現在)。2021年より『言葉と出会う展』と題して、言葉にまつわる展示を都内を中心に開催。お題に対して即興で短文エッセイを書けることから、「モヤモヤさまぁ~ず2」出演時についたあだ名は「即興エッセイ王」。
Staff Credit
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:吉田彩華
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