【永瀬廉(King & Prince)× 坂東龍汰 × 前田拳太郎】映画『ふれる。』互いの個性と芝居にふれたアフレコブースタイプも性格も違うメインキャスト3人のスペシャル鼎談

映画『ふれる。』

映画『ふれる。』
互いの個性と芝居にふれたアフレコブース
タイプも性格も違うメインキャスト3人の
スペシャル鼎談

大切な人のそばで、その人の放つ言葉や想いにふれられるってすごく幸せだ。成長とともに変わりゆく環境の中、手放したくなかったものも、まだまだ話していたかった人も振り返ればたくさん見えるけれど、それもまた人生。だからこそ、今ここでふれられるキミの想いに耳を傾けたい。いつか会えなくなるかもしれない、また別れに悲しむかもしれない。でも、後悔だけはしないように。ふれて、ふれられて···、きっとそこに出逢えた意味があるはずだから――

映画『ふれる。』

映画『ふれる。』

“心揺さぶる”青春三部作
『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』
『心が叫びたがってるんだ。』
『空の青さを知る人よ』
で200万人を感動の涙で包み込んだ
長井龍雪×岡田麿里×田中将賀の三人が新たに挑むのは、
不思議な生き物「ふれる」と暮らす青年三人の友情物語。

同じ島で育った幼馴染、秋と諒と優太。東京・高田馬場で共同生活を始めた三人は20歳になった現在でも親友同士。それは島から連れてきた不思議な生き物「ふれる」が持つテレパシーにも似た力で趣味も性格も違う彼らを結び付けていたからだ。お互いの身体に触れ合えば心の声が聴こえてくる――それは誰にも知られていない三人だけの秘密。しかし、ある事件がきっかけとなり、「ふれる」に隠されたもう一つの力が徐々に明らかになるにつれ、三人の友情は大きく揺れ動いていく――

小野田 秋
CV.永瀬 廉(King & Prince)
×
祖父江 諒
CV.坂東龍汰
×
井ノ原 優太
CV.前田拳太郎

3人の縁を結んだ
三者三様のオーディション

LANDOER:3名ともオーディションで役を掴まれたと伺いましたが、オーディションに向けて準備したことはありましたか?

永瀬廉(以下、永瀬):準備か~。僕は本を読んで、家でセリフを言って…ぐらいでしたね。普通のことしかしていないと思います。いつも通りの自分のままでオーディションへ行ったら、長井(長井龍雪)監督がオーディションの際の演技に対して「やさぐれた感じが少しあったのが良かった」と、言ってくださったんです(笑)。

坂東龍汰(以下、坂東):彼は天才なんですよ。準備なんかいらない。

永瀬:いやいや、準備してたのよ。してないわけじゃないから(笑)。

LANDOER:やさぐれ感も準備されて?

永瀬:そうですね。三日前から準備して、やさぐれ感を入れていったのが良かったんだと思います(笑)。

坂東:あはは(笑)。僕もこれと言った準備はせず…。唯一したことと言えば実家に帰省する飛行機をキャンセルしたことぐらい。それがなかったらオーディションも受けられていませんでした。

前田拳太郎(以下、前田):僕も「そのままで行きました」と言いたいのですが、結構準備して行きました

永瀬:どんな準備したの?

前田:僕の場合は「優太というキャラクターを受けてください」という形でオーディションのお話をいただいたので、秋、諒、優太の3人のバランスを考えて、いろいろなアニメを観て「どのキャラクターに近いかな?」や「多分こんなバランスの3人なんだろうな」と、既存の作品のキャラクターを参考にしたり秋と諒の分のセリフを自分で読みながら、優太のセリフを録音したりして準備しました。

永瀬・坂東:すごー!

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互いの想像を超えてきた
秋、諒、優太の〈声〉

LANDOER:秋、諒、優太、3人でのアフレコが多かったと思います。お互いの「声のお芝居」の好きなところを教えてください。

永瀬:2人とも、諒や優太を演じている時は各々の役の声でアフレコしているのですが、日常的な会話の中でもふと諒っぽさや優太っぽさを感じる瞬間があって。普段観ているアニメの声優の方が、そのアニメとは別のお仕事をされている時に「この人があのキャラクターの声をやっているんだ!」と、ふとキャラクター味を感じた瞬間の感動を2人にも覚えていました。前田くんは優太の声をだいぶ高めに設定をしていたので、その声の高さをキープしたままお芝居をするのは難しかったと思うのですが、しっかりと優太を演じられていましたし、坂東くん演じる諒は、普段の坂東くんからは想像できないほどドスをきかせるような場面もあり、そのお芝居を新鮮に感じつつ「諒としての説得力がすごくあるな」と思っていました。

坂東:圧巻の芝居だった(笑)?

永瀬:そうだね。数少ない好きなところでしたね(笑)。

坂東:数少ないって言うな(笑)!僕はアフレコブースに入った初日、第一声を聞いた瞬間から廉の声に恋に落ちました。我々俳優が声を当てるお仕事をするうえで一番怖いのは“本人の顔が浮かんでしまうこと”だと思うのですが、秋の声を聴いた瞬間『永瀬廉』の声ではなく『小野田秋』の声にしか聴こえなくて。僕が想像した以上に『秋』そのものだったので「すごい!」と思いましたし、今も思っています。廉の器用で素直な部分がでているお芝居だな、と。優太は、普段の前ちゃんとは全然違うキャラクターで…くすぐったくならなかった(笑)?

前田:そうですね(笑)。顔が映っていたら多分できなかったと思います。映らないからこそ振り切れたというか。

坂東:優太の声からも『前田拳太郎』を感じる部分がなくて本当に素敵で、「僕も頑張らないと」と、正直めちゃくちゃ焦りました。

前田:ありがとうございます。僕はアフレコに入る前、オーディションの段階から「優太はどんな感じのキャラクターなんだろう」と、自分の中でたくさん想像をしていたのですが、3人で揃ってアフレコをした瞬間に「あ、これが正解だ」と、確信したんです。僕の想像を2人が超えてきたので、僕も正直焦りました(笑)。秋はとてもふり幅が大きい役で、普段の秋と感情を出すシーンの差がすごくある中で、そのふり幅を完ペキに表現しきって作品を引っ張っていってくれましたし、諒は龍汰くんだからこそ出せる“3人をまとめる雰囲気”を作ってくれたと思います。僕はそんな2人のお芝居がとても好きです。

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表情も動きも見えないからこそ、
〈声〉の温度、色、質感で伝えきる

LANDOER:俳優として活躍されている皆さんだからこそ感じる、声で演じることの難しさや、普段の表現との違いはありましたか?

永瀬:僕はそこまで変わらなかったです。ただ、“振り向いた時に声を出す”など、俳優としてのお芝居の時には絶対にないような表現がアニメの世界では必要になるので、そこには多少の難しさを感じながらも、普段のお芝居との違いを楽しんで演じさせていただきました。基本的に3人でのアフレコが多く、和気あいあいとした環境でお芝居ができて良かったです。

坂東:僕は脚本をいただいてからの作業の流れは、俳優のお仕事の時と変わらずだったのですが、声優のお仕事が初めてだったので不安要素は多かったです。「この場面どうなるのかな?」「僕の声がどういうふうについてくるのかな?」と、脚本を読みながら想像していました。実際にアフレコがはじまり、諒というキャラクターについて長井(長井龍雪)監督から細かな演出を受け「監督のOKに委ねていいんだ」と思えてからは、その不安がかなり楽になったのを覚えています。ここまで自分の〈声〉に向き合うことがとても新鮮だったので、録り終わった今、自分の〈声〉と向き合った経験が俳優の芝居にも活かされているように感じます。

前田:普段のお芝居と違って、声だけで表情や動きまで表現をしなければならなかったので、いつもの1.7割増しくらいで感情を表現するようにしていました。自分では「このぐらいの表現がしたい」と思っていても、いざやってみると伝わりきらない部分もあったりして。そこは自分が演じる芝居と声の芝居の大きく違う部分だと思います。あとは、優太のビジュアルが僕とはかなり違ったので、彼の可愛らしさをどんな声で表現するかはとても考えました。

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マイクに近づきすぎ!な永瀬
暴れん坊な坂東
優太がどこかへ行っちゃった前田
アフレコブースで起きた愉快な事件簿

LANDOER:アフレコ時のエピソードはありますか?

永瀬:僕、なぜかアフレコ中にどんどんマイクに近づいていってしまうんです。監督から「近すぎる」と注意を受けただけでなく、坂東くんからも注意を受けはじめて(笑)。

坂東:それだけ気持ちがのっかっている証拠だと思うので良いことなんですよ。ただ、何回言っても直らないんですよ(笑)!

永瀬:マイクとの距離が割とあったので、自分の声がちゃんとのっているか分からない不安もあったのかも。歌のレコーディングの時は、マイク前のあみあみに唇がつくぐらいのところで歌っているから。

坂東:ここで歌うと気持ちよく声が入る距離があるんだね。

永瀬:そうそう。だからあみあみを見ると近づきたくなっちゃうんだよ(笑)。網戸とかにも結構やっちゃうんだよねぇ。

坂東・前田:あはは(笑)。

坂東:前ちゃんは、一度優太が抜けちゃった日があったよね(笑)。

前田:ありましたね(笑)。アフレコのスケジュールが少し空いていた期間に他の役を演じていたこともあって、マイク前に立った瞬間「優太ってどんな声だっけ?」と分からなくなってしまって。あの時はお待たせしてしまってすみませんでした!

坂東:全然!楽しかったよね。「優太どっか行っちゃったよー、戻ってこーい」って(笑)。僕はアフレコ中に大暴れしてしまって、マイクにいろんな音が入ることが多々ありました(笑)。

前田:普通に生のガサガサ音が聴こえてくるんだよね(笑)。

永瀬:マイクに近づくほうがマシだからね(笑)?

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大切がゆえに卑屈になったり、ぶつかったり―···
タイプも個性も違うけれど、
「ずっ友」の関係性に説得力を感じる3人

LANDOER:秋、諒、優太、3人の関係性の好きなところ、ご自身の役から見た2人の存在について教えてください。

永瀬:秋にとって2人は小さい頃からずっと一緒にいる“幼なじみ”という大切な存在。口下手ゆえ言葉には出さないけれど、秋の行動や2人に対する態度などから「諒と優太のことが本当に大好きで大切なんだな」と、彼の気持ちが垣間見える瞬間がところどころにあって。東京へ舞台が移ってからは、青春の延長線上のような憧れの共同生活を送っている3人がとても羨ましかったです。頼れる諒、場を和ませて明るくしてくれる優太、そして口下手な秋個性はまったく違うけれど「この3人は本当に仲が良いんだな」という説得力を感じられる関係性がすごいと思いました。

坂東:僕、生きていくうえで〈友達〉って本当に大事だと思っているんです。そんなかけがえのない関係性をこの3人が続けていて、どうして3人でずっと一緒にいられるのか、諒を演じることになり3人の在り方についてずっと考えていました。客観的に見ると、秋も優太も割と面倒くさい2人だと思うんですよ(笑)。でも、諒を演じながら「3人はずっと一緒にいる」という彼の自信を常に感じていましたし、諒にとっての秋と優太の大切さもひしひしと感じていました。人間、歳を重ねていくごとに新しい出会いがあったり、前の友達関係が途切れる瞬間があったりして、人間関係がどんどん変わっていくと思うんです。この3人にはそれがない気がして。軽く聞こえてしまうかもしれないのですが、「ずっ友」みたいな…(笑)。

永瀬・前田:軽いねぇ(笑)。

坂東:あはは(笑)。でも、何か分かるでしょ?「ずっとこの人とは一生友達でいるな」と思う人って、本当に限られていると思うから。諒にとっては2人がそういう存在なんだと思います。

前田:優太は秋と諒が大好きで、2人に対してとてもリスペクトをもっているのですが、同時にコンプレックスを感じて卑屈気味になってしまう一面もあって。でもそれは2人のことを心から想っているがゆえ。そういった“お互いがお互いを尊重し合っている関係性”ってすごく良いな、と思っていました。僕自身、仲の良い友達とお互いの仕事をリスペクトし合って高め合いながら頑張っているところがあるので、3人の関係性を自分と照らし合わせたりもして。やっぱり「ずっ友」だな~って(笑)!

坂東:おい(笑)!

映画『ふれる。』

相手への想像力、必要な本音の時間、
大切なのは「伝えることをさぼらない」意思

LANDOER:本作では≪コミュニケーション≫について、細やかな表現が成されていますが、皆さんがコミュニケーションをとる時に大切にしていることはありますか?

永瀬:相手が今どういう気持ちで、どういったことを考えているかを想像しながらコミュニケーションをとることですかね。それが当たっている当たっていないは別として、相手の「これを言いたい」「これを言って欲しい」を自分なりに想像して、気遣いながら話している部分はあると思います。

坂東:僕はクリエイティブな場面においては本音で会話することを心がけています。僕らの仕事は何も言わなくてもお芝居をすることで生まれるものもあるのですが、その一歩手前でお互いの演技プランや気持ちのすり合わせができていたほうが、さらに上のレベルに撮影シーンをもっていけると思うんです。現場では常に自分が思っていること、相手が思っていることを交換できる状態を保っておきたいな、と。

前田:最近『ふれる。』も含めて、コミュニケーションについて考える機会が増えたのですが、僕はどちらかというと自分の気持ちを伝えることをさぼりがちなほうで…。悩みごとや「嫌だな」と思うようなことがあっても、伝えることで関係性が変わってしまうことが怖くて、自分の中ですべて消化するタイプだったんです。でもやっぱりこの作品を通して「自分の気持ちを伝えることってすごく大事だ」と思えましたし、「伝えることをさぼらないようにしよう」と、最近すごく意識しています。本当はこういう時ももっと自分からいければいいんですけど…、永瀬くんと坂東くんがたくさん話しかけてくださるので、甘えちゃうんです。

坂東:それはそれで素敵だと思う。そういう奥ゆかしさみたいなものをもって現場にいられる人ってカッコいいと思うし。

永瀬:だって坂東くん、2分話さなかったら呼吸できなくなるでしょ(笑)?

坂東:そう。僕、泳いでいないと生きていけないマグロと一緒って言われたこともある(笑)。

映画『ふれる。』

すべてが言葉にならないのが人間。
カタチにならない気持ちのグラデーションを
〈声〉の芝居に宿して

小野田 秋
CV.永瀬 廉(King & Prince)

秋はそれまでの3人の生活から、樹里・奈南が加わった5人での生活になって確実に変わります。それまでの秋は変わることのない3人の世界で、変わるキッカケも特になく生きてきたのですが、彼の世界に新たな2人がプラスされたことで、今まで経験してこなかった気持ちになり、世界が広がりはじめるんです。それに比例するように、物語の前半に比べて後半は自分の気持ちに対してのセリフ量がかなり増えていて。そういった秋の変化は、彼にとっても作品にとっても大事な変化だと感じていたので、観てくださる方にも伝わるよう大切にお芝居させていただきました。

祖父江 諒
CV.坂東龍汰

諒は一見「元気で明るい体育会系」というイメージだからこそ、物語が進むにつれて加速していく〈疾走感〉に対してワクワクを感じていたいと思っていました。思わず身体が動いてしまうほど、生き生きとしていてほしいな、と。一方で、怒ったり、2人を客観的に見ていたりする一面に関しては、前者との色の違いをしっかりと出して、シーンによってお芝居に変化をつけることを意識しながら演じさせていただきました。一人の人間だけれど一人の人間に見えないよう、広い幅を楽しく表現させていただいたので、その変化を感じていただけたら嬉しいです。

井ノ原優太
CV.前田拳太郎

永瀬くんも言っていたように、本作は前半パートと後半パートで各々が変化していく物語。それは優太に関しても同じで、前半と後半の変化の意識づけは考えながら演じていました。優太を演じている中で、秋と諒に対する憧れ自分に対するコンプレックスを感じる場面も多かったので、彼が抱えてきたその想いを、“3人の世界が変わるにつれて表出しはじめる優太の変化”に結びつけながらお芝居することを意識して演じさせていただきました。

映画『ふれる。』

永瀬廉(King & Prince)

ながせ れん

1月23日生まれ。
宿した強さを〈指針〉に人間味を〈やさしさ〉に変え、
ふれる心に多彩な感動を蒔いてゆくDOER

映画『ふれる。』

坂東龍汰

ばんどう りょうた

5月24日生まれ。
ふれる人をまっすぐに理解し、美しい言葉で彩る
「彼がいる」という安心感が周りの心温を高くするDOER

映画『ふれる。』

前田拳太郎

まえだ けんたろう

9月6日生まれ。
自身が放つ繊細な〈声〉にふれる姿勢が、
他者、役が発する「繊細さ」をあたたかく救い出してゆくDOER

映画『ふれる。』

映画『ふれる。』
2024年10月4日(金)より全国公開

出演:永瀬廉 坂東龍汰 前田拳太郎
   白石晴香 石見舞菜香
   皆川猿時 津田健次郎
監督:長井龍雪 脚本:岡田麿里
キャラクターデザイン・総作画監督:田中将賀
主題歌:「モノトーン」YOASOBI(Echoes/Sony Music Entertainment(Japan)Inc.)
配給:東宝 アニプレックス
制作幹事:アニプレックス STORY inc.
製作:「ふれる。」制作委員会

Staff Credit
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:Mo.et