映画『バトルキング!!
-We’ll rise again-』
これは〝彼らの物語〟
そして、〝俺らの物語〟
「言葉がなくても分かり合える」今回のインタビューで形を変えて幾度となく出てきた言葉。「運命的な〈絆〉があるから」そう言ってしまえば簡単なこと。けれど、”運命”ひとつでは〈絆〉は生まれも続きもしない。運命的に出逢った彼らが、泣いて怒って笑って抱き合い、互いに努力をしながら〈絆〉を築き、今ここにいる。だから、”運命”を信じられる。あの日の思い出と目指している未来を胸に、エンターテインメントの世界でバトルし続ける5人のキングに、役柄から〈絆〉のお話までたっぷりと伺いました。
映画『バトルキング!! -We’ll rise again-』
-Story-
「夢に向かって本気になるなんてバカらしい…」と仲間たちとクラブへ入り浸り、喧嘩に明け暮れていた源二郎(山下永玖)は、ひょんなことから全国でも知られている名門アートスクールに侵入して設備を破壊する事件を起こしてしまう。校長の計らいで校内の清掃活動をすることで許されることになる。そこで出会った、ダンスに打ち込む少女、可乃(櫻愛里紗)。源二郎は可乃の誘いで、HIP HOPのDUETダンスの練習相手を務めることになり、「本気で打ち込みたい!」と思い始めていた。そんな時、源二郎たちと対立する山縣虎太郎(森愁斗)との抗争が勃発!仲間たちの危機に自分の想いを抑え、戦いへ向かう源二郎。ようやく夢を見出した源二郎、そして仲間たちの運命は…
-高坂源二郎/山下永玖-
特に生きがいもなく、日々ヤンキー仲間とつるみ喧嘩に明け暮れる。小学生時代はダンスを習っていた。中学では直江愛之助・甲斐玄武とともにストリートダンスをしていた。ダンスの才能はある。
-直江愛之助/高尾颯斗-
源二郎の親友。源二郎・甲斐とともに中学時代にストリートダンスをしていた。現在は喧嘩に明け暮れるヤンキー。弟の龍之介のことをいつも気遣っている。
-南部美人/小川史記-
源二郎グループの先輩。地元ダンスクラブのオーナーで、源二郎グループの居場所になっている。何かと世話を焼き、源二郎達を応援する。
-直江龍之介/高尾楓弥-
愛之助の弟。兄の愛之助と共に源二郎たちヤンキー仲間とつるんでいる。ワルの道に憧れているが、兄・愛之助にいつも守られている。
-山縣虎太郎/森愁斗-
ヤクザともつながりのあるヤンキーも恐れるヤンキー。基本的にタイマンはやらず、いつも舎弟を引き連れているが喧嘩は強い。
今回、キャスティングは
どのように決まったのでしょうか?
高尾颯斗(以下、颯斗):もともとざっくりとした台本ができていて、その台本をもとに監督自身にご指導いただきながらワークショップを行ったんです。その時間を通して、監督が僕ら自身の性格や持っているものを見抜いてくださり、役をつけてくれました。
自分の役を聞いた時、
率直にどう感じられましたか?
小川史記(以下、史記):僕は正直、最初から「南部しかないだろうな」と思っていたんです(笑)。南部役に決まった時は、嬉しさと同時にヤンキー集団をまとめる難しさを考えました。きっと南部って、あの中でダントツに強くてヤバい人だと思うんです(笑)。普段優しい分、声や表情の変化だけでヤンキー集団を帰らせるのは、演じるうえで一番難しかったですし、試行錯誤しました。
高尾楓弥(以下、楓弥):僕も、最初から「この作品の中に入るとしたら、龍之介だろうな」と思っていました。完成した台本を拝見して、自分の役を知った時に「あぁ、良かった」と安心したのを覚えています。ただ、その時は兄役が誰になるのか分かっていなかったんです。「誰になるのかな」と思ったら、お兄ちゃん(颯斗)だったので「マジか!」と思いましたね(笑)。龍之介は台本を読めば読むほど自分と近いところが多かったので、素直に嬉しかったです。
森愁斗(以下、愁斗):僕は逆に「この役がいいな」というより、「来た役を全うしよう」という気持ちが強かったです。虎太郎は『バトルキング』の中で一番喧嘩が強い役だったのですが、監督が「難しいと思うけれど、一緒に作りあげていこう」と寄り添ってくださって。役作りとして、筋肉をつけて少し増量した状態で撮影に臨みました。
颯斗:台本をいただいた時、台本上にある“兄弟”を「本当の兄弟ではやらないだろうな」と思っていたので、愛之助・龍之介に僕ら兄弟がハマるとは思っていなかったんです。ただ、監督が「兄弟役をどうしようか悩んだけれど、やっぱり2人が演じる兄弟が見たい」とおっしゃってくださって。「じゃあ、もうやるしかないじゃん!」と(笑)。本当の兄弟で兄弟役としてお芝居できるなんてこの先ないかもしれないので、「全力でやろうな」と2人で決意しました。
山下永玖(以下、永玖):自分が源二郎を演じることになった時は驚いたのですが、台本の中に「バク転をする」とか「警官からアクロバティックに逃げる」というト書きがあったので、「もしかしたら僕になるかも…?」という気持ちはほんの少しあって(笑)。監督に呼ばれて、源二郎を演じさせていただくことを知った時は、今作のメインのキャラクターということもあり、正直プレッシャーも大きかったです。ただ「役をいただいたからには、しっかりやりきるぞ」という想いもあったので、そこからヤンキー映画などを研究するようにしました。ONE N’ ONLYのメンバーとの撮影シーンは楽しかったのですが、一人のシーンはやっぱり心細かったですね。源二郎の居場所がなくなってしまう場面に関しては、本当に悲しくなってしまいました。
直江兄弟 × 高尾兄弟
颯斗:実際の兄弟と違う部分があったので、愛之助としては役として龍之介に接することを意識していました。
LANDOER:作中に描かれている兄弟像では、龍之介が兄・愛之助を慕ってついていっていますが、実際の高尾兄弟はいかがですか?
楓弥:そうですね…そうですね、そうですね…
史記:下手くそか(笑)!
楓弥:あはは(笑)。そうですね、僕は龍之介と同じで兄に憧れを持っているので、そこは共通点でした。
颯斗:僕は普段よりも素直に愛を伝えられた気がします。実際の僕は愛之助ほど素直ではないので(笑)。台本を見ながら「いいお兄ちゃんだな」と思っていました(笑)。
ダンスとパフォーマンスで〈絆〉を深めてゆく今作。
実際にグループで
アーティスト活動をしている皆さんが
「あの時〈絆〉が深まったな」と、
印象づいている思い出はありますか?
史記:やっぱり一緒に何かを作ったり、汗をかいたりすると距離も〈絆〉も深まると感じます。そういった意味でも、毎回みんなでライブに向かっていく時間はすごく大事。僕と楓弥は一緒に振付を作っているのですが、作り始めた当時は距離感がめちゃくちゃ遠かったんです(笑)。僕は後輩に対して気を遣うし、楓弥は楓弥で先輩に対して気を遣うし、みたいな。それを重ねていくにつれて、今はすごく良い関係になれたと感じています。
LANDOER:以前、BUDDiiSさんをご取材させていただいた時に、お互いがすごく信頼し合っているのだと感じました。
史記:そうですね。今ではお互いに、何が得意でどこを任せればいいのかが分かっていますし、言葉を交わさずとも、その時々の役割を感じ取ることができるようになりました。その一方で、愁斗とはプライベートの時間にめちゃくちゃ一緒にいるんです。出会った当時に比べたら、信じられないほど仲良くなれて本当に嬉しいですね。
愁斗:本当に一緒にいるよね(笑)。僕は、ライブひとつで達成感も一体感も生まれると思いますし、メンバーとだけでなくファンの皆さんとの〈絆〉も深まると思っています。そのうえでメンバーみんなとライブや制作関連の話だけでなく、プライベートでも仲良く話す機会が増えてきて。メンバー同士でいじり合ったり、楓弥を弟みたいに可愛がったり、どんどん関係が深まっていると感じています。「些細な日常でも、徐々に一体感を持つことができるんだな」と、思い返して嬉しい気持ちになりますね。
楓弥:BUDDiiS最初のお披露目ライブって、ONE N’ ONLYのオープニングアクトだったんです。その時から考えると、愁斗が言ったように信じられないほどメンバー同士が仲良くなっているんですよ。今でもライブの回数分どんどん仲良くなっている気がします。兄との〈絆〉に関して言うと、よく2人でTikTokを撮影するのですが、何も言わなくても「今のいけた、いけなかった」がお互いに分かるんです。「できた!」という感覚が一致するのは〈絆〉があるからかな、と思います。
颯斗:何なら同じパジャマ着てるもんね(笑)。僕と永玖の〈絆〉で言うと、2人とも上京する前は、同じホテルの同じ部屋にずっと泊まっていたんです。その時間が長かったからか、何だか夫婦みたいな関係値になっちゃって(笑)。2人でいるけれど別に何も話さない、それが楽、みたいな。
楓弥:どっちが奥さん?
史記:そこ気になるなよ~(笑)。っていうか、どっちでもいいだろ(笑)!
颯斗:あはは(笑)。でも強いて言うなら僕が奥さんかな。「今日ご飯何食べてるんだろう」とか気になっちゃうし(笑)。
永玖:確かにあのホテルの期間で〈絆〉が深まったのはありますね。1週間ぐらいずっと同じホテルで、同じ時間に仕事に行って、終わったら帰って来て…と、24時間ほとんど一緒にいるんですよ。そうするとだんだん考えることやイメージすることが似てくるんです(笑)。「心で通じ合っているんだな」というのを感じるタイミングが颯斗とは多い気がします。
颯斗:ひとつだけ「どうかしてる」と思ったエピソードがあるんですけど、夏に「カブトムシ捕まえてくるわ!」と言い出して、メスのカブトムシを連れて帰って来て、ホテルの部屋に放ったんです。
愁斗:うわ~やだ(笑)。
颯斗:その時だけはさすがに「どうかしてるだろ!」と思いました(笑)。
永玖:颯斗、めちゃくちゃ虫が嫌いなので、脅かしたくなっちゃうんですよね(笑)。
史記:確かにそれはどうかしてるわ…(笑)。
映画『バトルキング!! -We’ll rase again-』
2023年3月10日(金)全国ロードショー
出演:ONE N’ ONLY/山下永玖 高尾颯斗 草川直弥 上村謙信 関 哲汰 沢村 玲
櫻愛里紗 / 小川史記 高尾楓弥 森 愁斗 岡本聖哉 西田 祥 大槻拓也
野瀬勇馬 岩尾春輝 / 武藤潤 曽野舜太 ほか
監督:瀧川元気
脚本:福谷圭祐
Staff Credit
カメラマン:作永裕範
ヘアメイク:【ONE N’ ONLY】NOBU(HAPP’S.)、 【BUDDiiS】KANANE・MIKU(PUNCH)
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:古里さおり