【古川雄輝】ドラマ『ねこ物件』「この家の主は、猫」なシェアハウスの愉快で賑やかな内見にお越しください

古川雄輝

ドラマ『ねこ物件』
「この家の主は、猫」なシェアハウスの
愉快で賑やかな内見にお越しください

まろやかな陽射しが注げば縁側で目を閉じ、ちょっと疲れたらひと休み。遊びたい時には思いっきり「遊ぼう」と甘えてみる。猫たちは自分の声に敏感で素直だ。私が最後に彼らのように自分の声を聞いたのはいつだろう?最後に「休もう」と足を止め、「遊ぼう」と無邪気に笑ったのは?一体いつから、聞こえてくる無数の声に自分の声がかき消されてしまうようになったのか。静かで温かい“ねこ物件”で小さく必死な自分の声に耳を澄ませた時、優しい明日がきらりと光った気がしました。

ドラマ『ねこ物件』

ドラマ『ねこ物件』

-STORY-

二星優斗(古川雄輝)は30歳。両親を幼い頃に事故で亡くし、大きな日本家屋に祖父・幸三(竜雷太)と2人で暮らしている。これまで働きに出たことはない。不動産業で生計が立ち、病床の幸三と、一緒に暮らす2匹の猫、クロとチャーの世話だけをしてきた。そんなある日、幸三が脳梗塞で突然他界してしまう。最愛の祖父を失い、残された優斗と猫と一軒家…。葬儀の弔問客のなかに、四つ葉不動産の広瀬有美(長井短)がいた。幸三から不動産の管理を任されていると言う。さらに相続税を支払うためにほとんどの不動産を手放すことになること。収入がないなら家を改築して猫と暮らすシェアハウスにすることを提案される。しかし、優斗にとって猫たちは家族。入居者と猫は共棲出来るのか…。そもそも優斗が他人と一緒に暮らすことなど出来るのか…。優斗が出した結論は、シェアハウスに改築するが、うちの猫が気に入らない人は入居させない猫審査を加えること。女性と暮らしたことがない為、男性限定にすることだった。こうして完成した★★(二星)ハイツ。しかし、入居希望者の面接で次々と落としてしまう。そこに新たな入居希望者、立花修(細田佳央太)が現れた―。優斗の新たな人生が始まる!?

-二星優斗(ふたぼしゆうと)-

幼少期から猫と共に暮らしており、大の猫好き。猫への愛情は祖父譲り。人付き合いが苦手だがひょんなことから猫付きシェアハウスのオーナーになる。

古川雄輝

『ねこ物件』 × 古川雄輝

いままでも「麻雀が好きです」と言ったら麻雀に関する役がきたり、「犯人役をやってみたい」と言ったら犯人役ができたり、割とやりたい役を演じさせていただいてきたんです。ただ猫好きに関しては、猫の取材や番組には出演させていただいていたものの、作品はなかなか決まらなくて。今回、作品が決まっただけでなく主役もやらせていただけると聞いて、シンプルに嬉しかったですね。

猫好きの古川さんが思う、
猫たちの魅力的なところを教えてください。

人間って「あの人いいな~」や「あの人みたいな生活がしたいな」など、誰かに憧れを抱いたり自分を他人と比べたりするけれど、猫ってそれが一切ないんですよ。自分のやりたいように食べて寝て、みたいな。人間が「こんな風に生きられたら一番幸せだろうな」と思う生き方をしているのが猫なんです。自由気ままな彼らの在り方がとても魅力的なので、生まれ変わったら猫になりたいな、と思います(笑)。

確かに素敵な生き方ですよね。
では、現場の猫たちから感じたことはありましたか?

今回ドラマに出演している猫のうち、クロちゃん以外は飼い主さんのいる家猫だったので、他の作品と違って素人の猫たちがお芝居をしていたんです。その分撮影は大変だったんですけれど、トレーニングを受けていないからこそのリアルさがあって素晴らしいと感じましたね。

古川雄輝

プロの猫と素人の猫だと
どういったところに違いがあるんですか?

プロの子だと「待て」と言ったら待つことができたり、以前2回ほど共演したことのある猫は決まった場所で止まった後に「カラン」と音がしたらゲージに戻ったりすることができるんです。要は撮影に沿って動いてくれるんですよ。それに比べて、素人の猫は当然行きたいところに行ってしまうので、こちらの思い通りに動くことはなくて。『ねこ物件』の現場は猫に合わせて撮影をしていく形が主になっていました。

まさに作品のキャッチコピーでもある
「この家の主は、猫」そのものですね(笑)。

そうですね(笑)。最初は猫たちが撮影場所の家に慣れていないこともあり暴れてしまって。時間が経ち、現場に慣れ始めてからは人がたくさんいても寝てくれるようになったので「(猫たちが)寝ている間に撮っちゃおう!」と撮影を進められるようになっていきました。撮影現場の古民家がものすごく寒かった上に、撮影時間も朝から夜までという割と過酷なスケジュールだったのですが、スタッフもキャストも猫たちに触ったり、話しかけたりして癒しを得ていたのが印象的でしたね。

猫の癒しパワーに救われていたんですね(笑)。
ちなみに大変だったエピソードはありますか?

素人の猫のほうが多い現場だったので、こちらの言うことを聞いてくれるわけではなく、猫たちが何かするまで待ち続ける現場だったんです。待った結果、何かをしてくれたらいいんですけど、出来なかった場合は一旦猫たちのシーンを飛ばしてキャストの芝居のシーンを先に撮るようにしていました。これをみんなで「猫借金」と呼んでいて(笑)。撮影も終盤になってくると、キャスト陣が来れない日に猫だけの撮影日を設けて猫借金の清算をしていたみたいです。

古川雄輝

猫借金(笑)!
猫に対する共通意識が現場で芽生えていたんですね。

そうですね。チームの中にも猫に慣れている人と慣れていない人がいたので、慣れている人が慣れていない人たちに猫のことをいろいろと教えて徐々に教育をしていく…という現場でした(笑)。キャストの中でも猫に慣れている人、慣れていない人が分かれていて、それこそ細田くん(細田佳央太)なんかは猫を抱っこしたこと自体なかったみたいで、最初は猫に身体を登られたりもしていて(笑)。あとは、猫の「この子は抱っこされるのが得意」や「この子は座っているほうが好き」といった各々の性質を見ながら撮影を進めていましたね。

個性ある猫たちの中で
古川さんが「自分に似ているな」と思った
猫はいましたか?

似ているのはクロかな、と思います。クロは少し恥ずかしがり屋で人見知りなので、ソファーの端っこに頭をグッと入れて隠れちゃう子なんです(笑)。シーシーはチャーの息子で、まだ子供なので猫じゃらしで遊んでいれば元気でいてくれる子。似ているとは別になっちゃうんですけど、僕が一番好きなのはチャー。チャーは3匹の中で一番猫っぽくて自由気ままな子なんです。

先ほど仰っていた憧れの在り方なんですね。
今回の作品ではシェアハウスの住人たちが
紆余曲折しながらも

人との関わりを通して成長していきますが、
古川さんが対人関係で大切にしていることは
何かありますか?

自分は優斗と一緒で対人関係が非常に苦手なタイプなんです。もともと苦手なことは認識していたので、どうすればいいのか考えたり調べてみたりもしたんですけど、結果、苦手な人が人付き合いの上手い人の真似をしてもできないんですよね。なので、出来ているかは別として「ありがとう」と「ごめんなさい」と挨拶の3つを守ることは大切にしています。それさえ出来ていれば印象が悪くなることはないかな、と。シンプルだけれど、苦手なら苦手でこの3つだけは頑張ってやろうと意識していますね。

古川雄輝

確かに、その3つは必要不可欠な言葉ですよね。
今回の現場では共演者の皆さんといかがでしたか?

今回は僕が主役、且つ、みんな年下のキャストさんだったので僕から話しかけるようにしていました。「良い空気作りをしないと」と苦手ながらに頑張ってやっていましたね(笑)。結果、みんなと仲良くなることができたのでホッとしました。人に興味をもって質問をして、自分が会話の第一歩になることが、対人関係で大切なのだと改めて思える現場でしたね。あとはアドリブ大会でも距離が縮まった気がします。監督がなかなかカットをかけられない方だったんですけど、そうするとカット尻でアドリブ大会が始まるんですよ(笑)。共演者の長井さん(長井短)は本当にアドリブがお上手なアドリブ女王なので、長井さんに引っ張られて他のキャストたちもアドリブにノリ始めて(笑)。人見知りの細田くんと上村くん(上村海成)が初対面でいじりあったりしていて、明るく和気あいあいとした現場でした。

長井さんとシェアハウスの皆さんとの絡みを
最高に楽しく拝見していました(笑)。

この作品を通して長井さんの良さを本当に皆さんに知って欲しいんです(笑)!長井さんのアドリブって本当にすごいんですよ。第一話で優斗が長井さん演じる広瀬にLINEを教える件があったんですけど、台本には「ここでLINEを聞く」ぐらいしか書かれていなかったんです。優斗はLINEの使い方なんて分からない人ですから、広瀬にスマホを渡して操作してもらうんですよ。その時に広瀬が「あ、パスコード」と言って、優斗に一度スマホを返すんです。そこからはすべて長井さんのアドリブ。そのシーンでパスコードの流れをやっていたことによって、次の細田くんとのLINE交換のシーンでもその要素を入れて、次の入居者とのLINE交換の時はさらに成長した対応ができて…と、だんだんとLINEの使い方を学んでゆく優斗の成長過程を見ることの出来るシーンが完成したのですが、その一番初めのキッカケは長井さんのアドリブだったんですよ。実はものすごく上手に裏回しをしてくださっていたんですよね。長井さんと初めてご一緒して「魅力的な役者さんだな」と思っていたら、まさかの次の舞台も一緒で。またご一緒できるのがとても嬉しくて楽しみです。

古川雄輝

舞台となるとまた違ったセッションが
出来そうですね。

作品の舞台となっている“★★ハイツ”は
「夢を持つ人のためにあるハイツ」ですが、
古川さんが夢や目標を叶えるために
必要だと思っていることはありますか?

『踊る大捜査線』の「正しいことをしたければ、偉くなれ」というセリフをずっと信じているんです。自分の役者人生は劇場でお芝居をしたのがはじまりだったんですけど、その頃の自分がいくら「ドラマの主役をしたい」と思っても出来ないんですよね。何故なら偉くないから。“偉い”という表現が正しいのかは分からないけれど、ある程度役者として偉くなっていれば自然と主役の仕事が出来るようになる。だからこそ、主役を目標とするなら偉くなる必要がある、そんな風に思いながらこのセリフを大切に仕事をしてきました。これは役者に限らず当てはまることだと思いますね。

Dear LANDOER読者
about『ねこ物件』

まず第一は、可愛いニャンコたちがたくさん出てくるので、とにかくその可愛さを観て楽しんでいただきたいです。そして、今作は猫がメインの作品でありつつ、優斗の成長物語でもあるのでシェアハウスの住人たちと猫を通して成長していく彼の姿にも是非注目してください。

古川雄輝

古川雄輝(34)

ふるかわ ゆうき

1987年12月18日生まれ。
冷静で的確な考察力を持つ一方で、
〈好き〉に対する熱量が童心のまま無垢に輝くDOER

ドラマ『ねこ物件』

ドラマ『ねこ物件』
2022年4月よりテレビ神奈川、TOKYO MX、BS11ほかにて順次放送スタート

出演:古川雄輝
   細田佳央太  長井短 上村海成 本田剛文
   松大航也 竜雷太
監督・脚本:綾部真弥

詳しい放送日は公式HPをチェック

Staff Credit
カメラマン:YURIE PEPE
インタビュー・記事:満斗りょう
ページデザイン:吉田彩華