映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』
心で捉え、演じた13年後の日向
受け取った想いのバトンを、
スクリーンの向こうへ繋いでゆく
人は、いくつもの〈過去〉を重ねながら大人になっていく。美しい月を見上げた瞬間よみがえる大切な思い出も、あっという間に過ぎ去っていった、鮮明に思い出せない日々だって、すべての瞬間が、いまの自分を形づくるかけがえのない〈過去〉。そんな過去を抱きしめながら歩みを進め、私たちは成長を遂げてゆく。まさにいま、あなたが過ごしているこの瞬間も、未来のあなたへと続く〈過去〉のひとかけら。何もせずとも刻々と過ぎていく、でも確かに限りのあるこの時間の中で、あなたはどのように〈今〉を生きますか?
映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』

―余命半年と宣告された日、
生まれて初めてあなたに恋をした。―
2023年に刊行され、「令和イチ泣ける」と大きな反響を巻き起こした芥川なお氏のベストセラー小説「ストロベリームーン」がついに実写映画化された。『余命10年』(22)や『いま、会いにゆきます』(04)などの脚本を手がけてきた“ヒューマンドラマのレジェンド”岡田惠和と、『美しい彼〜eternal〜』(21)などで新進気鋭の若手実力派監督として注目を集める酒井麻衣がタッグを組み、新しいコラボレーションを生み出した。余命半年を宣告されながら、前向きに生きる主人公・桜井萌を演じるのは、NHK大河ドラマ「どうする家康」(23)、「ちはやふる-めぐり-」(25/NTV)でGP帯連続ドラマ初主演を飾るなど話題作への出演が続いている當真あみ。そんな萌が恋する佐藤日向に、映画『カラオケ行こ!』(24)で第48回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の賞に輝いた齋藤潤。そして杉野遥亮、中条あやみ、田中麗奈、ユースケ・サンタマリアなど人気と実力を兼ね備えた豪華役者陣が勢揃いした。数々のヒットソングを手がけてきたORANGE RANGEによる主題歌「トワノヒカリ」も、琴線に触れる一曲に仕上がり、物語の最後を清々しく、切なく鮮やかに彩っている。限られた時間の中、全力で恋をする萌と日向に胸が締め付けられるラブストーリーでありながら、自分らしく人生を駆け抜けた萌を見守る両親と友人たちの葛藤と優しさが胸に迫る、全世代の涙を誘うヒューマンドラマへと昇華した感動作。
儚い月の光のように、観る者の心を照らす珠玉の名作が誕生した。
-STORY-
子どもの頃から病弱で、家の中だけで過ごしてきた桜井萌。15歳の冬、余命半年と医師から宣告される。家族が悲しみに暮れるなか、高校に通うことを決意した萌は、同じクラスの佐藤日向に突然告白。恋人同士となって少しずつ距離を縮めていく2人は、萌の誕生日に“好きな人と一緒に見ると永遠に結ばれる”という満月「ストロベリームーン」を見に行く夢を叶える。しかしその日を境に、萌は音信不通となってしまう。萌が消えた理由とは。そして13年後に明かされる、萌の思いとは……。
-佐藤日向(13年後)-

高校の入学式の日に桜井萌から突然告白され、
付き合い始めた。
現在は家業の醤油屋を支えながら、小学校の教師をしている。
大人になった日向を演じられた杉野さんですが、
高校生時代の日向からバトンを受け取るうえで
特に意識されたことはありましたか?
自分から「こうしよう」「ああしよう」と意識してつくり込んだというよりは、「日向はきっと、こういう変化をしていくんだろうな」と感じ取りながら、役をつくっていきました。衣装など、酒井(酒井麻衣)監督がつくられた細部にわたるこだわりから、日向を捉えてゆくような感覚だったと思います。僕以上に作品全体を見据えている監督の意図を汲み取りながら、そのなかで自分が感じた日向を表現していきました。
青年期から大人へのつながりがとても自然で、
まったく違和感がありませんでした。
齋藤潤さん演じる
高校生時代の日向をご覧になってから、
撮影に入られたのでしょうか?
いえ、齋藤くんとは醤油工場のシーンでお会いして、「どんな方なのかな」とご本人の雰囲気を感じられる時間はあったのですが、撮影期間中にお会いできたのはその一度きりで。極論を言えば人は成長してゆくものなので、無理に寄せようという意識はなかったんです。結果的に、観てくださった方から「似ているね」「違和感なかったよ」とのお声をいただけて嬉しかったですし、安心しました。

先ほど、「衣装などから
監督のこだわりを受け取った」と
おっしゃっていましたが、
監督とはどのように日向を
形づくっていかれましたか?
衣装に関しては、衣装合わせの際に「こっちのほうが着心地が良い気がします」など、実際に着て感じたことをお伝えした気がします。監督は、“高校生の日向が乗っていた自転車を、大人になった日向も使っている”というように、13年という時間のあいだにさまざまな繋がりを散りばめられていて。僕はその繋がりをキャッチして、自分を寄せるイメージで進めていきました。
過去と未来が繋がる本作ならではの演出ですね。
大人になった日向を演じるにあたって、
萌の存在は意識されていましたか?
もちろん意識していました。日向の心の中に13年間ずっと萌の存在があるからこそ、この物語があり、僕演じる大人の日向が存在しているわけですから。「彼女に対して憧れがあるんだな」「彼女を指標にして生きてきたんだな」と、彼が『萌』という存在に出会ってどんな人生を歩んできたのか、考えを巡らせていました。

萌とともに過ごした時間、
そして会えなくなってからの時間は、
日向にどのような影響を与えたと思われますか?
萌に出会う前の日向は、どこか自分の中だけで完結しているようなところがあったのですが、萌と出会うことによって心を開き、自分の大切なものがわかるようになっていったと思うんです。しかし、そんな萌が突然目の前から消えてしまい、自分ひとりで生きていかなければならなくなってしまう。この年齢にしてはハードすぎる経験をした日向が、いまどのようにして生きているのかを自分なりに想像して演じていました。
辛い経験を超えて大人になった日向。
小学校の先生姿もとてもお似合いでした。
よかったです!自分でも「小学校の先生っぽいな」とは思っていました(笑)。ただ、「役づくりをしよう!」と特別な準備をしたわけではなく、演じているうちに自然と形づくられていった、という感覚です。13年間、誰かを心におきながら日常生活を送っている日向の気持ちを考えたときに、「意外と分からなくもないな」と思えたので、その共感を手掛かりに役へと寄せていきました。

プロデューサーの熱い想いに背中を押され、
本作への参加を決めた、とお聞きしました。
オファーの際、
どのようなお話があったのでしょうか?
最初にお話をいただいたときは、ちょうど主演ドラマ2作品の間のタイミングだったので落ち着きたいこともあり、「少しハードかな…」と考えていたんです。しかし、過去にご一緒したことのあるプロデューサーさんが何度もアタックしてくださって、「そこまで言ってくださるのであれば、その想いに感謝してやってみよう」という気持ちに変わりました。岡田(岡田惠和)さんの脚本を見てみたいという気持ちも後押しとなって、「自分が携わることで力を添えることができるのであれば、一生懸命やらせていただきます」とお答えしました。
はじめて岡田さんの脚本を読まれたとき、
どのような印象を持たれましたか?
「ちゃんとエネルギーがある脚本だな」と感じました。プロの脚本家さんからすると当たり前のことかもしれないのですが、演じる側にとって“エネルギーが伝わってくる脚本”というのは、とてもありがたくて。以前からあたたかくて素敵なドラマをつくられる脚本家さんだと思っていたので、今回ご一緒できて嬉しかったです。

酒井監督が描きだす映像美も、
本作の素敵なエッセンスになっていましたよね。
監督との現場はいかがでしたか?
酒井監督の中でしっかりと世界観が構築されていたので、あとはそこに自分がどれだけ寄り添い、意見を擦り合わせていけるかを大切にしていました。結果として、すごく良いものになったんじゃないかな、と思います。僕と同世代でありながら「自分のやりたいことはこうです」と明確なビジョンをもってらっしゃる素敵なクリエイターの方とご一緒できたことは、自分にとっても刺激になりました。
同年代のクリエイターさんが
どんどん増えてきていますよね。
いまはまだそれほど多くはないけれど、これからどんどん同世代の方が増えてきますよね。これまでは自分より年上の方とご一緒することが当たり前でしたが、30歳になって、年齢が近い方々とお仕事をする機会が増えてきたと実感しています。経験を重ねたからこそ、「先輩方はこういう角度でモノを見てきたんだな」と気づける瞬間もありますね。

Dear LANDOER読者
映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』
From 杉野遥亮
映画館は、日常では味わえない感覚や映像、音を全身で感じることのできる特別な空間だと思っています。いまはサブスクなどで簡単に映画を観られる時代ですが、やはりわざわざお金を払って映画館に足を運び、体感するからこその価値や意味があると思うんです。本作は映像も音楽も美しく、大きなスクリーン、映画館という場所だからこそ受け取れるピュアさや、心に届く奥ゆきがあると思っています。また、ストーリーが自然と心に入ってくる作品なので、「ちょっと観てみようかな」と感じてもらえる “入り口のやさしい映画”にもなっているはず。ぜひ、ご家族や友人、恋人など、大切な人と一緒に映画館で楽しんでいただけたら嬉しいです。


映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』
2025年10月17日(金)公開
出演:當真あみ 齋藤 潤/杉野遥亮 中条あやみ
池端杏慈 黒崎煌代 吉澤要人
伊藤健太郎 泉澤祐希
池津祥子 橋本じゅん
田中麗奈 ユースケ・サンタマリア
原作:芥川なお「ストロベリームーン」(すばる舎)
脚本:岡田惠和
監督:酒井麻衣
主題歌:ORANGE RANGE「トワノヒカリ」 (Sony Music Labels Inc.)
Staff Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:AZUMA(M-rep by MONDO artist-group)
インタビュー:満斗りょう
記事:Suzu、満斗りょう
ページデザイン:Mo.et