「宇宙でいちばん純粋」
国内最大規模の学生映画祭レポ
受け継がれてゆく実行委員たちの想い
2022
この映画祭のコンセプトは
「宇宙でいちばん純粋。」
伝えたいことを、どのように型づくり、
どのように彩るのか
悩みながら、もがきながら
必死で作った貴方だけの〈宇宙〉を
いちばん純粋な場所に映写して――
2022年8月20日(土)/21日(日)
『第33回東京学生映画祭』
@ユーロライブ(渋谷)
-東京学生映画祭とは-
東京学生映画祭とは「東学祭」の名で知られる、日本で最も長い歴史を持つ国内最大規模の学生映画祭。学生の製作した映像作品を全国から募集し、コンペティション形式でグランプリを決定する形式の映画祭で、学生ならではの自由な発想や感覚を大切にするため、学生のみでの企画・運営を行っているもの。学生映画と映画界全体の振興に貢献し、映画を志す学生と映画界の架け橋になっていくことを目的とした学生による学生のための映画の祭典。過去の出身者には『EUREKA』青山真治監督、『君に届け』熊澤尚人監督、『アヒルと鴨のコインロッカー』中村義洋監督、『君の膵臓を食べたい』月川翔監督、『ちはやふる』小泉徳宏監督、『溺れるナイフ』山戸結希監督をはじめ、現在の日本映画界の第一線で活躍する多くの才能を輩出している歴史ある映画祭。
「第33回東京学生映画祭」実行委員
DOER‘s Interview
『東京学生映画祭』の起源
東京学生映画祭企画委員会代表・上野桃歌(以下、上野):『東京学生映画祭』(東学祭)は、約30年前に早稲田大学の映像系のサークルによって作られた映画祭。当時はフィルムでの映画制作だったこともあり、学生が映画を作っても上映する機会が少なかったんだそうで。そこで、サークルの学生たちが自分たちの作品の上映機会を増やすために東学祭を立ち上げたと聞きました。その映画祭がインカレとなり、全国の学生からも映像作品を募集する映画祭になったそうです。
実行委員はどのように決められているんですか?
上野:SNSなどで募集をかけて「どの大学でもいいので実行委員に入りませんか?」と、実行委員を募集しています。私の場合はインターネットで「映画系、サークル」と検索して、この募集を見つけました。
東京学生映画祭企画委員会進行部・米丸翔一朗(以下、米丸):僕も最初は募集のサイトだったと思います。大学専用のサイトでサークルを検索した時に、この実行委員を見つけて「ここ面白そうだな」と。
将来的には映画系の仕事に携わりたくて
実行委員に応募を?
米丸:メンバーの中には芸大に通っている人たちもいるので、そちらの道にいく人もいるとは思うのですが、僕の場合は「映画が好きだから」という気持ちだけで入りました(笑)。芸術・美術系の大学ではなく、普通の大学に通っている映画好きなメンバーも意外と多いので、特に「映画業界に携わりたい!」という人でなくても、是非メンバーとして来て欲しいですね。
“観賞者”として映画が好きだった頃と
“映画祭実行委員”として映画に関わった後とでは、
〈映画〉というものに対して、
ご自身の中で変化はありましたか?
上野:私は実行委員2年目なので、昨年の本祭で学生監督の方とお話をさせていただいたり、ゲストの方とお話をさせていただいたりして、映画制作と映画業界のイメージがすごく変わりました。それまでは「映画が好き」くらいにしか思っていなかったのですが、映画を生業としてご飯を食べていく難しさ、映画界で生き残っていく厳しさを感じるようになりましたね。学生監督の方の「撮りたくても撮れない現状」みたいなものも浮き彫りに見えてきましたし。その上で「私には何ができるんだろう」と考えるようになって。「小さくてもいいから、何かサポートしたい」というような気持ちが高まったのは大きな変化だと思います。
米丸:僕も、学生監督の方と触れ合う中で考え方が変わりました。特に変わったと感じるのは“映画作品の観方”。東学祭に関わるまでは、割と商業的な映画ばかりを観てきていたのですが、東学祭に入ったことでインディーズ映画も観るようになりましたし、理解が難しい内容の作品も自分から「この作品を通して、制作者は何を伝えたいのだろう」と寄って考えていくようになりました。
学生監督の方や実行委員との関わりの中で
印象に残っていること、
意識していることはありますか?
米丸:とある学生監督の方とのエピソードなのですが、その監督の作品は最終選考までいかなかったんです。ただ、僕は個人的にその作品にものすごく感動して。その感動を伝えるために、監督に熱意を込めてメールを書いて送ったんですよ。そうしたら「この映画祭に出展して本当に良かった、この作品を作って良かった」とお返事をいただいて。僕としてはその言葉がすごく嬉しくて印象に残っています。
上野:私は「学生監督の皆さんをどうサポートできるのか」を探している最中なので、東学祭の実行委員の代表として意識していることになってしまうのですが、ここにいる実行委員一人ひとり、そしてこの映画祭に参加してくださる学生監督の方が、とにかく楽しんでくれたらいいな、と思って活動しています。
実行委員から
“未来の監督たち”へのMessage
上野:とりあえず、悩んでいるのなら応募して欲しいと思います。作品を作っている間って、どうしても自分の世界に入り込んでしまってクローズの状態になると思うんです。ただ、誰かに観てもらうことで、変わることや感じることが必ずあると思っていて。「クオリティの高いモノにしなきゃ」と考えなくてもいいので、作ったらとにかく人に見せて欲しい。私は今年で実行委員を卒業しますが、是非、バトンを託す来年の実行委員に皆さんの作品を見せてください!
米丸:確約はできないのですが、先ほどお話したように、委員会の人間からメッセージが届くことがあるかもしれません。というのも、僕だけでなく、他の実行委員も影響を受けた作品の監督にメールを送ったりしているんです。そういったメッセージが、学生監督の方の「作って良かったな」や「次はこうしよう」という想いに繋がっているのを実際に見てきたので、ためらわずに作品を送っていただきたいと思います。来年の映画祭、皆さんの作品をお待ちしております!
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