

看護師
下田 理絵
平成15年3月 日本赤十字武蔵野短期大学 看護科卒(看護師免許取得)
平成19年3月 日本赤十字武蔵野短期大学 地域看護学科卒(保健師免許取得)

看護師の制服
動きやすい服装
看護師の仕事
看護師として保育園で働き、子どもたちや先生、働いている職員の健康を管理する仕事をしています。毎日の体調をチェックし、病気で休んでいる子がいる場合は、どんな症状が出ているのか、何日くらい続いているか、病院ではどんな診断を受けたのかなどを、保護者の方と連絡を取りながら確認しています。
また、もし先生方が体調を崩してしまうと保育ができなくなり、子どもたちや保護者の方も困ってしまうため、大人の体調管理も重要な仕事です。大人はつい無理をしてしまい、「具合が悪い」と言い出しづらかったりするので、少しでも普段と様子が違うと感じたら声をかけるようにしています。子どもも大人も、保育園に関わる全員が元気で過ごせるようにサポートすることが、私の仕事です。
なぜ保育園に看護師…?
看護師が『保育園』という場所に必要なのは、感染症の流行がいちばん怖いから。とくに、この保育園はワンフロアで全体を見渡せるつくりになっていて、教室ごとの壁がありません。そのため、ひとたび感染症が流行り出すと、クラスを超えて広がってしまうんです。そこで「どのクラスで何人くらい感染しているのか」、「ご家族の中に感染している方がいないか」など細かく聞き取りを行いながら、職員とも連携をとり、健康に細心の注意を払っています。
この保育園に勤めている看護師は私一人で、そもそも保育園に看護師がいること自体、まだあまり知られていません。「病院ではなく、どうして保育園に看護師がいるの?」と聞かれることもあります。ただ、ここ数年で少しずつ広がってきていて、「保育園に看護師さんがいるなら、安心して子どもを預けられますね」と言っていただけることも増えてきました。

下田さんが看護師として
保育園で働くまで
もともと看護師として、総合病院に3年間勤めていました。その後、学校に通って保健師の資格を取得し、そのタイミングで結婚。保健師としては働かず、しばらく子育てに専念していました。子どもが3歳になり、仕事への復帰を考え始めたころ、古くからの知り合いである園の理事長から「保育園の看護師を探しているのだけれど、やってみない?」と声をかけていただき、保育園で働き始めました。以来、14年間この保育園で働いています
「治す」だけではなく
「守る」サポートを
保健師の資格をとろうと思ったきっかけは、「治療」だけではなく健康を「守る」サポートをしたいと思ったからです。病院では大人や高齢の方を担当していたのですが、やっと退院できたと思った患者さんが、数日後にまた体調を崩して戻ってきてしまうケースが多くて。病院がどれだけ治療をしても、お家や地域でのサポートが整っていなければ健康を保つことが難しいのだと気づいたんです。そんなときに、健康な方のケアにも関わりながら、地域で医療が必要になった際にトータルでサポートできる保健師さんになりたいと思い、学校に通って資格を取りました。
結果として、保健師としてではなく、看護師として保育園で働くことに。最初は私も「保育園に看護師なんているの?」と思っていたのですが、蓋を開けてみると、まさしく私がやりたかった「健康を守る」ことにピッタリなお仕事でした。子育ての経験も、保健師の資格も、どちらもいまの仕事に生きてきていると思います。

看護師の勤務の流れ
朝出勤したら、まず子どもたちが揃っているか、病気で休んでいる子がいないかを確認します。その後、各クラスを周ると、「おうちで怪我しちゃったんです」「お腹を壊しちゃったんです」と職員や子どもたちが報告しにきてくれることがあるので、その様子をみたり、連絡帳などで親御さんとの伝達事項を遡ったりしながら、「大丈夫そうだね」「こうして注意していきましょう」と担任の先生にお伝えしていきます。また、この季節は空気清浄機や加湿器なども四六時中稼働しているので、機器や施設の点検、清掃など、衛生面や環境面の整備もします。さらに、うちの園では1ヶ月に一回、身長と体重の測定をするため、約100名のお子さんを順番に測定することも大きな業務の一つです。
そのほかの業務は、子どもたちや職員の健康状態によって臨機応変に対応していきます。保育中に怪我をしてしまった子がいたら傷の様子をみたり、熱を出してしまった子がいたら具合を観察して親御さんと連絡をとったり。大きな怪我をしてしまったときには、お子さんを病院に連れていくなどのイレギュラーな対応をすることもあります。こうした緊急時には忙しくなりますが、私のお仕事が暇になるくらい、みんなが元気でいてくれることが一番ですね!
下田さんの働き方
私は、パートで働いています。子どもたちが家に帰る頃には、私も家にいてあげられるような働き方を選びたかったんです。お給料の面では他の看護師さんや保育士さんよりはやや落ち着くかもしれませんが、おかげで家庭を優先して働くことができています。
この園のとても良いところは、家庭ファーストなところ。「(自分の)子どもが第一であってほしい」というのが園長先生の考えなので、結婚や妊娠をしている若い先生たちも働きやすい環境になっています。私自身も、下の子の出産・育児のときには一年間お休みをもらうなど、柔軟に対応していただきました。また、職員の子どもが急に熱を出してしまったときなども、職員同士でカバーしあっています。「お互い様だから大丈夫だよ」と声をかけてくれる、優しい職場です。

下田さんの好きな業務
やりがいを感じるのは、子どもたちの成長を実感したときです。園では年に二回、内科健診と歯科健診があり、歯医者さんや小児科の先生に来ていただいて一人ずつ健康診断を行うのですが、以前は泣いていた子が泣かずに受けられるようになったり、「ありがとうございます」と言えるようになったりしているのを見ると、成長を感じて嬉しくなります。また、「虫歯が治った」「身体が丈夫になった」など、元気になっていく姿を見守れるのは看護師冥利に尽きますね。
喋れなかった子が喋れるようになったり、ハイハイしていた子が歩けるようになったり。保育士の先生や職員の皆さんも同じ思いだと思いますが、「大きくなったな」と実感できる瞬間が大好きです。
看護師の大変な業務
働いていて大変なのは、感染症が流行してしまったときです。とくに胃腸炎などの感染症が出ると、園内で対策するだけではなく、役所へ報告などの業務も増えます。一つのクラスでの流行が落ち着いたと思ったら、また別のクラスで感染が広がってしまう…ということもよくあるため、細心の注意を払ってフル稼働しています。お子さんが病気になってしまうとご家族の方にも負担がかかってしまいますし、なかなか感染症が収まらないと心配も長く続いてしまうので、大変な時期ですね。

看護師に向いているのは
よく観察して
“気づくことができる”人
やはり、保育園で働くには“子どもが好きなこと”が大切だと思います。実は私、昔は保育園の先生になりたかったんです。でも、ピアノが弾けるわけでもなく、保育が得意なのかもわからなくて。「なんか違うかな」と思っていたときに、看護師である母の影響もあり、看護師の道を選びました。もともと自分のベースには「子どもが好き」という気持ちがあったのだと思います。
もうひとつ大事なのは、良い意味で〈おせっかい〉であること。子どもたちはまだまだ自分の体調をうまく言葉にできないことが多く、「ここが痛い」「こんなふうに具合が悪い」と説明するのは年長さんでも難しいことなんです。だからこそ、私たち大人がアンテナを張って、子どもたちの状態に気づいてあげることが大切。いつもよりご機嫌ナナメだったり、遊ばずにじっとしていたり…そんな些細な違和感から、病気に気づけることもあります。先生や保護者の方にもお伝えしていますが、子どもたちをよく観察して「いつもと違う」に気づけることが大事ですね。
下田さんから、
働くことに向き合う読者へ
やはり、いろいろなことを経験してほしいですね。「私はこれになりたいから、この道しか考えない!」と進路を狭めるのではなく、「これもいいな」「あれもいいな」と、たくさん悩んでほしいと思います。高校生や大学生になると、夢や職業が決まってくる頃かもしれません。でも、まだまだいくらでも変えられる、たくさん悩んで良い時期。身近な人の仕事ぶりを見たり、テレビを見たり、いろいろなところにアンテナを張って、たくさん迷ってほしいですね。

看護師の一日
朝
子どもたちと職員の体調をチェック
掃除や衛生面の点検
保育中
怪我の様子を見たり、保護者の方と連絡を取ったりと、
子どもたちや職員の健康状態によって
臨機応変に対応しています。
取材協力:三和徳育会アメリカ山徳育こども園
Staff Credit
編集:Asaka.T
インタビュー・記事:満斗りょう
ページ運用:Mo.et



