【早乙女太一 × 早乙女友貴】
劇団朱雀『OMIAKASHI』
伝統をひらき、いまへと繋ぐ
〝大衆演劇〟に新たな火を灯し、
言葉を超えて響き合う兄弟のスペシャル対談
〈伝統〉と〈革新〉。相容れないこの二つは、しばしば同時に求められる。次々と新しいものに塗り替えられていく現代では、同じことを重ねるうちに新鮮味が失われ、新しさを求めれば「らしさ」が遠のいていく。先人たちが残してきたものを守り、自らの歩みを確かめながら、新たなカタチを示し続ける道は、決して平坦ではない。それでも⸺。時代の移ろいのなかでも、その火を絶やすことなく受け継がれてきた〝大衆演劇〟というジャンルに、誰もが手を伸ばせる場所をつくりたい。そんな想いのもと、兄弟は伝統と革新のあいだをしなやかに行き来し、唯一無二の舞台をつくりあげてきた。共に過ごしてきた二人だからこそ生まれる信頼が形づくる、 『劇団朱雀』という新ジャンル。さあ、お祭りのような熱気とともに、いま舞台の火が灯る⸺。
劇団朱雀『OMIAKASHI』

-イントロダクション-
早乙女太一が自分の全てを詰め込んだ“大衆演劇”「劇団朱雀」
2023年以来、3年ぶりの上演決定!
4歳で初舞台を踏み、2003年には北野武監督の映画『座頭市』に出演し、“100人に一人の天才女形”としてその名を広く知らしめた早乙女太一が2代目座長を務める「劇団朱雀」。2019年の復活公演以降、劇団としての活動は2023年5月が最後となっておりましたが、この度3年ぶりの本公演を上演。二部構成での上演を予定し、一部は芝居、二部は舞踊ショーと、豪華な仕立ての大衆演劇をお見せします。公演タイトル『OMIAKASHI』とは、神に捧げる灯り、縁起を担いで入口にともす提灯のこと。本公演で朱雀が会場にどんな灯りをともすのか、ご期待ください。
劇団朱雀『OMIAKASHI』
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早乙女太一 早乙女友貴
LANDOER:本作の構想や脚本づくりにあたって、 どのような想いで制作に臨まれましたか?
早乙女太一(以下、太一):僕らがやっている大衆演劇の時代劇は、全盛期から時が経ち、いまでは“知っている人は知っている”題材が多くなってきています。言い換えると、時代劇に馴染みのない方にとっては、少し距離のあるものになっていると感じていて。だからこそ、時代劇と少し距離ができてしまった現代の方でも楽しんでいただける作品を届けたい。そんな想いから、『劇団朱雀』の復活公演以降、『劇団☆新感線』などでどの世代の方が観ても楽しめる演劇を手がけられている、中島かずきさんにお力をお借りして舞台を作ってきました。今回も、時代劇を知っている方や大衆演劇がお好きな方はもちろん、それらにあまり触れてこなかった方にも楽しんでいただける作品を目指しています。
LANDOER:脚本を書かれる中島さんとは、どんなやり取りをされましたか?
太一:かなりざっくりとした伝え方にはなってしまいましたが、「映画『オーシャンズ11』のような雰囲気にしたい」とお願いしました。登場人物それぞれにスポットが当たりつつ、活劇としてもスカッとできる作品にしたくて。また、これまでの朱雀とかずきさんの作る演劇に共通している、“実は〇〇だった”という遊び心も入れ込んでいただきました。たとえば、最初に手がけていただいた『火のないところに男は立たねえ』(2019年)という公演では、時代劇では有名な“国定忠治”の若き日を描いていましたし、前回公演の『桜吹雪八百八町』(2023年)では、彫り物を入れる前の“遠山の金さん”の物語を描いていて。今回も、時代劇や歌舞伎の演目を知っている方であれば誰もが気づくようなキャラクターが隠されています。時代劇を知らない方でも楽しめて、知っている方ならより深く味わっていただける、そんな作品になっていると思います。
LANDOER:友貴さんは台本をご覧になっていかがでしたか?
早乙女友貴(以下、友貴):太一が言っていたように、今回も小洒落たネタをふんだんに盛り込んでいただいています。しっかりと傾(かぶ)くところは傾いて、笑いの要素も加わっている、かずきさんならではの脚本だと感じました。登場人物それぞれのキャラクターもしっかりと立っていて、見どころの多い作品になっていると思います。そこまでの“オーシャンズ感”はないんですけれどね(笑)。それでも、存分に楽しんでいただけると思います。
LANODER:時代劇でありつつ、ユーモアもあり、まさに「誰もが楽しめる作品」ですね。本作を舞台で演じるにあたって、芝居や演出の面ではどのようなことを心掛けられていますか?
太一:今回に限らず、僕が演出をするうえで一番大切にしているのは、「演じる皆さんがどう動いても崩れない土台づくりをすること」です。まずは土台をしっかり整えることが演出家としての役割だと考えていて。そのうえで、皆さんが生き生きと演じてくださる状態が理想です。

魅力の詰まったキャストに信頼を寄せ、
バランスをとりながら物語を進めていく
LANDOER:今回のキャスティングや配役は、どのように決められたのでしょうか?
太一:ある程度出演者が決まった段階で、かずきさんと話し合って決定しました。「健ちゃん(須賀健太)だったらこういう役がいい」「文ちゃん(浜中文一)だったらこういう役がいい」と、それぞれにやってもらいたい役をかずきさんにリクエストして、はめていっていただく感覚です。当て書きの要素もありつつ、時には、かずきさんの中にあるイメージを当てはめていただくことや、あえて普段とは違う役柄に挑戦してもらうこともあります。ゲストの方々も、公私ともに信頼のある方にお声がけしているので、僕が知っているその方の魅力をいかに舞台で魅せられるか、ということばかり考えています。
LANDOER:信頼を寄せているからこその配役でもあるのですね。お二人自身はどのようなことを意識して、今回の役作りをされていますか?
太一:今回、僕が演じる役はものすごくさっぱりとしたキャラクターなんです。周りが賑やかな分、自分は物語の軸としてしっかりと展開を進めていけたらいいな、と思っています。自分の役だけを見ると“遊び”の余地はあまり多くないので、いかに周りの皆さんに華やかにしていただくかを、いま考えています。
友貴:僕が演じるのは二面性のある役どころですが、太一と同じく、パーっと突っ走るというよりはバランス型のキャラクターだと思っています。周りに強烈なキャラクターたちがいるので、僕ら二人がバランスを取りながら、全体を囲い込んでいくようなイメージになるのかな、と。
LANDOER:特に強烈なキャラクターはいらっしゃいますか?
友貴:一番強烈なのは、文ちゃんのキャラクターかな(笑)。僕自身も役を楽しみながら、遊びや笑いの要素も加えていけたらいいな、と思っています。

数えきれないほどの舞台を共にしたからこそ、
言葉がなくとも通じる二人
LANDOER:幼い頃から共に舞台へ立ち続けてこられたお二人。共演を重ねるなかで、お互いの信頼や関係に変化などはありましたか?
太一:友貴とは数えきれないほど一緒に芝居をしてきているので、「共演を重ねている」という感覚はあまりなく、ほとんど無意識の状態で芝居をしています。ただ、最近は“負担をわけられる存在”になってきました。これまでは「とにかく自分が突っ走らなければ」という思いで走ってきたのですが、いまではある程度バトンを渡せる感覚があります。
LANDOER:お二人で話し合われることもあるのでしょうか?
友貴:話し合いは一度もないですね(笑)。会話がなくても、演出や芝居を見て、「それなら自分はこう動こう」「自分はこう言おう」と、自然と汲み取って動けているのだと思います。子どもの頃からずっと一緒にやってきたからこそ、いい意味で何も考えずにできるというか。言葉にしなくとも通じる感覚があるような気がします。
LANDOER:お二人のお芝居を拝見した際、息の合った殺陣に感動しました。
友貴:もちろん稽古を重ねてこそ成り立つ部分も大きいのですが、その根底には、これまでずっと一緒にやってきたからこそ合わせることのできる“呼吸感”があるんです。

LANDOER:阿吽の呼吸ですね。一方で、ご家族で舞台に立つからこそ感じる難しさもあるのでしょうか?
太一:僕の場合、父が役者として常に自分の前に存在していたので、そこに反発したり、あえて違うことを選んだりする時期がありました。身近にいればいるほど受ける影響も大きくて、いかに吸収しながら、自分なりのカタチを作っていけるのかをずっと考えていましたね。それはきっと、僕を前にした友貴も同じだったと思います。
友貴:たしかに、昔は難しさもありました。一緒にやっていくなかで、どう自分の色を出していくのか、どう切り分けていくのか、悩んでいた時期もあって。ただ、一度解散して、各々がさまざまな経験をしたからこそ、いまは良い意味で“家族”というよりも“一演者”として向き合えている感覚があります。変に意識することもなくなりましたし、難しさも感じていません。

大衆演劇に新たな「朱雀」色を加えながら
伝統と“いま”を繋いでいく⸺
LANDOER:大衆演劇という伝統的なルーツをもちながら、新たなエンタテイメントを生み出されているお二人。ものづくりにおいて、伝統的な部分と革新的な部分、どのようなバランスを意識されているのでしょうか?
太一:「伝統といまをいかに繋いでいくか」は、舞台をつくるうえで常に向き合っている、一番の課題です。僕らは大衆演劇から始まった劇団なので、その枠をどのくらい飛び越えていくのか、どのラインを超えてしまうと大衆演劇ではなくなってしまうのか、当初はとても悩みました。しかしいまは、大衆演劇をベースに据えつつも、『劇団朱雀』という一つのジャンルをつくる意識で作品づくりと向き合えています。和と洋、過去と現在といった要素を、自分のバランス感覚でブラッシュアップしていくようなイメージですね。そのなかで一番大切にしているのは、観てくださる方に距離を感じさせないこと。敷居の高く見えがちな和の世界をいまの感覚に引き寄せて、いかに距離感をなくしていくかを常に意識しています。
LANDOER:そのバランス感覚によって、初めての方でも楽しめる演劇が出来上がっているのですね!友貴さんはいかがでしょうか?
友貴:良い意味で、大衆演劇には「これをやったらダメ」という明確なルールがないんです。だからこそ、徐々に大衆演劇とはまた別の、『劇団朱雀』というジャンルを形づくり始められているのかな、と感じます。そこに、文ちゃんや健ちゃん、きゃんさん(喜矢武豊)といったゲストの方々が加わることで、どんどん新たな色が生まれている。一色ではなく、何色にも彩られるところが朱雀の魅力だと思っています。そういった意味では、あまりバランスを取ること自体の難しさは感じていなくて。これまで自分たちが大切にしてきたものを軸にしながら、新しい要素も取り入れて、常にブラッシュアップを続けていけたらいいなと思います。

Dear LANDOER読者 劇団朱雀『OMIAKASHI』
From 早乙女太一
いつも観てくださっている方には、また新たなカタチの『劇団朱雀』をお見せできる公演になっていると思います。参加してくれるゲストの皆さんのおかげもあり、随分と華やかな作品になりましたので、ぜひ楽しみにしていてください。また、今回初めて僕らの公演に足を運んでくださるという方々には、あまり構えずに観ていただけたら嬉しいです。舞台でありながら、舞台の枠を超えたような作品なので、ぜひ、お祭りに来るような気持ちで楽しんでいただけたらと思います!
From 早乙女友貴
これまでの『劇団朱雀』の公演は三部構成でしたが、今回は一部が芝居、二部が舞踏ショーの二部構成となっています。これまで応援してきてくださった方のなかには、その変化に物足りなさや戸惑いを感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、今回は三名のゲストが加わったほか、ダンサーの量も増え、これまで以上に豪華で、良い意味で期待を裏切ることができるのではないかと思っています。初めての方にももちろん楽しんでいただける内容になっていますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです!



劇団朱雀『OMIAKASHI』
東京公演 :サンシャイン劇場
2026年4月10日(金)~4月26日(日)
大阪公演: COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
2026年4月29日(水・祝)~5月10日(日)
福岡公演:キャナルシティ劇場
2026年5月13日(水)~5月17日(日)
総合演出 :早乙女太一
出演:早乙女太一
早乙女友貴、須賀健太(東京・大阪のみ)、
浜中文一、喜矢武 豊、富岡晃一郎
久保田 創、岩崎祐也
安田桃太郎、熊倉 功、
益川和久、高岩芯泰
西野名菜、NanaCo、Mai Watanabe、
Yui Watanabe、Kurumi Shiina、Lena
Kekke、琉貴
鈴花奈々/葵 陽之介
第一部『大江戸早業稼業』
脚本・作詞:中島かずき(劇団☆新感線)
Staff Credit
カメラマン:KIE MURAI
ヘアメイク:Aya Iwasawa(早乙女太一)
杉野未香(早乙女友貴)
スタイリスト:TAKAFUMI YAO(早乙女太一)
インタビュー:満斗りょう
記事:Suzu、満斗りょう
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