自分に宿る「親切心」と向き合う勇気に満ちた貴方へ

映画『ホワイトバード はじまりのワンダー』

自分に宿る「親切心」と
向き合う勇気に満ちた貴方へ

映画『ホワイトバード はじまりのワンダー』
© 2024 Lions Gate Films Inc. and Participant Media, LLC. All Rights Reserved.

-Introduction-

世界的大ヒット作『ワンダー 君は太陽』の
もうひとつの物語
あれから6年、過ちをおかしたジュリアンの
〈おばあちゃん〉が教えてくれる――

「勇気あるやさしさは、人々を変えることができる」2018年、世界中の人々が10歳の少年から、「人に親切にする。そんなシンプルなことで、人々の心を変えることができる」というメッセージを、熱い感動と共に受け取った。少年の名はオギー、全世界1500万部突破のベストセラー小説シリーズ「ワンダー」を映画化し、興行収入320億円超えのスーパーヒットを記録した『ワンダー 君は太陽』の主人公だ。普通ではない見た目で生まれてきたオギーが、初めて通い始めた学校でいじめや裏切りに出会うが、幾度もくじけそうになりながらも、家族に支えられて困難に立ち向かっていく。「正しいことよりも親切なことを選ぶ」という台詞が、多くの人々の心に深くしみわたり、今も新たなファンを獲得し続けている。その後、小説「ワンダー」の作者R・J・パラシオが、「ワンダー」のアナザーストーリー「ホワイトバード」を書き上げた。主人公の一人はジュリアン、「ワンダー」でオギーをいじめた少年だ。もう一人の主人公は、ジュリアンのおばあちゃん。彼女が孫の行く先を心配して、希望に満ちた未来へと導くために、自ら封印していた“衝撃の過去”を告白するという物語だ。いじめた側の救済まで描かなければ、「ワンダー」の真の世界観は完結しないという作者の決意に胸を打たれた『ワンダー 君は太陽』のプロデューサーたちが再集結、「ホワイトバード」の映画化も実現させた。

-Story-

命を危険にさらして人を助ける時、
その親切は奇跡に近い。

いじめによって学校を退学処分になったジュリアンは、自分の居場所を見失っていた。そんな中、ジュリアンの祖母のサラがパリから訪ねて来る。あの経験で学んだことは、「人に意地悪も優しくもしない。ただ普通に接することだ」と孫の口から聞いたサラは、「あなたのために話すべきね」と自らの少女時代を明かす。 時は1942年、ナチス占領下のフランスで、ユダヤ人であるサラと彼女の両親に危険が近づいていた。サラの学校にナチスが押し寄せ、ユダヤ人生徒を連行するが、サラは同じクラスのジュリアンに助けられ、彼の家の納屋に匿われることになる。クラスでいじめられていたジュリアンに何の関心も払わず、名前すら知らなかったサラを、ジュリアンと彼の両親は命がけで守ってくれる。日に日に二人の絆が深まる中、終戦が近いというニュースが流れるのだが──。

伊藤さとり’s voice
伊藤さとり’s voice

SNSやニュースから声の大きな者に引き寄せられてしまう現代。改めて集団心理からの暴走や判断力が鈍ることに目を向ける必要があるのではないか。しかし、これは現代社会に限らず過去から脈々と受け継がれている心理であり、生存本能からか、人間はパフォーマンス能力のある者に惹かれ信じてしまう。結果、ヒトラー内閣誕生のように大量殺戮も繰り広げられ、社会全体に深い傷跡を残してしまう。ではどうすれば、人を傷つける行為に加担せずに止めることが出来るのか。一本の映画で紐解いていこう。

登場人物はいじめっ子とその祖母。祖母は孫に向けてある子どもの話しを始める。これは「自己開示」という手法でもあり、その子が抱える問題について問いただすではなく、自分の物語を伝えることで心を開いていることを見せ、相手からの信頼を得るというものだ。結果、その子の心を開き、共通の問題に対する解決方法を共に見出していくのだ。
劇中語られるのは祖母の少女時代。彼女にはいじめられっ子のクラスメイトが居る。彼はとても優しいのだが、脚が不自由なのでいじめられている。そんな時、ナチスのユダヤ人迫害が始まる。学校にもナチスがユダヤ系の子ども達を連行しにやってくるのだ。少女は突如、平穏な日々からいじめられる側へと立場が変わってしまうのだが、いじめられっ子だった少年は彼女を救おうと手を差し伸べるのだ。
映画はそれだけでは終わらないのだが、祖母が体験した出来事から孫が何を感じるのか、私たち観客は孫の立場でいじめが発展した大殺戮を考えることになる。

「いじめ」問題で盛んに言われているのが、干渉しないこともいじめに加担しているということ。集団になればなるほど声は大きく強くなり、やがて権力を持つまでに発展し、そこから反対人物への弾圧が発生する。もしその状況を目撃したのなら、自分自身はメモを取り、その上の権力を持つ者(上司や教師)に相談すること、勇気があればいじめが起こっている場を止める行動も「いじめ」を減らすことになると言われている。

人を傷つける、迫害する、個人として扱わず物のように扱う行為をする人間は、楽しそうな人間であれ、有能そうな人間であれ、人道的に間違っている。そんな人間の行動に目を背けた時点で加担していることになり、誰かを苦しめてしまったら一生後悔するのは自分なのだ。ならば集団の意見に流されずに、自分の目を信じて「間違っている」と行動することは、あなたのその後の人生を悔いなく誇れるものにするのではないだろうか。

映画『ホワイトバード はじまりのワンダー』
12月6日(金)TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー

監督:マーク・フォースター 『ネバーランド』『オットーという男』
脚本:マーク・ボムバック、R.J.パラシオ
出演:アリエラ・グレイザー、
  オーランド・シュワート、ブライス・ガイザー、
  ジリアン・アンダーソン、ヘレン・ミレン
配給:キノフィルムズ

映画『ホワイトバード はじまりのワンダー』
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