「ライバル」という名の
愛する存在がいる貴方へ
©2024「ルックバック」製作委員会
－Introduction－
藤本タツキ渾身の青春物語が劇場アニメ化！
漫画へのひたむきな思いが、二人の少女をつないでいく…
2021年に「少年ジャンプ＋」にて公開されると、著名なクリエイター陣をはじめとした数多くの漫画ファンの間で話題を呼び、「このマンガがすごい！2022」オトコ編第1位にも輝いた本作。原作者である藤本タツキは、小学館漫画賞などを受賞し、TVアニメの盛り上がりや、映画化の発表も記憶に新しい「チェンソーマン」や「ファイアパンチ」などの代表作を持ち、世界中から支持を集める作家の一人である。主人公の藤野役を演じるのは、ドラマ「不適切にもほどがある！」の純子役で人気を博した、河合優実。その演技力や類い稀な存在感が話題を集めている。もう一人の主人公である京本役は、映画『あつい胸騒ぎ』(23)『カムイのうた』(23)等では主演を務め、その目覚ましい活躍に拍車がかかる、吉田美月喜が担当。そして、監督・脚本・キャラクターデザインを務めるのは、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版：破』（09）『借りぐらしのアリエッティ』（10）『風立ちぬ』（13）など、数多くの劇場大作に主要スタッフとして携わってきた、押山清高。その才能は、海外でも高く評価され、アヌシー国際アニメーション映画祭2019の日本アニメーション特集で若手クリエイター26人の一人として選出されている。藤本タツキ渾身の青春物語が、豪華スタッフ＆キャスト陣によって、みずみずしくも繊細に、スクリーンに映し出される。
－Story－
学年新聞で４コマ漫画を連載している小学４年生の藤野。クラスメートから絶賛され、自分の画力に絶対の自信を持つ藤野だったが、ある日の学年新聞に初めて掲載された不登校の同級生・京本の４コマ漫画を目にし、その画力の高さに驚愕する。以来、脇目も降らず、ひたすら漫画を描き続けた藤野だったが、一向に縮まらない京本との画力差に打ちひしがれ、漫画を描くことを諦めてしまう。しかし、小学校卒業の日、教師に頼まれて京本に卒業証書を届けに行った藤野は、そこで初めて対面した京本から「ずっとファンだった」と告げられる。漫画を描くことを諦めるきっかけとなった京本と、今度は一緒に漫画を描き始めた藤野。二人の少女をつないだのは、漫画へのひたむきな思いだった。しかしある日、すべてを打ち砕く事件が起きる…。
伊藤さとり’s voice
一ページ目から特徴的なキャラクターに一気に魅せられ、エモーショナルなストーリーにもう一度最初から読み直した漫画「ルックバック」。「チェンソーマン」が配信でスタートしたことで話題を呼んだ才能溢れる漫画家・藤本タツキによる友情と青春をSF要素も取り入れた物語がアニメ映画になって劇場公開。
しかも監督、脚本、キャラクターデザインを務めるのは『エヴァンゲヲオン新劇場版：破』(2009)や『風立ちぬ』(2013)などの原画、TVアニメ「チェンソーマン」では悪魔デザインを担当した押山清高。その技法は今作でも見事なまでに原作の線を映像として動かし、主人公の藤野が描く４コマ漫画のシーンをアニメーションにしてしまうのも映画にする意味を理解していた。
更にこの完璧な原作を映画にする意味を模索したであろう監督が辿り着いたのは、大事なシーンはセリフを付けずに、数々のカットを繋いで生まれるエモさだった。説明なんてせずとも絵に力があれば、十分に主人公たちのその時の思いは伝わると信じた表現だったのだ。
けれど本作が多くの人を惹きつける理由は、やはり藤本タツキが書いた物語にある。小学4年生という承認欲求が強い時期からスタートし、自信に満ちた主人公・藤野が、自分より絵が上手い不登校の京本の存在を知った瞬間、負けず嫌いが発動する展開に興奮する。一方の京本は正反対の性格で自分に自信が全く無いものの、他者を尊敬し誉める感情を持っている。自信を持っているのは良いけれど、嫉妬したくなるほどのライバルが居た方が才能は伸びる。その時に大事なのは、夢を諦めさせない褒め言葉であり、それが一緒に居ると発見がある相互関係であれば無敵なのだ。
それにしても河合優実の表現力の幅広さに驚く。実際の声とは全く違うのだから。そして吉田美月喜のキャラクターの感情を心得たアプローチに息を呑んだ。この二人の演技への読解力は実写でも確認済だったが、声での演技では本人達の顔も浮かばないほどだった。
